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必ず揉める企業賠償事故 その理由と対策

企業経営者の皆様は、仕事中や仕事の結果において人を傷つけたり、人の物を壊したりした時の為に「賠償責任保険」に加入している事と思います。

「賠償責任保険」とは、法律上の賠償責任が発生して人を傷つけたり、人の物を壊したりした時に、その損害額を保険金で支払う保険です。

人を傷つけた時の保険金の支払いの考え方は「実治療費・休業損害・慰謝料・遺失利益」です。この場合は、揉めることは、ほとんどありません。

しかし、物を壊してしまった場合に支払われる保険金は、その物の修理費、修理できない場合は代替物を買う金額となりますが、厄介なのが「時価額」と言う考え方です。

以前、私が担当していた電気保安の会社が電気保安業務中に電圧を間違えてしまい病院の電話設備を壊してしまいました。

電話設備は修理不可能で、新品にする費用が2000万円でした。

病院の事務長は、電気保安の会社の過失で電話設備が壊れたので、当然、新品にする費用、2000万円が保険金で支払われるものと考えていました。

皆様も、そう思われますよね。

違うのです。その電話設備は古い設備で償却が終わっているので、最大で見積もっても1000万円の価値しかないのです。

古いものを壊した場合は、「時価額」(現在の、その物の価値)までしか賠償金は支払えないのです。これが、法律の考え方です。

病院の事務長にその話をすると激怒。「うちの病院の設備は古いから保険金が支払われないのか!」

私は「冷たいようですが、それが賠償責任保険の考え方なのです。もし、ご納得いただけないなら、電気保安の会社を訴えて下さい。負ければ、2000万円保険金で支払います。但し、結果は同じだと思いますが」

皆さま、どう、思われましたか?
必ず揉めるの意味がお分かりになりましたか。

では、同じ対物事故でも何故、自動車の事故では、揉めないのでしょうか?
それは、対物超過特約があるからです。「時価額」が低く修理金額に届かない場合でも50万円までは修理するなら時価額を超えて保険金が支払われる特約が一般的に普及しているからです。

最近では、企業の賠償責任保険でも自動車保険の対物超過特約的な特約が新たに開発されました。保険金の支払限度額等は会社によって違いますが、賠償責任保険に、このような特約を付けることをお勧めします。


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