名前を呼ばれる重要性。
今日は看護師さんのお話。
下の名前で呼ばれるムズ痒さ。
患者さんを基本的に下の名前で呼ぶことにしている。なんで呼び始めたのかはもう覚えてないけど、集中治療室に勤め始めてからな気がする。
女性は特に結婚していると名字がもともとと違ったりするから、下の名前で呼ばれるって私は単純に嬉しい。むず痒い様な、小さい頃に戻った様な。呼ばれるとドキッとするし、大人になると下の名前で呼ばれることってあまりないから親しい様な気がしてしまう。
実際驚く人もいたりして「同じ苗字の人がいるの?」って聞かれたりもする。そういうときはしれっと「いませんよ」と伝える。私があなたのことを、下の名前で呼びたいから呼んでいるの、と笑顔で伝える。
一歩踏み出すこと。
集中治療室での滞在期間は短い、3日か長くても1週間はいない。そんな間に信頼関係を気づいて命を預けてもらう。でも信頼関係がなくたって向こうは命を預けるしか生きる方法はないんだから預けてくれる。でも、だからこそ、私はきちんとあなたの名前も覚えて、呼んでそばにいますよと伝えたかったのかもしれない。
私はあなたを一人の人間だと知っています。それを単なる呼び方で分かりやすく親しみを込める。短期間で信頼を得るには一歩をぐいぐい行かなくちゃ。躊躇ってる時間はない。
奥さん、旦那さん、娘さん、お嫁さん、お孫さん。たくさんの人が来る中で、たくさんの役割の名称がある。それを使うのも容易い。でも私は家族のことも下の名前で呼ぶ。夫婦の片割れじゃなくて、お母さんの付属品じゃなくて、長男さんの付き添いじゃなくて「〇〇さん」って呼べる人は呼ぶ。
自分という認識。
責任感って何をするにも大切で、仕事を任せるにしても、何かを依頼するにしても自分がやるんだって自覚を持って欲しい。だから人に物を頼むときは「お願いしますね、〇〇さん」という。自分がやるんだ、自分のことを知っていて自分に任せてくれたんだ、と自覚を持ってもらえる様に接する。
家族に着替え一つ、先生からの説明日程一つとってもあなたを信じて任せています、それが今あなたが患者さんにできることです、とても重要なことで、それを私はあなたに任せています、と伝えたい。
たくさんの人に、親しみと敬意を込めて、あなたが何十年もともに生きてきて、これからも生きていく名前を呼ぶ。とても尊いことだと思う。だから本人の名前も、家族の名前も大切。
もちろん名乗る自分の名前も大切。
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