NO C&A, NO LIFE no.024 ~チャゲアスとの出会い~

1994年正月。
私は、２ヶ月後に高校受験を控えた中学３年生だった。
その日も勉強を終えて、２階の自室から居間へと降りてきたところだった。

私には３つ上の兄がいる。それほど仲がよいわけではない。
どちらかといえばよく喧嘩をするような関係だった。
運動が苦手な私に対して、運動ができる兄。
勉強が嫌いではない私に対して、勉強が嫌いな兄。
あらゆる面で正反対な兄妹だった。
もちろん、音楽の趣味も。

高校３年生だった兄も受験生のはずだが、兄は居間でビデオを見ていた。
CDTVの年末スペシャル。
私の地元にはTBS局がなく、CDTVは深夜に放送されていた。
流行りの音楽に敏感な高校生の兄は、録画でそれを見ていたのだった。

画面では1993年の年間ヒット曲が流れている。
テレビや街角で何度も耳にした曲たち。
チャゲアスの「YAH YAH YAH」も、そんな曲のなかの１つだった。
はずだった。

サビのメロディとともに画面に映るのは、黒いコートを風になびかせながら大観衆の前で拳を突き上げている２人。
言葉の強さ、力強い歌声、客席と一体になった熱量。
雷に打たれたような衝撃を受けた。
かっこいい！！

この日を境に、私はチャゲアスにはまった。
兄が録画したこのビデオを、兄に見つからないよう夜中に何度も繰り返し見た。
そして、もらったばかりのお年玉を握りしめ、隣町のCDショップで最新アルバムの「RED  HILL」を買ったのだった。