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身体だけの偽りの愛に懺悔を。
私には親しくなった同い年の異性がいる。数回夜のドライブに行ったりするだけの仲だったが、ドライブの途中で家に誘われた。
1回目はただドラマを見ただけだった。これ面白いから観ようよってつけてくれたサスペンスドラマ。ちょっとセンシティブな内容もあって気まずかった。でも、2人して面白いねって笑い合って楽しいなって思っていた。
これから話すのは2回目以降の私たち。
第一章 意図せぬ関係
1週間後の夜9時頃
「ドラマの続き観ない?」
急にきた通知に私は舞い上がった。
また会えるんだ。正直ドラマの内容なんか興味なかったけど、会えることが嬉しくて、誘ってくれたのが嬉しくて二つ返事で了承した。家がぐちゃぐちゃになるくらい服に悩んで、急いでメイクして彼の迎えを待った。
ドラマの続きを見ようなんてただの口実だったのか。
「見えにくいでしょ?もっとこっちおいで」
それもただの口実だってわかってる。
2人で1つの暖かい毛布に包まれてその中でそっとに手を握りにくる。私の冷たい手が彼に伝わり互いに汗ばむ。
私の胸に手を当てて触りながら「触ってもいい?」って聞いてくる矛盾。拒んだら、すぐさま彼は気まずくなったみたいだ。
「なんか寒いね。」
そう言って彼は布団を持ってくる。
今度は聞かずに私に触れる。
この人はダメだと気づいた時にはもう遅い。全て許して受け入れてしまっているから。
これはきっと眠たいせい。
もう私には判断不可能
好きだなんて言葉はない。
ただ弄ばれる。
私たちはカップルじゃない。
ただ弄ばれてるだけ。
あなたにとって私はただの…
ただの…ただの…都合のいい女なのだろうか。
エスカレートする愛っぽいなにか。
ドラマの光に照らされた彼の裸体。はじめてじっくりと見た男性の身体に私だけがドキドキしてることもバレちゃって。
もうどうにでもなれ。そんなことを考えながら過ごす2人の夜。
いいよね。うん。
だってこれでも幸せだもん。
幸せ…。うん。しあわせだよ?
我にかえった深夜1時。
「もう帰るね」
「泊まっていかないの?」
「いや、さすがに帰ります」
「そっか…送ってく」
「今日はありがとうね」
「こちらこそ。良いお年をだね。」
「確かに。良いお年を!」
家まで送り届けてくれた彼を見送り部屋にひとりになった。
今日はクリスマスの夜
もう今年は会えないんだな。
そっか。残念。
あれ?残念?
あぁ沼ってるじゃん。
だめだなぁ。はははっ。
愛っぽいなにかがいつしか愛になるのだろうか。
第二章 わかっていても
それからしばらく連絡も取らずにいた。
1月の第2週ごろだっただろうか。
再び連絡が来た。
正直あれから会いたくなくなった。会うつもりもなかった。なのに、連絡が来ただけでそれまで考えてたことなんてすっかり忘れてしまっていた。
私はめっぽう押しに弱い。
内気な人の特徴だとおもう。
自分に構ってくれる存在がいるという事実だけで、私は好きと勘違いする。
きっとそういうことをするのだろうな。わかっていても、彼への返信は「いいよ」だった。
毛の処理やメイク、服装など身だしなみを整えはじめる自分に呆れるほどうんざりした。でも、鏡に映る自分はいつもより可愛くキラキラしていた。
彼に会える。この事実が私の心を操りだして止まらない。わかっていても、わかっていても。
そして、私は彼の望むままに口づけを交わし、せっかくのおしゃれな服もヘアスタイルも彼を満足させる為に手放した。
そして手に入れたのは、
偽りの愛と薄汚い関係だった。
第三章 終える勇気
それから、月1回程度だろうか。彼が私を思い出して連絡をくれる“その日の夜だけ”を半年ずるずると続けた。
何度も何度も終わらなければならないと思ったが、私は終わらせ方を知らない。
私はこれまで男性とお付き合いしたことも、こんな関係になったこともなかった。最後に告白されたのは中学2年生の時で、私は丁寧にお断りした。それから女子校へと進学を決め、男性と会話をする機会すら得られなかった。というか、当時は得ようとしていなかった。
こんな数年を過ごした私は、ある日突然ひとりの男性が仕掛けた甘く暗い罠から抜け出せなくなっていた。
だが、そろそろ罠から本気で抜け出して、この関係に終止符を打たなければと思っている。
告白されてもいないから
「別れてほしい。」ではない。
「終わりにしてほしい。」
「もう会わないようにしよう。」
「もうこんな関係やめよう。」
「これ以上連絡してこないで。」
何が正解かどうか、私は教わったことも経験したこともない。
きっといつか自然に終わるんだろうなと、終わらせると決めたくせに勇気を持てずに言い訳ばかり並べて何もしない自分が、彼にまだ縋り付いていたいように思えて仕方がない。
私はこの先ずっと彼が経験させてくれた全てのはじめてを忘れないんだろうな。
そしてきっと後悔する。
愛ではないこの関係に。
でも少しは感謝してしまうと思う。
私を1人から開放してくれたいくつもの時間。
ネガティブな私にそっと寄り添ってくれた心。
冷え切った私の手を温めてくれた大きな手。
私の話を聞いてたくさん褒めてくれた言葉。
いま文を書きながら私は涙が止まらない。
なんの涙かもわからない。
私は何を得て何を失ったのか。
なんでこんなにも毎日毎日頭から離れないんだろうか。どうして胸がギュッと痛くなるんだろうか。
きっとあなたにとって私は大勢いるうちの1人。だけど私にとってはたった1人だった。
だから苦しい。だから手放したくないんだね。
この先ずっと連絡が途絶えて、誕生日も祝わなくなったら、私は何十倍何百倍何千倍何万倍も私を大切にしてくれて、私を愛してくれて、言葉でちゃんと好きって、付き合おうって、愛してるって伝えてくれる人と幸せになる。
だからもう、私に連絡してこないで。
私を手放して、ね?
ごめんね。それからありがとう。
懺悔
私は謝りたい。
彼氏ができたと友達や家族に嘘をついたこと。
親友にどんな告白かと聞かれて、「家で付き合ってくださいって言ってくれた。」とありもしないことを話したこと。彼の写真を見せてと言われて、「彼氏写真苦手というか、スマホほとんど触らないんだよね。」って嘘の言い訳並べたこと。
たくさん嘘を、ついてごめんなさい。
小さな嘘がどんどんどんどん大きくなって、その度に胸が締め付けられた。
同居始めた姉カップルの話とか、いつも幸せそうにデートしている親友の話とか、インスタにあがってくるカップルの写真とか。全部自分にはないものだった。
求められている話をいつもできないのが辛かった。寂しかった。苦しかった。
だから、嘘でも彼氏ができたって報告した時、みんなが喜んでくれて、興味持ってくれたことが嬉しくて。
気づいたら後戻りできないようになってた。
神様、どうかこの憐れな私のことをお許しください。どうか黒く染まった心を癒してください。いままでのこと全てのことを受け入れて悔い改めます。