遠方からの依頼
以前の記事で、ある学校から講義の依頼が来たという話に軽く触れた。で、今日、その学校の先生から電話がかかってきた。依頼当初はオンラインで90分の講義という内容だったのだけれど、新型コロナ感染拡大も落ち着いてきたし、学校に出向いての対面授業に切り替えられないかという話だった。
その学校は遠方で、片道5~6時間くらいかかるのでは?と(まだよく調べていないけど)想像していて、遠いんだけど、でもやっぱり対面授業の魅力というのがあるので「ぜひ行かせてください」とお願いした。旅は好きだしね。オンラインでの依頼が来た時、本当は「こっちが旅費を持ってもいいので対面でお願いできませんか」と言いたかったんだけど、それでは相手に気を遣わせるし、学校の規定でそういうわけにもいかないだろう、と言い出さずにいた。
電話を切ってから「私ってほんとにそういうとこあるよね~」と思った。向こうは向こうで遠方だし…と遠慮していたのかもしれないし、それならこっちからダメもとでもいいから、意志を示しておけばもっと話が早かっただろうに。相手を慮る形で、いつも相手からの言い出しを待ってしまう自分に気がついて軽く凹む。
でも、今回は凹む量よりも、現地に行ける嬉しさのほうが増していて、ちょっと気分が上がっている。学校からは初め90分1コマだけの依頼だったんだけど「せっかく現地にお越しいただけるなら」と、2コマ分(180分)の依頼を受けた。やれるのか、私?
まあ、話したいことは山ほどあるし、話せるだろうとは思う。せっかくなので今、学んでいるワークショップの手法も取り入れて、学生たちと楽しんで授業ができたらいいなと思う。
一ヶ月ちょっと先の話なので、これからぼちぼち準備をすれば何とかなるだろう。
ここのところ、ずっと働かないでいる自分に対して「これでいいんかな」と思ってきたけど、今回の依頼に取り組む中で自分なりのアンサーが見つかるかもしれない。
退職して現場を離れた自分に、若者へのエールを送るような講義ができるだろうか?と思っていたけど、いま取り組んでいる大学の履修コースでレポートを書く度に、これまでの仕事がどれだけ自分の人生の核になっているか、ということをしみじみと実感している。レポートに反映される価値観はすべてこれまでの仕事を踏まえたものばかりで、こんなにも自分が仕事を大切に考えてきたのだと、そして現場を離れても専門家であることには変わりないのだと実感させられ、講義を引き受けることにした。
退職して初めての仕事に、こころ躍っている自分がいる。それは素敵なことで、自分にとってのギフトだと思う。
参加してくれる学生にとって、この講義がギフトになるよう頑張ろう。