
医療法人の理事になったら契約すべき損害保険
医療行為における賠償責任に対して備える損害保険は医師賠償責任保険です。医師賠償責任保険については、私のnote
をご参考にして下さい。
病院経営は医療行為以外に様々な利害関係者がいます。
2019年9月1日に施行された改正医療法により医療法人の役員(理事・監事)および評議員(財団法人の場合)の義務と責任が明文化されて個人として
損害賠償請求訴訟を提起されるリスクが高まりました。
医療法人の役員(理事・監事)の義務は
善管注意義務(善良なる管理者として注意をもって仕事をする)
忠実義務(法律・株主総会の決議を順守する)
競業避止義務(会社と同じような仕事をして会社に損をさせたらダメ)
利益相反取引回避義務(役員が得する・会社が損する事はやってはダメ)
監督監視義務(役員や従業員が不正をしないよう監督しなければならない)
があり、
医療法人以外に対する責任は、一般不法行為責任・忠実義務があります。
つまり、役員(理事・監事)は義務違反をすると医療法人に賠償をしなくてはならないのです。
医師賠償責任の補償の対象外の事案は、例えば、2020年に発覚した医療法人「一成会」さいたま記念病院で起きた役員による10億円超の業務上横領の事件でも、他の役員は監督義務違反で医療法人より役員(理事・監事)個人が訴えられるリスクがあるのです。
医療法人向けD&O保険
このようなリスクから役員(理事・監事)個人を守る損害保険が医療法人向けD&O保険です。
この保険は、役員(理事・監事)が過誤・義務違反・不作為等を理由に保険期間中に提起された損害賠償請求・非金銭的請求(差止請求など)および
刑事訴訟(無罪の場合に限ります)に起因して役員(理事・監事)が被る
損害に対して保険金が支払われます。
保険金が支払われるのは損害賠償金・防衛費用(争訟費用)・調査対応費用です。
この保険では、医療行為による賠償責任については、医師賠償責任保険と補償が被るので対象外とする専門業務リスク対象外特約が自動付帯されています。
医療法人がD&O保険に加入する為には理事会の決定が必要となります。
医療法人の役員(理事・監事)個人を守る損害保険、医療法人向けD&O保険への加入は必須だと思います。