厳地採集
この樹はやはりオオクワガタが集まる。
そう唸りながら、ラダーのステップを
一段一段降りて行き、採集した
6thブラックダイヤモンドを繁々と
見つめた。
暫くすると、私の周りを飛び交う
蚊の羽音と、アブラゼミの鳴き声で
我に返った。
追加は居ないかと隈なく探すも、
本命の姿を見つける事は出来なかった。
ラダーを仕舞い、復路を辿り、
車に到着し、スポーツドリンクをゴクゴクと
飲み干した。
仲間に採集メールを送り、
先程の♀を観察した。
跗節欠けも顎の摩耗も無く、
産毛が確認出来、新成虫と判断した。
サイズは、
43mm程か。
この個体を採集するまでは、
4年前のような採集は厳しい地に
なったものだと、擦りもしない成果に
正直諦めモードは漂っていた。
自身の中で
この採集で弾みを付けようと考え、
明日の採集へと備える為コンビニを探し、
汗で塗れたウェアを脱ぎ、
長靴を逆さにすると、枯葉や枝が
アスファルトに多数散った。
採集道具を片付けて、
日帰り温泉を目指した。
18:30
汗を流し、私のお気に入りのお店に
向かい、それを食べ尽くした。
塩加減からビールを飲みたい所を
ぐっと堪え、本日の寝床を探し、
独り祝杯を上げた。
20:30
本日の採集を回想しながら、
意識を無くした。
2020.8.9
5:43
朝陽を眺めながら、
本日の採集ルートを決める。
コンビニで朝食を購入し、
目的地へと車を走らせる。
6:44
第一ポイントにて
捲れに潜むドルクスを目にする。
捲レベル0は安易に掻き出せる。
大きな成果に繋がらず、
大きくポイントを変える。
目的の樹まではかなり歩かなければ
ならないと覚悟するも、もしかしたら
この獣道を進めばショートカット
出来るのではないかと考え歩いていると、
違和感を感じて足を止めた。
その違和感に目を遣ると、
大きな亀が少しずつ歩いていた。
何でも食べてしまう赤耳亀かと思ったが、
どうもクサガメのようだった。
亀と戯れている場合では無いと、
その場を離れ、歩いて行くと
ショートカットは功を奏した。
然しながら目的の樹は何も潜んでおらず、
10:18
少し早いがその土地ならではの
飲食店にて列に並び、それを食した。
私はやはり一日目が好みと実感しながらも
食べ終え、次なるポイントへと走らせた。
14:27
ドルクスの姿を捉え、掻き出すも
本命では無く、
ヒラタクワガタペアであった。
17:06
時間的にも最後のポイントにて
男前の真夏の暴君に出会い、
本日の採集にピリオドを打った。
18:56
とある小料理屋で食事をしようと
暖簾を潜ると、県外の者はお断りと
苦虫を噛み潰したような顔で話され、
仕方なく近くの中華料理で済ませた。
本日は日曜日で、
半沢直樹の放送日だ。
私はTVを殆ど見ない生活をしてきたが、
コロナ禍による自粛期間中に
TVerなる見逃し配信に嵌り、前作を
予習し、今作釘付けとなっていた。
何とか視聴出来ないかと考えた所、
日帰り温泉に宿も付いている場所を知り、
急いで向かった。
20:27
充分過ぎる宿に後ろ髪を引かれつつ、
何とか半沢直樹を視聴し、温泉も入り、
採集時は車中泊が当たり前の私は
足を投げ出して眠れる事に幸せん感じながら
眠りに就いた。
To be continued.