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フジテレビとD&O保険

フジテレビがタレントの性加害問題で大揺れです。
損保職人の私から見ると違った側面がみえます。
それは、株式会社フジテレビジョンと株式会社フジメディアホールディングズの役員の発言です。

以前も書きましたが、役員と言うのは、もの凄く責任が重くて危険な仕事です。


役員の義務は


善管注意義務(善良なる管理者として注意をもって仕事をする)
忠実義務(法律。株主総会の決議を順守する)
競業避止義務(会社と同じような仕事をして会社に損をさせたらダメ)
利益相反取引回避義務(役員が得する・会社が損する事はやってはダメ)
監督監視義務(役員や従業員が不正をしないよう監督しなければならない)
があり、
会社以外に対する責任は、一般不法行為責任・忠実義務があります。

役員は上に書いた義務に違反すると会社法423条1項で会社に対して、
これによって生じた損害を賠償する責任を負うとあります。
つまり、役員は義務違反をすると会社に賠償をしなくてはならないのです。

また、会社法847条では株主が役員の責任を追及することが書かれており、役員は株主からも訴えられる危険があるのです。

フジテレビの場合

今回のフジテレビの場合は港社長は、記者会見の方法の失敗や、一連の対処のまずさから善管注意義務違反で株主から訴えられる可能性があります。

また当時、専務だった関西テレビの大多社長も初動の対応について誤りがあったとして善管注意義務違反で株主から訴えられる可能性があります。
大多社長は現在は関西テレビの社長でフジテレビジョンの専務は退任されていますが、役人の責任は退任後10年ありますので、逃げられません。

持ち株会社である株式会社フジメディア・ホールディングズの
社外取締役のキッコーマンの会長ですら、監督義務違反で訴えられる
可能性があります。

2025年1月31日の日経新聞によるとフジメディア・ホールディングズが30日フジテレビジョンの2023年度の広告収入が従来の計画より233億円下回る見通しと発表されました。

フジテレビジョンの役員は株主代表訴訟で物言う株主から数百億円規模の損害賠償を支払うように訴えられる可能性もあります。

関連の全ての役員は戦々恐々としていると思います。

D&O保険

このような状況から役員個人を守るのが「D&O保険」です。
「D&O保険」は、会社の役員が、役員としての業務につき行った行為
(不作為を含みます。)に起因して、保険期間中に損害賠償請求を受けた場合に、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して、保険金を支払う保険です。

アメリカの上場企業では「D&O保険」に加入していない会社の役員になる人がいないので保険金額100億円から300億円の手厚い補償の「D&O保険」に加入していると言われています。
日本でも上場企業は「D&O保険」に加入していると思われますが、
その保険金額は5億円~10億円と言われています。
当然、株式会社フジテレビジョンも株式会社フジメディアホールディングズも「D&O保険」に加入しているでしょうが、今回の一連の事件での会社に対する損害は莫大なものになるので10億円の保険金額に加入していても足りないと思います。

役員とは、とても責任が重く危険な仕事だと思いました。


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