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生成AIと約款の解釈
私は後輩社員を指導する時に損害保険は「約款を売る仕事」だと説明してきました。「約款を売る仕事」とは、「日本語で書かれた約束を売る仕事」だと言えます。当たり前の話ですが、損害保険は、ある事象が起きた時に約束した保険金を保険金額を限度にお支払いする約束をする事です。その約束が書いてあるのが「約款」です。
保険金が支払われるか支払われないかは「約款」の解釈によります。裁判で争うにしても「約款」が基準になります。ですから、損害保険募集人は「約款を売る仕事」と言えるのです。
皆様は「約款」を読んだことはありますでしょうか?「約款」は日本語で書かれてます。しかし、小さな字で、びっしりと書かれている「約款」を読んだことのある人は少数派だと思います。
しかし、保険の建付けは「約款」を理解して契約する事になっています。
生命保険は在留外国人に対して「約款」が読めない場合は内規で販売を禁止しています。日本人で「約款」読める人が何人いるのだろうと、この内規には疑問が生じます。生命保険の特有の問題があって在留外国人とは契約したくないのが本音だと思います。
2024年10月1日の日経新聞に大手損害保険会社が開発中の生成AIについて次のような記事がありました。
「膨大な保険の規定やFAQ(よくある質問)を学習した生成AI(人工知能)が、補償の範囲を瞬時に示す。」
開発中の生成AIによる対話型の社内規定照会システムは、営業現場の保険契約引き受けなどの業務をサポートする。従業員らの意見を反映して改善を繰り返し、全社への浸透を目指している。
まさに、生成AIに正しい解釈をさせてアウトプットすることにより、人間がいちいち「約款」を熟読して解釈する手間を省くシステムです。
損害保険の「約款を売る仕事」と生成AIは非常に親和性が高いので、将来的には損害保険のあらゆる分野で生成AIが活用され業務が効率化される事と予想できます。
そんな時、古い損保職人の私は、生成AIが本当に正しいことをアウトプットしているかの判断が出来る損害保険の基礎をしっかり学んだ人が従事すれば良いのだが、便利さにかまけて生成AIを鵜呑みにして、間違った解釈で仕事をする人が増えるのではないかを心配します。
技術の進歩の流れは止められません、生成AIにより損害保険が正しく発展する未来を見ていきたいと思います。