失火責任法と失火罪 物保険の必要性
火災についてインターネットで調べていたら数年前に関西の段ボール工場で大規模の火災が起きて、火災の原因を発生させた段ボール工場で作業していた工務店の店主が失火罪の業務上失火で書類送検されたとありました。
失火責任法(失火法)については私のnote
で書いたように知っていましたが失火罪は初めて聞いた言葉でした。
失火罪とは、過失により出火し、物が焼損したことで成立する犯罪です。
失火罪は刑法116条に規定されています。失火罪の刑事罰は、50万円以下の罰金です。
罰金刑なんですね。それでは工務店の店主は、どうやって火事の原因を作ってしまったか言うと、鉄板を溶断する際、プラスチック製のパレットが可燃性だと知りながら足場として使用するなど、適切な防火対策を怠り、溶断作業中の火花をパレットに引火させ、工場内の4棟を全焼させたのです。
この火災では段ボール工場の倉庫・事務所約8千平方メールが全焼して被害総額は約54億円だそうです。
工務店の店主は失火罪で書類送検されるぐらい過失があり、これが失火責任法の重過失であったとしても約54億円の損害賠償を支払える資力があるとは考えられません。工務店の店主は失火罪の刑が確定しても50万円以下の罰金です。
仮に工務店の店主が賠償責任保険に加入していたとしても、ある外資系の損害保険会社の賠償責任保険の保険金額の80%が1億円以下だと言われているので、保険金額は多く見積もっても5億円、約54億円の損害額に遠く及びません。
この様に大規模災害になった場合には賠償責任保険が役に立たないケースが発生するのです。
では、どうすればいいのかは、段ボール工場が建物の火災保険に加入する事です。物保険である火災保険は、原因が何であれ、火事で焼失された損害額を保険金で支払われます。
段ボール工場が例えば新価100億円の保険金額で建物の火災保険に加入していれば、54億円以上の保険金を受取り新しい工場を建設することが出来ます。
保険会社は保険金を支払った後に原因が工務店の店主にあるとして求償権を行使したとしても工務店の店主に支払う事は出来ませんよね。
自分の物は自分で守る。物保険(火災保険)の重要性を感じる出来事でした。