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D&Oの保険金額、いくらが正しい?

「役員って何?役員は訴えられる危険がいっぱい!」私のnoteの記事で役員の責任について書かせて頂きました。

その役員個人を守る損害保険「D&O保険」です。

外資系保険会社で「D&O保険」の勉強会に参加した時に意地悪な質問をしました。
「D&O保険の保険金額、いくらで設定すればいいの?例えば、東京電力で」


東京電力での判決


東京電力福島第1原子力発電所事故を巡り、同社の株主らが旧経営陣5名に計22兆円を東電に支払うように求めた株主代表訴訟の判決で、東京地裁は、2022年7月13日旧経営陣4名に計13兆3210億円の支払いを命じた。
理由としては旧経営陣4名は「最低限の津波対策を速やかに指示すべき取締役としての注意義務を怠った」と指摘されました。

13兆3210億円の保険金額の「D&O保険」
どこの保険会社も引受けませんよね。しかも、いったい幾らの保険料になるのでしょうか?だから、意地悪な質問だったのです。

「D&O保険」の保険金額の決め方

東京電力は極端な例として、一体、いくらの保険金額にすればいいのでしょうか?
ここで、参考になるのが「会社法における役員の最低責任限度額」です。
会社法423~427条において役員が損害賠償責任を負う場合、株主総会の議決によって免除できない「最低責任限度額」について定めがあります。
これを「D&O保険」最低保険金額の基準にすることが出来ます。

代表取締役または代表執行役          年間役員報酬の6倍
上記以外の取締役または執行役         年間役員報酬の4倍
社外取締役・会計参与・監査役または会計監査人 年間役員報酬の2倍

例えば代表取締役2名 年間役員報酬 5000万円 取締役5名 年間役員報酬 3000万円 監査役3名 年間役員報酬 1000万円の会社で「最低責任限度額」は、 

2名×5000万円×6倍=6億円
5名×3000万円×4倍=6億円
3名×1000万円×2倍=6000万円
6億円+6億円+6000万円=12億6000万円

この会社は、12億6000万円「D&O保険」の最低保険金額と考えることが出来ます。

米国で「D&O保険」の保険金額の平均値は約112億円と言われてます。
「最低責任限度額」は、あくまで目安であり実際の「D&O保険」の保険金額を決定する時は業界特有のリスクや過去の判例等を参考に慎重に決定する必要があります。


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