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エンベデッド・インシュアランス(組込型保険)は成長分野か?

エンベデッド・ファイナンスと言う言葉が注目されています。

エンベデッド・ファイナンスとは、金融以外のサービスを提供する業者(小売業・サービス業・不動産販売業等)が金融サービスを既存のサービスに組込んで提供することです。

その中の保険分野がエンベデッド・インシュアランスです。

金融とは情報のやりとりであり、物の移動が無いから、インターネット上の取引と親和性が高い。また、スマートフォンで、小売りから、サービスまで契約締結が完結できる環境が整いました。ゆえに「あらゆる業種業態が金融により収益を獲得する」と言われるようになり、エンベデッド・インシュアランスが注目されています。

私はエンベデッド・インシュアランスが注目されている割に本当に成長分野であるのか疑問があります。

エンベデッド・インシュアランス自体は新しい発想では無く、商品付帯動産総合保険等、商品と損害保険を同時に提供する商品は存在していました。

今、注目されている理由はインターネットにより保険以外の取引と保険取引がスムーズに出来る環境が整ったからです。

しかし、物・サービスと損害保険の融合の必要性と経済性を備えた組み合わせは、何処にあるのでしょうか?

私は高級腕時計の販売と商品付帯動産総合保険の組合せをパートナー企業と開発して全国展開をして18年間サービスを提供しています。この成功を基に他に同じようなサービスが提供できないか模索しましたが、未だに見つかっていません。

新聞報道でもエンベデッド・インシュアランスが取り上げられましたが、コンタクトレンズ購入者が一定以上コンタクトレンズを購入すると目に関する病気に対する医療保険が付いてくると言うものでした。はたして、コンタクトレンズの購入者は、この医療保険は嬉しいのでしょうか?

海外では、スマートフォンを活用したエンベデッド・インシュアランスの成功事例はありますが、国内において私の知る限り、旅行サイトでシームレスに旅行傷害保険に加入出来る以外にエンベデッド・インシュアランスの成功事例はありません。

出来る事と売れる事(顧客に支持される事)は違います。
特に損害保険については顧客が強く支持・ニーズが強い分野は損害率が悪いケースが多く、サービス構築が難しいのが現状です。

とは言えエンベデッド・インシュアランスは、損害保険を販売側から考えると募集人の手を煩わせること無く自動的に損害保険の契約をしてくれる「夢の自動販売機」ですので、諦めずに、どの分野で親和性が高いかを模索していきたいと思います。



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