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孤独な男が死体と友情を築く不可思議サバイバル・ムービー 「スイス・アーミー・マン」(冒頭ネタバレ)

無人島で遭難した青年ハンクは、待てど暮らせど来ない助けに絶望して首吊り自殺を試みようとしたまさにその時、波打ち際に男の死体が流れ着くのを目撃。ハリー・死体・ポッター君の尻から漏れるガス(傍目には完全にオナラ)はやがて強烈なジェット噴射のようになり、海へ向かってガタガタ動きだす。それを見てピン!と来たハンクは首吊りに使おうとした紐を死体に猿ぐつわし、いかだの様にまたがって「ヒャッホー!」と海へこぎ出す。ここで最高潮になる挿入歌「モンタージュ」のポポポポポポ!という多重コーラス。タイトル・ロールがドン!…予告ではまるでクライマックスシーンの様に流れていた映像はまさかのオープニングだった。この一連の面白すぎる流れに「何だこの映画?!」と完全に心掴まれた…。
 孤独な主人公に寄り添う相棒というのは過去に「キャスト・アウェイ」のビーチ・ボールがあったが、完全な無機物ではなく『死体』という所がポイント。ハンクは死体を便利道具として使ってサバイバルするだけでなく、いきなり喋り出した死体と会話し始めてしまう。もちろん孤島生活で常軌を逸したハンクの妄想なのだが、死体君とのやり取りがあまりに愉快で笑えるし、どう考えても絶対に一人の方が早いのに、『友達』として認識しているハンクが必死で死体を担ぎながら進もうとする健気な?姿に何だか心打たれてしまう。スマホの待ち受けにしている女性について聞かれたハンクは女性とは、と教鞭を垂れ始める。(ポール・ダノの雑な女装が妙に可愛い)苦しくとも楽しいサバイバルだが後半の展開にギョッとする・・・からの呆気に取られるラスト。初見は正直呆然としてしまったが、改めて見直すとハンクのあまりにも繊細な性格に共感できなくもない自分がいた。(さすがにやり過ぎだろとは思うが)下品な箇所も含めこの映画は見る人によってハマるかハマらないかハッキリ分かれてしまうかも・・・感動サバイバル・ムービーを見たい方はお薦めしません。私はアホだなぁと思いながら拍手。大好きです。

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