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延長保証と損害保険

大手家電販売店などで商品を購入すると延長保証制度に無料か有料で加入することが出来ます。実は、この延長保証制度の裏側には損害保険の契約がなされていることが多いのです。


延長保証制度の裏付けは瑕疵保証責任保険

瑕疵保証責任保険(かしほしょうせきにんほけん)とは、たとえば製造・販売された生産物に欠陥(瑕疵)があった場合にメーカーや販売業者が保証書等に基づき負担する保証責任をカバーする保険です。
大型家電店、家電のインターネットショップ等で、「延長保証」といわれるサービスが瑕疵保証責任保険に該当します。

瑕疵保証責任保険を使った延長保証は大手の会社でないと構築出来ないかと言うと、そうでもなく、中小の企業の商品やサービスでも構築できる可能性はあります。

他社との差別化に使われる瑕疵保証責任保険

企業間の競争で損害保険を使った差別化の一つに瑕疵保証責任保険に加入して延長保証制度を構築することがあります。例えば、業務用の大型エアコンの販売設置をする業者で、同じメーカーの大型エアコンの購入を考えているユーザーから見ると、メーカー保証のみメーカー保証+3年の延長保証の業者では値段が変わらなければ後者の業者を選択しますよね。

この様に瑕疵保証責任保険を使った延長保証制度は差別化の有効な武器になります。

損害保険を使う事によるメリット

延長保証制度の構築に瑕疵保証責任保険を使うメリットは、まず、費用が平準化することです。仮に自社で延長保証の費用を積立てたとしたら、故障が予想外に発生した時に積立金で足りなくなることもあります。瑕疵保証責任保険では、その心配がありません。

また、延長保証は3年間などの長期に渡り保証するので、積立金だと決算をまたぐ場合に課税される恐れがあるので、瑕疵保証責任保険だと3年分の保険料を一度に払い、それが損金になるので有利です。

瑕疵保証責任保険の対象

損害保険会社は、あらゆる物の故障発生確率のデータを持っています。
データがある物については、瑕疵保証責任保険の対象にする事が出来ます。

また、損害保険会社にデータが存在しない特殊な製品やサービスでも、その事故の発生率のデータを過去5年分ぐらい示せて一定の保険料規模になる場合は独自の延長保証制度を構築することは可能です。

しかし、大手家電販売店の延長保証制度は保険料規模は大きいが、多くが損害保険会社が赤字に陥っていて、撤退している会社もあると聞いています。独自の延長保証制度を構築したい経営者様は説得力のあるデータを提供して損害保険会社との粘り強い交渉力が必要となると思われます。


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