地震デリバティブと地震保険
地震デリバティブとは、あらかじめ決めた観測地域で、一定基準以上の震度の地震が発生した場合、保証金を受けられる金融派生商品の事を言います。大地震発生時の操業不能、物流停止、風評被害などのリスクに備えることが可能です。建物の損壊など地震と損害の因果関係が確定しないと保険金が支払われない地震保険と違って、基準を満たした地震が発生しさえすれば、損害がなくても一定の保証金が支払われます。また地震保険のように、損害額を査定によって確定する必要がないため、短期間で保証金を受けとれる特徴があります。
日本では災害対策として企業などが地震保険を活用していますが、地震保険の補償範囲が限定されているうえ補償までに時間がかかるため、地震で業績に影響を受けやすい鉄道、電力・ガス会社、観光・レジャー業者、製造業などの間で、地震デリバティブの利用が広がっています。ただし地震保険と異なり、実際の損害額と保証金との間に差が生じます。
地震デリバティブを手配できるのは、大手企業に限られていましたが、大手損害保険会社が、地震デリバティブ的な損害保険を開発して中小企業に販売しています。その損害保険は「BCP地震補償保険」と言い、以下の様な特徴があります。
・契約時に指定した震度観測点で地震が観測された場合の休業損失を補償し
ます。損失が確定する前に保険金の仮払いができますので大地震発生時の
事業継続対策に最適です。
自社施設に損傷がない場合でも、休業損失が発生すれば補償の対象となり
ます。
・建物の築年数や構造級別に関係なく保険加入が可能です。
※通常の地震保険は1981年以降に建築された鉄骨または鉄筋コンクリート造
りの建物でしか加入できません。
・損害保険なので、最終的には損害額の査定が行われて実損害に対して
保険金が支払われるのは地震デリバティブとの違いはありますが、地震
発生時に観測地点で定められた震度になった場合に迅速に保険金が受取れ
ます。
基準震度については震度6弱と震度6強の2種類が用意されています。
東南海トラフ地震発生が危惧されている今、従来の地震保険に加えて新たな選択肢が企業経営者様に出来たと思います。