引きこもりの弟をもった姉の場合
以前、息子が部屋にこもって一ヶ月ほど他人と接触しようとしなかったことがあり、さすがに心配になって仲の良い我が弟に電話をしました。
「○○が部屋から出てこんけど…他人と会うのがイヤみたい」
弟はしばらく黙っていて
「俺も他人に会うのはイヤやなぁ…」
そうでした!
電話では普通に話しをするのでウッカリしてましたけど、弟は当時30年以上引きこもりの筋金入りのベテランでした。
弟は高校3年生のときに突然不登校になり、以後社会との接触は最低限の生活を送っています。
コースはお決まりの
不登校 → 家庭内暴力 → 引きこもり という感じです。
同じ屋根の下に暮らす父と母とは今だにほとんど会話をしませんが、姉の私とは仲良しです。
兄もいますが、弟は兄を毛嫌いしていて、東京に住む兄が実家に帰るとわかると近くの温泉宿のようなところに泊まりに行ってしまいます。
きわめて奇妙な兄弟関係ですが、真ん中に私をおいてコミュニケーションをとっている、みたいな感じでしょうか。
弟の引きこもりと家庭内暴力が激しかった頃、私なりに引きこもりに関するいろいろな勉強会や講演会に参加したのですが、いつも気分は消化不良でした。
なぜって、どこにいっても親と子どもの関係ばかりに話が集中していて、引きこもりの子どものその兄弟に対するアドバイスも救済も何も無かったからです。
私が過食症の時もそうでしたが、当時は「過食症」という言葉もなくて、大変遠回りをして苦しい思いをしました。
私も弟も先駆者なのです。
自分でたたかうしかなかったなと思います。
弟が不登校になった時も、あの当時は「戸塚ヨットスクール」全盛期で「不登校と引きこもりは甘えだ」というのが定説のようになっていました。
ですが、身近にいる者からみると、決してそんな言葉では片付けられないもっと根の深い何かを感じていました。
今だにわからないことはいっばいですけれど、おかげさまで結構タフになったかもしれません。
現在、弟は自立支援の作業所に通っており、息子は普通に社会人として働いております。