痛みと変態性に包まれた愛の物語「チタン」※ネタバレあり※
車への性的な執着、からの文字通りのカーセッ○ス、そして『異形の何か』を妊娠。さらに次々と無慈悲にグロく(椅子攻撃が痛い!ギャァァ!)進んでいく主人公の衝動的殺人行脚に、私は早々と社会的な倫理観を一旦頭の外へよいしょー!と放り投げて思った。
(コレ頭で考えちゃ駄目なタイプの映画かな・・・・・・?)
しかし物語はそこから意外な展開へ。指名手配犯として逃亡する主人公は、行方不明者の情報を得ると、中年男の消防士の息子になりすまし、保護される。主人公の女性は胸や妊娠でふくらむお腹をテープで縛り、何とか『息子』としてやり過ごそうとするが、リアルに考えると色々ツッコミ所は満載。
ただ私が胸打たれたのは、途中から中年男がうすうす気付いていながらも、お前が何者でもかまわない。ただそばにいて欲しい、という感じで甲斐甲斐しく世話をしてくれる所だった。息子を失った喪失の深さに病んでしまった男と、実の父に愛されず人間性を失った主人公
。トリッキーで特異な脚本だけど、本質はいびつに歪んだ孤独な二人が愛を取り戻す、というとてもシンプルな物語だった。ジェンダーどころか生物を超えた愛という斬新さ。見終わった後は、自分も何か生み出したかのような謎の爽快感に包まれた。いやー変な映画を見た。面白かったー。
追記:マカレナリズムの人工呼吸は笑った。