海外での労災事故は補償されるのか?
大手造船会社の27歳の社員がタイのプラントで飛降り自殺をしました。
海外での慣れない業務、ミスに対する上司の厳しい指導が原因で「精神疾患」になり過労自殺であると労働基準監督署が「労災認定」しました。
そもそも、海外での労災事故は補償されるのでしょうか?
中小零細企業も今や海外進出が当たり前になり、国内よりも海外の方がストレスも掛かり、慣れない環境であることも加わり労災事故の危険性は高くなります。
海外での働き方は「海外出張」と「海外派遣」の二通りがあります。
「海外出張」は手続きなしで「政府労災」の補償対象となります。
「海外派遣」とは、「国内事業から海外の支店、工場、現地法人に労働者として派遣される」ことを云い、この場合は「政府労災の特別加入」の申請を行えば、「政府労災」の補償対象となります。
それでは、「上乗せ労災保険」は、海外での労災事故は補償対象となるのでしょうか?
答えは、補償対象となります。
「上乗せ労災保険」の約款の中に国内で起きた労災事故に限ると記載が無いからです。
先ほどの大手造船会社の27歳の社員のケースでも「上乗せ労災保険」に加入していれば、「死亡保険金」と遺族からの訴えがあり国内の裁判で「賠償金」が確定すれば「使用者賠償責任保険」から「賠償金」が支払われます。
一般に「海外出張」や「海外派遣」をする場合には「海外旅行傷害保険」に加入します。
「上乗せ労災保険」が海外での労災事故が補償対象となるのに、何故「海外旅行傷害保険」に加入する必要があるのでしょうか?
それは、日常生活で起きた事故は「政府労災」「上乗せ労災保険」ともに補償対象外だからです。海外での生活に必須の「個人賠償責任保険」「携行品損害保険」「疾病・歯科治療費用保険」などは「海外旅行傷害保険」でしか補償できません。海外出張が多い企業様には、自社のパソコンでリアルタイムに「海外旅行傷害保険」に加入出来るシステムを提供している損害保険会社もあるので導入することをお勧めします。
海外での事業展開をされている経営者様は労働者を守るために、今一度、どのような保険に加入しているのかご確認することをお勧めします。