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「保険金不正 AIで検知」で思う事

2024年8月22日の日経新聞に、「悪質業者をあぶり出し 保険金不正 AIで検知」と言う記事がありました。あいおいニッセイ同和社が人工知能(AI)を活用して、風水害で屋根損傷を装う不正を早期に検知するシステムを開発したとあります。また、他のメガ3社も海外の人工知能(AI)を活用して同様に保険金の不正を防ぐそうです。

逆に風水害の支払いを迅速に行うために人工知能(AI)技術を活用する動きもあります。これは、東京海上日動社が人工衛星の画像を災害前と後で解析して、いち早く損害を発見して保険金を支払うものです。

この様に、損害保険の世界では人工知能(AI)やテレマティクス技術(自動車保険のドライブレコーダー特約)を活用して、より合理的に保険金の支払いが出来るように努力しています。

しかしながら、風水害における不正請求に目を転じると、不正請求を増長する訪問販売の詐欺集団だけが注目されますが、詐欺とは言えないまでも、風水害の事故が発生した時に、ダメもとで拡大された損害の見積もりを提出して差額を受取る業者や、保険会社の手続きの簡易性をついて、1円でも多くの保険金を獲得する為の方法論を工務店向けに展開する悪徳業者の目に余る行為が現場からの声で聞こえてきます。

私の後輩から聞いた話なのですが、台風損害があった企業様がインターネットで探した業者に修理見積から保険金請求までを依頼した。成功報酬として3割の保険金を要求しているとの事。この業者が、ダメもとで損害額を拡大して保険金を請求している業者です。後輩は、怪しいと思い、その業者の住所に事務所があるか確認しに行きましたが、案の定、ありませんでした。

損害保険は、多くの契約者から小さなお金を集めて罹災した契約者に保険金を届ける仕組みです。日本人の美徳が崩れてしまい、自分の権利意識ばかり強くなり、1円でも多くの保険金を受取らなくては納得いかない契約者だらけになったら、損害保険と言う仕組みは継続的に運営できるのでしょうか?

私は、損害保険の事を気にしない社会が良い社会だと思います。
しかし、残念な事に、弁護士事務所のテレビコマーシャルが連日放映されたり、激甚災害があれば、保険金詐欺が横行する今は、まさに権利意識の強い、訴訟大国のアメリカの様な社会になり、損害保険の注目度が上がっていく気がします。


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