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役員の義務「善管注意義務」って、何なの?

「善管注意義務」って、中国語?日本語なの?聞いたことのない言葉ですよね。
「善良なる管理者の注意義務」の略語ですが、これでも何のことかわかりませんよね。
この言葉は、民法644条「受託者は委託者の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって事務を処理すべきである」からきている言葉です。
わかりやすくいえば何かを委託された人に対して発生する義務で「社会通念上あるいは客観的に見て当然要求される注意を払う義務」の事です。

会社の取締役は会社法330条「株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う」とあり、受託者である役員には民法644条の「善管注意義務」が発生して、会社法423条1で「その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」から
「善管注意義務」違反をして会社に損害を与えた場合は役員は損害を賠償しなくてはなりません。

そもそも「社会通念上あるいは客観的に見て当然要求される注意を払う義務」って何の事?「善管注意義務」は明確な「定義」が無い、役員にとっては恐ろしい義務なのです。

「善管注意義務」に違反しているかどうかの判断の要素としては、
①法令違反に加担していた場合
②経営判断のミスによって会社に損害を発生させた場合
③他の役員や社員の監督を怠った場合
④競業取引・利益相反取引の開示・承認を怠った場合
⑤悪意・重過失により第3者に損害を与えた場合

以上5つが判断の要素となりますが、
①④⑤は役員自身が気を付けていれば回避は可能だと思いますが、②③は、難しいと思います。

「善管注意義務」「会社に何か問題が発生したら役員の注意が足らなかったので役員のせい」って解釈出来ますよね。

実際の裁判の例でも、サイバー攻撃の対策が万全ではなく、会社がサイバー攻撃を受けて多大な損害が発生したのは役員の「善管注意義務違反」であり、賠償金の支払いを命じられました。

それ程、役員の責任は重たいのです。この様な場合に役員個人を守るのが「D&O保険」です。「D&O保険」は役員個人が株主や取引先から訴えられた時に「訴訟費用」「賠償金」を保険金として受取れる損害賠償責任保険です。

会社の規模を問わず、役員は「D&O保険」の加入をお勧めします。


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