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医療過誤と医師賠償責任保険


医療過誤件数


最近では医療過誤に関わる損害賠償訴訟が頻発しています。
「医療関係訴訟事件統計」によると2022年の医療関係の訴訟件数は647件で2004年の1110件をピークに減少していますが、600件前後で推移しています。

医師賠償責任保険とは

この様な医療訴訟に備えるのが、『医師賠償責任保険』です。

医師賠償責任保険とは
日本国内で行った医療上の過失により、患者に身体の障害が発生し、患者またはその遺族から損害賠償請求を提起された場合に、 開設者である被保険者が患者もしくはその遺族に対して負担する法律上の賠償責任を補償します。(医師特約条項)
医療機関の建物・設備の使用・管理上の不備および医療機関の業務遂行に起因する事故や給食による事故により、第三者の身体障害・ 財物損壊が発生した場合、補償の対象となります。(医療施設特約条項)

医師賠償責任保険は、病院ごとに加入するものと勤務医が加入するものがあり、日本医師会を始め各種団体で加入することが出来ます。

民事訴訟は、医師賠償責任保険でリスクを転嫁できますが、医療行為による事故での刑事訴訟は、どうなのでしょうか?

医師の刑事罰

医療行為は患者の命を救い、健康を保持する目的のために行われるという高い公益性を有しているところ、 医療界では
「いかなる医療行為も人体を対象とする以上は、その不確実性から100%の安全性や治療効果が保障されているわけではない。医療行為の結果、患者に死亡や重大な後遺症が発生した場合においても、医師等の医療従事者が刑事責任を問われることは理不尽ではないか。」
と言われています。

しかし、医師も患者を死なせてしまったら刑法第211条業務上過失致死罪になる可能性もあります。

医師が刑事罰になるかの判断は検察にゆだねられます。患者遺族からの訴えも出来ますが、最終的な判断は検察がします。
実際には、医療過誤による刑事訴追は年間十数件程度で慎重な運用がなされています。

医療は公益性が極めて高いので、民事訴訟や刑事訴訟が多発する事により
医療従事者が委縮しない社会を目指すべきだと思います。

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