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逆境を経験すると寿命が縮む?-ACE研究の知見より
トラウマのセルフケアについての記事を続けています。
今回は、子ども時代に逆境を経験した方が、健康上リスクのある行動をとってしまう場合があること、その結果、健康を損ない命を削ってしまう可能性があること、について解説します。トラウマのセルフケアについても、若干のアドバイスができればと思います。少々長めですが、お付き合いください。いわゆる“ACE研究”についてです。
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20世紀末のアメリカで、子ども時代のトラウマ体験の有無や量と、成人期の心身の健康との関連について、大規模な公衆衛生学的研究が行われました。子ども時代の逆境体験(Adverse Childhood Experiences)の頭文字を取って、ACE研究と通称されるものです。
トラウマ体験とその影響について理解しようとする時、ACE研究は最もインパクトのある研究の一つです。得られた知見をごく簡単に要約すると、「市民の過半数が、子ども時代に何らかの逆境(虐待や、家庭内の問題、例えば家族の薬物問題や精神疾患、家庭内暴力、家族の収監)を経験していた」「4つ以上の逆境を重ねていた人も、数%以上見出された」「子ども時代の逆境体験の有無とその量(ACEスコアの数)は、成人してからの心身の健康と強く関連していた」というものです。
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