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レズ風俗のお姉さんとハグした日
前日はいつも通りの1日を過ごした。
夜、普段塗らないマニキュアを塗ったら上手く塗れなくて何度も塗り直していたら深夜2時になった。
会った時に少しでも可愛いと思われたかった。女性に対してこういった感情を抱いたのは人生初かもしれない。
当日、支度をして電車に乗る。夕方でもまだまだ暑かった。
現実味が無いからあんまり緊張もしてなくて、音楽を聴きながらぼんやり窓の外を眺めてた。
普段降りない駅で降りたら人の多さに圧倒されて、いよいよ緊張感がわいてくる。
道に迷ったり買い物してるうちにお姉さんの方が先にホテルに到着してしまったようで、慌ててナビを見ながら薄暗い道を歩いていく。ギラついたお兄さんやネオンにいつもなら若干ビビるけど、焦りでそれどころではないのでズンズン進む。
やっとホテルに着いてお姉さんと合流。部屋に入る。
なんかバタバタしてたからこの辺あんまり記憶も情緒もないです。
時間にはたっぷり余裕を持って行くべきだね…。
… … …
ルームサービスのドリンクを飲みながらソファーに座ってお話タイム。
話題はなんでレズ風俗に来ようと思ったのかとか、恋バナとか。レズ風俗に来た理由は年上のお姉さんに甘えてみたくて…!って、実際に口に出すのはなかなか恥ずかしかった。
実物のお姉さんはイメージ通りだけど写真よりも柔らかな雰囲気で、目が合うとニコニコしてくれる。可愛い。
あれだけ悩んで勇気を出して予約して、今こうして本当にお姉さんとホテルにいる現実が不思議で。
あ、そういえば私人見知りなのに今初対面の人と密室で2人きりじゃん…これってすごい無謀な事してるんじゃ…みたいに思ってふと我に返ったというか固まってしまったけど、それすらも優しく受け入れてくれる。コミュ障でごめんなさい!!
その後はベッドに移動してくっついてごろん。頭をなでなでしてくれたりキスしてくれたりする。あわわ…汗臭かったらどうしようとかプレッシャーで頭がいっぱい。
女性とキスしたのは初めてだって言ったら「やったー!」って喜んでたお姉さんが可愛すぎた。
色んな褒め言葉を沢山言ってくれて抱き寄せてくれて、なんかもうこんなんされたら好きになってしまうやつじゃん…(チョロい)
お姉さんの手は温かかった。
ああ、この感じ懐かしいなーって思った。誰かとくっついて肌が合わさる感じ。誰かに愛されて大事にしてもらえてる感じ。
でももちろんお姉さんが私を好きなわけは無くて言葉も仕草も演出で、そういうお仕事なんだよなあって思うと虚しさは段々大きくなった。
これが本物だったらいいのになって心のどこかで思ってしまった。
… … …
アラームが鳴って終了の時間。
「最後にハグしていいですか?」って聞いたら「いいよ」って返してくれたのでハグする。
嬉しさと安らぎと虚しさと寂しさがぶつかり合ってなんにも無くなる、みたいなハグだった。
確かに触れているし触れられているのに実感がない。
お姉さんの背中とその背中に回した自分の腕が、部屋の鏡に映ってるのをぼーっと見てた。この光景は多分この先もずっと覚えてるだろうなあと思った。
駅まで歩いている時も色々と話をふってくれたのに、色んな感情が渦巻いてる私はそれにも上手く返せないまま改札前に到着して、お姉さんと別れて電車に乗る。
なんだかひと夏の冒険を終えたような達成感に包まれて帰宅。
お風呂から上がって化粧水をぺたぺたしながら、そういえばお手紙もらったんだよなーって思い出して鞄から引っ張り出してみた。
内容についてはここには書けないけど、その手紙を読んだらぽろぽろ泣けてきた。
全部作りものだ、こんなの虚しいって思ってしまったけど、キャストとして、人としてのお姉さんの優しさや誠実さみたいなものは確かに存在していたんだと思った。
一緒に過ごした時間の中にも、「梨々ちゃんは大切にされるべき存在だよ」って言ってくれた事も、私が改札を抜けた後もずっと見送っててくれた事も。
なのに私はそれを受け取るのが怖くて手のひらの隙間からぼろぼろとこぼしてしまったんだ、私が心を開けなかった事は絶対お姉さんに伝わっていて、それは失礼な事をしてしまったんだなと思って情けなくて切なくて寂しくて泣いた。
… … …
行ったことには後悔はしていないけど、私がもっと怖がらずに心を開いていたらもう少し違う時間を過ごせたのかなって思ったりする。空っぽじゃないハグが出来ていたかもしれない。(それはそれで別の苦しみが生まれそうではあるけど)
きっとお姉さんは私が元気になって帰っていくことを望んでいたと思うのに、こんな感じになってごめんなさい。
でも色んなことに気付けた体験だったと思うし、会うことが出来て嬉しかった気持ちは本当。だから、ありがとうお姉さん。
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