剣劇「三國志演技~孫呉」感想
荒牧慶彦さん&梅津瑞樹さん主演、剣劇「三國志演技~孫呉」を見てきました。
自分なりに感じたことをまとめて残しておこうという気になったので、備忘録を兼ねた感想文です。
荒牧さんの出演作を見ることが多いので、出演者の方々は他作品で拝見したことがある方が多く、発表になったときから楽しみにしていました。
ちなみに三國志については知識ゼロ、古代中国を舞台にした漫画やゲームはそれなりに通ってきたものの、三國志は触れる機会がなく、荒牧さんの殺陣まつりや今回の公演前の三國志講座で聞いた話が知識の全てという状態で観劇しました。
そんなわけで、三國志の知識ゼロの人が感じたことを好き勝手に書く感想文です。複数回見ているので、感じ方が変わった部分も含めての感想ですが、オタクの妄想力で見えないものまで見ている気もするので、そんな風に感じる人もいるんだな~くらいの感じでお読みいただければと思います。
■まず最初にこれが言いたい
初見の感想はとにかく
「太史慈さんカッコイイーー!!!!」 でした。
荒牧さんが早乙女御兄弟を心の中の殺陣の師匠とされているという話は、いろんな場面で聞いていたので、今回、早乙女友貴さんを見るのをとても楽しみにしていたのですが、殺陣はもちろん、クールな役どころもあって、めちゃくちゃカッコイイ!!二部での諸々も含めて、俺の考える最高にカッコイイ早乙女友貴さんを見てくれ!という熱い思いを勝手に感じ取りました。
孫権と太史慈の関係性もとても良くて、このふたりのお話をもっと見たい!と思いました。同時に、孫権・太史慈との対比で、断金は主従としてその関係性で正解なのか!?三國志の知識が無さすぎて私には分からん…!!と思ったりもしたのですが、断金のお話は後でまとめてしたいと思います。
■全体の話
見る前は、努力!友情!勝利!!みたいな少年漫画的ストーリーが展開されるのかな~と漠然と思っていたので、いきなりシェイクスピアが始まって吃驚しました。三國志の世界で、少年漫画っぽい要素もありつつ、突然のシェイクスピア、二部はエンタメ感満載の殺陣ショーで、これは食い合わせとしてどうなの!?と思わなくもなかったのですが、お芝居も殺陣もお上手な方が多いので、結果として、まるっと全部楽しみました。
特に、二部はショーとしての楽しさもありつつ、一部の物語とも繋がる位置づけになっていたところがとても好きでした。
断金を中心に見るとハッピーエンドとは言い難い展開だと思うのですが、それでも読後感が良いというか、見終わったときの気持ちが明るいのは、孫権の存在と二部のおかげだなという気がしました。
■断金の話
今回のストーリーだけ見るとお世辞にも良い主従関係には見えなかったこともあり、最初は、この周瑜さん、主をダメにするタイプの側近では?と思ったり、断金はその関係性で正解なの!?もっと良いルートがあるんじゃないの!?そっちに進んでいいの!!?とソワソワしたりしながら見ていました。しかし、ある回の荒牧さんと梅津さんのお芝居を見て、私の中で、このふたりはこれで良いんだなと納得ができたので、そこからは比較的落ち着いて見ることができた気がします。
とにかく最初は、孫策の狂気、父と復讐への執着、それを見過ごした周瑜の後悔、みたいなものの印象が強くて、全体としても「悲劇」の印象でした。ふたりは子どもの頃のまま、ふたりの世界に生きてるままで、それなのに、国を動かせるほどの力と才能を持ってしまったがための悲劇なのかなぁ…なんて思いつつ見ていました。
ですが、何度目かの観劇時に、孫策が、特に周瑜の前では強くカッコよくあろうとしてる様子や、それによって周瑜を安心させたいと思っているだろう様子がとても強く感じられた回がありました。そして、対する周瑜からも、そういう孫策を受け入れて「強い孫策」を信じる、ふたりの間にあったものを大事にするという意思が感じられた気がして、ああ、これは「君が僕の強さを信じてくれるから 僕は強くあれる」という友情の話なんだなと個人的に納得しました。周瑜は、孫策の弱さを受け入れるのではなく、強くあろうとした孫策の思いと、一緒にいれば怖いものなんてなかったふたりの世界を守る方を選んだのかなと。個人的に、お互いさえいれば無敵、みたいな関係性に弱いので、完全に私の妄想というか願望が混じっている気もしますが、私の中ではそれで腑に落ちたし、随所に見られる少年漫画っぽさとも噛み合った気がしました。私の中でこの結論に着地した日は、観劇中に泣きすぎて干からびるかと思いました。
孫策の最期のシーン、みんなが駆けつける前にふたりで語り合う場面では、特にそれが感じられて、決してハッピーエンドではないかもしれないけれど、ふたりの世界を大事にしたまま辿り着く最期は、ふたりにとっては悪いものではないのかもなという気持ちになりました。冒頭でも書きましたが、三國志知識ゼロなうえに妄想力強めなので、全然見当違いの感想だったらすみません、個人の感想です。
■登場人物・キャストさんの話
私の中で、荒牧さんはご自分のお仕事でも、プロデューサーとしてのお仕事でも、ファンの喜ぶもの、その人の魅力が発揮されるものを提供してくれる人という印象がありまして、今回の剣劇三國志でもそれをひしひしと感じました。とにかく皆さんとても素敵でした。
孫策/梅津さん
今更私などが言うまでもないことですが、とにかくお芝居がお上手。突然のシェイクスピアに吃驚しつつも普通に見入ってしまったのは梅津さんのお芝居だったからこそだなという気がしました。
狂気の芝居も凄いのですが、周瑜が泣きそうだったり怖がってたりすると、スっと正気に戻って強い孫策を見せようとするところ、滑らかなのに切り替わるのがちゃんと感じ取れて凄かったです。
周瑜/荒牧さん
天才軍師役の荒牧さんと聞いてイメージしていたのとは少し違った味付けのものが出てきて面白かったです。私の中で、荒牧さんの感情が大きく揺れるときのお芝居って、外に向けてパワーがバーンと発散されるイメージなんですけど、今回、パワーで殴られる感じはないのに、むしろ静かなのに、感情の揺れがめちゃくちゃ伝わってくる感じがした回が何度かあり、そして、それが今回の周瑜のイメージと凄く合っていて、めちゃくちゃ好きでした。めちゃくちゃ好きなのに上手く言語化できる語彙力がないのが申し訳ない。二部で諸先輩方と楽しそうにしてるのも見ていてニコニコしました。
孫権/廣野さん
兵士たちや太史慈とのやりとりから、人たらし感というか皆に愛される理由みたいなものが感じられてとても良かったです。後半の「強くなりたい!」のところと、最後の場面のみんなに語りかけるところが凄くカッコよくて、少年漫画の主人公感もあって好きでした。一部も二部も、楽しく客席を盛り上げてくれたのも最高でした。
太史慈/早乙女友貴さん
言いたいことは先に書いてしまったのですが、更に付け足すとするなら、二部はノリノリなご様子に見えたので、こちらも楽しかったです。日々いろいろ起こるハプニングも案外楽しんでいらっしゃるのかなぁなんて思いつつ見ていました。
程普/富田翔さん
素敵なところはたくさんあったんですけど、一番好きだったのは周瑜とのやりとりです。あなたより知ってる、頑張らせてあげてくだいよ!からの、最後の場面での、頑張りましたね、一番わかるのは貴方、にめちゃくちゃ泣かされました。あと二部で、周瑜や孫策を遠慮なくハリセンでシバいたりしてたのには爆笑しました。
黄蓋/高木さん
豪快で、情に厚くて、孫策や孫権の味方をしてくれる頼りになる大人で、とても魅力的だったなと思いました。孫権とふたりで話す場面で、実はきちんと考えている、厳しさも持ち合わせているのが感じられて、そこも凄く好きでした。
韓当/郷本さん
カッコイイおじさま。夜逃げの場面で、そういうの終わらせるために戦争やってるんじゃないのと叫ぶのが印象的でした。普段の不真面目そうな雰囲気とのギャップが最高でした。何だかんだ孫策や孫権を可愛がってそうな感じも良かったです。
劉表/冨田昌則さん
心優しい良き君主感がとても素敵でした。黄祖は主がこの人で本当に良かったなぁと思いました。二部で黄祖が驚くくらいめちゃくちゃ強い姿が見られたのも楽しかったです。
黄祖/玉城さん
ビジュアルを見たときから見たかった、期待してたとおりの役で楽しくなりました。単純な悪役・敵役ではなく、黄祖も悩み変化していくところが凄く良かったなと思いました。
孫堅/松本さん
勇猛果敢の言葉どおり、豪快で力強く、思い切りの良い感じがとてもカッコよかったです。アクションも力強くて、孫策が憧れる強い父としての説得力を感じました。二部の親子3人の場面では、温かい雰囲気もあって素敵でした。
■まとめ
魅力を伝え切る語彙力がないのが残念なところですが、個人的には、知識ゼロで触れる三國志 孫呉の物語をとても楽しませてもらいました。殺陣ショーも楽しかったので、剣劇シリーズ続いてくれたら良いなぁと思います。
まずは、千秋楽まで無事に駆け抜けられることを祈っております!!