《一刻も早く逮捕されてほしい》「ラオスの帝王ラオジー」に批判殺到 東南アジアの児童買春は今
NEWSポストセブン 2023年3月10日掲載
(Webサイトから記事が削除されたためnoteに転載しています。削除理由は記事の後に書いています)
「ラオスの帝王ラオジー」と名乗る日本人とみられる男性が、ラオスでの児童買春の様子をTwitterやYouTubeなどに投稿していたとして、2月下旬にネット上で批判の声が噴出した。こうした投稿に通報が相次いだことで、同氏のアカウントは凍結されたものの、依然として海外で日本人による児童買春が横行していることが明らかになり、懸念が広がっている。東南アジア専門ジャーナリストの泰梨沙子氏が、この問題について解説する。
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〈昨夜の子は何歳だったんだ(略)お毛毛も生えて無いし〉
ラオジーのTwitterではこのような言葉と共に、まだ10歳前後にもみえる少女がバスタオルを体にまとい、うつむいている写真が投稿されていた。
他にも〈(略)オーナーは幼い子を働かせてる身体や声、仕草を見ても間違いなく12歳位だ、いやそれ以下かも〉といった文章とともに、猫耳のようなものをつけた少女の顔がはっきり見える写真が投稿されていた。
こうした投稿をあるTwitterユーザーが見つけ、〈被害少女の中にはまだ10歳にも満たないような幼い子もいる。吐き気を催すほど醜悪かつ卑劣な犯行である。一刻も早く逮捕されてほしい〉と指摘。さらに有名インフルエンサーがこの話題をTwitterで扱ったことで、ネット上で大炎上した。
ラオジーのそうした投稿のコメント欄を見ると、〈羡ましい〉〈そんな彼女にぶち込まれたんですね。さすが帝王な方!〉などといった、同様に小児性愛者だと思われる人物からのコメントが多く寄せられており、こうした界隈の闇の深さが垣間見られた。
貧困が蔓延し、法整備が脆弱な発展途上国では児童買春も盛んに行われ、世界中の小児性愛者が集まる社会問題として指摘されてきた。
1996年、スウェーデンのストックホルムで開催された「児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」では、日本が東南アジアで児童買春の加害者となり、児童ポルノの生産地になっているとして国際社会から強い非難を受けた。このような背景から日本でも法整備が進められ、1999年に海外での犯罪も対象となる「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」が制定された。
一方で、依然として加害者は後を絶たない。2019年にはラオスで少女とのみだらな行為を撮影し、児童ポルノを製造したとして、医師の男が日本で逮捕されている。
■出生登録率の低さが課題
児童の人身売買の根絶を目指す国際的な非政府組織(NGO)の「ECPAT」の2019年の報告書によると、これまで東南アジアではタイでの児童買春がよく問題視されていたが、近年は取り締まりが強化されてきたことで、法整備が進んでいないカンボジアなどの近隣諸国での児童買春が増えている。
タイの隣にあるラオスも例外ではない。ラオスの人口は約730万人で、そのうち約3割とされる児童の1割が児童労働を行っている。報告書では児童買春の被害者数を公表していないものの、「貧困家庭や少数民族の児童、ストリートチルドレンが性的搾取の被害者になりやすい」と指摘。観光客が集まるカラオケやバーなどで客引きを行っていると説明している。売春の価格は場所によって違うが、数千円程度とされている。
さらにECPATは、ラオスにはホテルやレストランなどで児童労働を禁じる法律があるが、「現地で警察に通報したとしても、適切に取り締まりが行われないケースもある」としており、こうした環境が世界から小児性愛者を引き寄せる事態となっている。
報告書では、出生登録をほぼ全員が行うタイやベトナムに対し、ラオスは75%と低い水準にとどまっていることから、年齢確認ができず、児童買春の被害に遭いやすくなっているとも指摘。「出生登録は児童買春を防ぐ上で重要な取り組み」としている。
東南アジアでは、ラオジーのように売春や風俗情報を配信する日本人のYouTuberが複数おり、違法行為や、倫理に反する行為に批判が集まることが度々起きている。
風俗産業が発展しているタイは特に夜遊び系YouTuberが多く、過去には現地女性をナンパし、「キスしたら●ポイント」「ホテルに行ったら●ポイント」といったルールを決めて競い合う動画がYouTubeに配信され、「タイ人女性を軽視している」として現地から批判の声が相次いだ。
こうした行為が最近になって特に問題視されるようになった背景には、東南アジアの経済発展に伴う所得の向上で、人々の生活が近代化していることがある。多くの若者が大学まで卒業するようになり、人権など社会問題への関心も高まっている。スマートフォンやSNSの普及に伴い、ネット上での性的被害の告発も相次いでいる。
児童買春といった犯罪や、女性軽視など倫理に反する行為をネットで配信することは、犯罪を誘発する恐れがあるのと同時に、SNSを通じてこのような違法行為が世界中に知れ渡り、結果として日本人全体のイメージ悪化につながりかねない。海外であっても、法律の遵守や節度ある行為が一層求められている。(泰梨沙子)
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■本記事がニュースポストセブンより削除された理由
こちらの記事が削除された理由については、
グーグルによって記事に性的な表現が多いとみなされ、広告収入が取り消される可能性があったため、ということです。
ニュースポストセブン編集者からは、
「売春といったワードに機械的に反応するような仕組みでは、性暴力について問題提起する報道は不可能ではないか」など思うところは多々ありますが、サイト全体への影響を鑑み、担当者としても苦渋の判断だった」とコメント頂いております。
グーグルに報道の自由が制限されてしまうという、懸念すべき事態ではありますが、広告収入に頼るメディア業界にとっては、死活問題になってしまうという事情もあり、今回のニュースポストセブンの判断を受け入れております。
同メディアに対する批判や中傷行為は控えて頂けますよう、よろしくお願いいたします。
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