取らぬダイヤの皮算用
2020.8.22
18:42
私の目標である樹液採集二桁を
達成するのであれば、数は少ないが
出会える可能性が高い地はここだと、
車を飛ばして来た。
恐らくこのブログを読んで下さる方の
多くは、車を飛ばしても1〜2時間程度の
離れた地をイメージされているだろうが、
私は違う。
真相を知る方からすれば、もうそれは
クレイジーの部類に入るだろう。
クレイジーは今日も頭にはヘッドライト、
右手にはフラッシュライト、
肩にラダーを抱え、左手は網を携えて
目的の地を目指す。
既に秋の虫の鳴き声も聞こえてくる中、
漸くこの地にノコギリクワガタが
現れ始めた。
昭和の昆虫図鑑状態を横目にしながら、
本命オオクワガタを探す。
低い位置の捲れにはコクワガタが
多数張り付き、フラッシュライトを当てると
驚いて脚を竦ませ地面へと次々と
ダイブしていく。
低い位置にはオオクワガタは居ない、
そう呟きながら別の樹へと向かった。
一通り下からライトで確認するも、
怪しい姿も見えず、汗を拭いながら
樹を変えていく。
自然界にこのようか羽化不全の個体も
生きているのかと、この先の暮らしを
考えると、不憫に思うノコギリクワガタを
目にした。
ライトの刺激で樹皮から転げ落ちぬよう
スルーしていく。
今度は角がミニマムな
赤いカブトムシだ。
闘いには工夫が必要だと諭しながら、
ラダーを伸ばしていく。
右手には網を持ちながらラダーを
登って行くと、最上部の巡れに
2頭のドルクスが見えた。
ペアであり、直感で追い求めている
オオクワガタと判断した。
この2頭を採集すれば、
悲願の樹液採集二桁となり目標達成となる。
取らぬ狸の皮算用となると、
邪念を捨て、ラダー最上部に立ち、
樹にしがみ付くように態勢を整え、
採集バッグから針金を取り出し、
ヘッドライトにて捲れ内部を照らす。
針金で刺激し、落下を網で掬う。
藪に落ちたら終わりだと
自身に言い聞かせながら針金を
それらに当てると、
網を跳ねて、私の右横を♀が
落下していくのが見えた。
急いでラダーを降り、
藪を掻き分けるも、絶対に見つけられる
筈が無いと、5分で諦めた。
気になるのは♀と一緒にいた♂であり、
藪の中を探している間に逃げられたら
ここまで車を走らせた意味が無いと、
再びラダーを登って行った。
捲れ内部を照らすと、
♂は身を縮めたままであり、
今度こそ成功に導くのだと
それに針金を当てると、
転がり落ちてくる黒い物体を
網には入らずも何とか右手の網で抑えた。
耳元でスズメバチの羽音が聞こえた為、
ヘッドライトを慌てて消し、
抑えている♂の顎の形状を指でなぞると
オオクワガタの顎と解り、
喜びの声が漏れる。
ゆっくりと暗闇の樹上から
ラダーのステップを降りて行き、
地上にてライトを照らして確認すると、
中歯オオクワガタを手にした。
これで9頭目であり、
先程ロストした♀がこの後
達成に向けて私を苦しめるのではないか。
そんな事が頭を掠めながら、
21:20
この地を後にした。
コンビニにて汗塗れの採集ウェアを脱ぎ、
通常の私服に着替え、スポーツドリンクを
飲みながら先程の採集個体を計測した。
9thブラックダイヤモンドは
55mm程を指した。
目標まで残り1頭。
晩夏に差し掛かる中、
目標達成へと更に作戦を練る。