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火災保険の破汚損特約で思う事

三井住友海上の火災保険のCMで「予想外も補償内」と言うシリーズがあります。その中で、庭でゴルフの練習をしていて自分の家の窓ガラスを誤って割ってしまうシーンがあります。この損害は火災保険の「不足かつ突発的な事故の損害」を支払う、いわゆる「破汚損特約」を説明したものです。

「破汚損特約」は非常に使い勝手がいい保険で、私も住居を引越しする時に子供部屋の壁紙がベッドとの摩擦で破れたのを保険金請求したことがあります。

賃貸住宅で退去時に何か住宅にキズがあった場合には「破汚損特約」を使うのが常識になっているほどです。

三井住友海上のホームページによるとなんと、火災保険の保険金支払い事故の40%強が「破汚損特約」であると書いてありました。

このように使い勝手がいい損害保険は当然、損害率も悪化します。
2020年10月には多くの損害保険会社が火災保険の改定時に「破汚損特約」の免責金額(自己負担額)を1万円から5万円に上げて使い勝手の悪い特約に改定しました。

先程の窓ガラスを割ったケースでも免責金額(自己負担額)が5万円適用されるので、わざわざCMで告知する意味があるのでしょうか?

私は、そもそも損害保険は巨大リスクに対してリスクを保険に転嫁するものであると言う理念のもとに損害保険業界に関わってきました。その観点から言えば「破汚損特約」は邪道であり、免責金額(自己負担額)を1万円から
5万円に改定しなくては成立し無い程、損害率が悪化しているので売り止めにすべきと考えています。

「破汚損特約」で得をしてきた不動産業界では、免責金額(自己負担額)が5万円になると困るので、まだ、免責金額(自己負担額)を1万円のままで改定していない一部の損害保険会社に契約を移行していて、その損害保険会社の火災保険が増収していると言う話を聞きます。

しかし、その保険会社も「破汚損特約」の事故が多発して免責金額(自己負担額)を上げる改定を余儀なくされるときが近い将来来ると予想します。


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