SaaS市場のトレンド変化とriplaのこれから
はじめまして。株式会社riplaの代表を務める張田谷(はりたや)と申します。
今年10月で、私がこの会社を創業してから2年が経過して、3期目に入りました。
この記事では、弊社や私のことを最近知ってくださった方向けに、SaaS市場のトレンド変化とriplaという会社について、あわせて紹介させて下さい。
riplaのこれまで
弊社は2022年11月に、ITベンチャー出身のBizdev(=私)、PdM、エンジニアの3人で共同創業する形で始めました。
3人のバックグラウンドや強みを踏まえて、受託開発を中心に事業展開を行ってきまして、これまでで30社超の企業様のプロダクト開発を支援してきました。
これまでの市場トレンドや私たちの強みもあり、支援させていただいた案件の8~9割が「SaaS」に関する案件で、プロダクト開発を支援することもあれば、上流のプロダクト戦略〜開発まで支援させていただくこともありました。
世間的には、2-3年前に「SaaSの春は終わった」と言われ、SaaS企業のバリュエーションは軒並み低下、ダウンラウンドIPOも続出、これからのIT業界は、AIなどの最新技術の活用が主力テーマかと思われていましたが、
私自身のこの2年間の支援経験から言えることとしては、「これからの3-5年も、SaaS市場は引き続き活況」であり、弊社は引き続きこの市場にフォーカスして、事業拡大&お客様のご支援をしていくつもりです。
SaaS市場のこれから
今後の活況を信じている理由は何なのか、という点については、これまで2年間支援してきた中での私個人の見解ではありますが、直近急速に起きている「SaaS市場のバンドリング化(=統合)」にあります。
数年前のSaaSの春の訪れとともに、この数年間で世の中にはSaaSが飽和し、単一プロダクトで差別化して戦うことは難しくなりました。(また、単一プロダクトによる成長の限界も見えてきました。)
そこでSaaS企業は、「SaaS群(SaaSを複数提供すること)による戦い方」へと移行して、SaaS事業の複数立ち上げや他社SaaSのM&Aを行うことで、「SaaS市場のバンドリング(=統合)」を推進し始めています。
現在ではこの戦略に名称がつき、「マルチプロダクト戦略」と呼ばれていたり、創業当初からプロダクト群による戦い方を見据えている場合は「コンパウンドスタートアップ」などと呼ばれています。
国内市場における分かりやすい事例としては、ホリゾンタルSaaSの「SmartHR」や「freee」、バーティカルSaaSの「Dinii」などが挙げられます。
また、非SaaS企業がSaaS事業への参入するケースも増えてきており、「ラクスル」の先日の決算発表では、その意思表明と見られるスライドがありました。
現在、「マルチプロダクト戦略」や「コンパウンドスタートアップ」の影響で、日本のSaaS市場は再び盛り上がっており、多数のプロダクトがあらゆる企業から生まれていることで、弊社にもプロダクト開発の依頼が増えてきています。
またこの流れは、今後3-5年間は続くことがグローバルの流れからも分かっており、参考としていくつかの海外事例も紹介させていただきます。
ホリゾンタル SaaSとしては、海外HR SaaSのトップランナーである「Rippling」が有名で、HRやIT、Finance領域でマルチプロダクト展開をしています。
また、バーティカルSaaSの有名な事例としては、飲食産業でマルチプロダクト展開をする「Toast」や、住宅改修業界でマルチプロダクト展開をする「Service Titan」などが挙げられます。
日本と海外では、マルチプロダクトが「構想段階」なのか「社会実装段階」なのかという違いがあり、ここから3-5年の年月をかけて、日本は先述した海外企業たちと同じような「社会実装段階」に入っていくものと考えられます。
また、マルチプロダクト戦略についてもう少し詳しく触れると、「ホリゾンタルSaaS」と「バーティカルSaaS」では、戦略の中核が少しだけ異なることが国内や海外事例からわかります。
「ホリゾンタルSaaS」は、業界横断で特定部署(経理部、人事部、マーケ部など)の業務を深く効率化していくために、業務効率を最大化するための「DB投資」が注力テーマになります。
例えば、経理部では「購買DB」を中心に各業務が紐ついて運用されているため、「freee」は優れた「購買DB」を開発して中核に置くことで、各経理業務の効率化を最大化しています。
他にも、HR SaaSでは「従業員DB」が重要になり、マーケティングSaaSでは「顧客DB」の蓄積と活用が重要なります。
※「従業員DB」を中心としたマルチプロダクト展開の事例としては、先述の「Smart HR」や「Rippling」が参考になります。また「顧客DB」を中心としたマルチプロダクト展開の事例としては「PLAID」が非常に参考になります。
また、法務や開発などの専門的なホリゾンタルSaaSを除くと、主要なDBの選択肢は「購買DB」「従業員DB」「顧客DB」のいずれかになることが多く、これからマルチプロダクト展開を考えている場合は、どのDBに開発投資をするかをまず決めることが非常に重要です。
※再掲ですが、ラクスルは上記3つのDB全てに投資すると公表しています。
また、「バーティカルSaaS」についても勿論「DB投資」が重要なのですが、特定業界を対象に全業務の効率化を支援する戦略のため、業務効率化の「深さ」よりも「広さ」にフォーカスが当たることが多く、「プロダクトの数」が注力テーマになっています。
海外では「プロダクトの数」にアプローチしていることを、「End to End(上流から下流まで)」や「All in One」といった単語で表現されることが多いです。
※再掲ですが、先述の「Toast」や「Service Titan」のIR資料やHPにも書いてあります。
また、「バーティカルSaaS」においては、幅広いプロダクト提供を売りにするため、特定のDBに開発投資を絞らず、特定業界における「購買DB」「従業員DB」「顧客DB」「業界特有の現場情報DB」の4つ全てに投資をすることが多いです。
ここまでの説明からもわかるように、これからのSaaS企業は、単一プロダクトでは果たせなかった「差別化」や「成長目標の達成」を実現するために、中核となる「DB」を決めて開発投資を行い、そのDBを中心としたプロダクトを「10-30個」展開していく必要があります。
また、SaaSは業務に深く入り込んで支援するためスイッチングコストが高く、「解約率が非常に低い」ことが特徴です。そのため、「社会実装段階」であるこれから3-5年の間に、いかに早くマルチプロダクト展開を完了して「ユーザーを囲い込むか」の闘いになっていきます。
SaaS隣接市場のこれから
また、SaaSの飽和やバンドリング(統合)は「IT業界」や「IT企業」に留まった話ではありません。
最近では、非IT企業である「BPO企業」からのSaaS参入もかなり増えてきていまして、「BPaaS(BPO + SaaS)」という単語を聞くことが増えてきました。
国内だとSaaS企業がBPO領域に進出することを指して「BPaaS」と表現されることが多いですが、様々な企業様からご相談をいただく弊社としては、BPO企業がSaaS領域に参入するケースも多く拝見しています。
BPaaSの事例としては、国内では「kubell(旧chatwork)」、海外では「Paychex」などが有名です。「Paychex」は、給与計算処理のBPOサービスから始まり、HR領域のSaaS提供まで拡大しています。
話がだいぶ逸れてしまったのですが、これらの事例を通して私が何を言いたかったかというと、「SaaS市場は今後も伸びる」ということと、「SaaS市場の拡大はIT業界と非IT業界の垣根なく進んでいく」ということです。
riplaのこれから
弊社はこれまでのプロダクト開発支援の中で、この市場変化を感じる機会が非常に多く、またこの市場が大変刺激的で楽しい環境ということもあって、引き続きこのSaaS市場における課題に対して、サービス提供をしていきたいと考えております。
具体的には、「Product Lab」というサービスを提供しており、IT事業会社出身のBizDev、PdM、PM、デザイナー、エンジニアによる専門チームが、プロダクトの立ち上げから成長まで包括的に支援しております。
立ち上げフェーズにおいては、「マルチプロダクト戦略に伴う新規事業立ち上げのリソースが足りない」「BPaaS戦略に伴ってプロダクトを立ち上げたいが知見やリソースがない」といった課題をいただくことが多く、新規事業の立ち上げにおけるアイディア検証やMVP開発の支援をしております。
また、成長フェーズにおいては、「競合と比較して劣後している機能差分を一気に開発したい」「ユーザーから求められている機能を期限内に開発したい」など、開発リソース不足の課題が多く、IT事業会社出身のBizDev、PdM、PM、デザイナー、エンジニアによる専門チームを組成して、高品質なプロダクト戦略~開発支援をしております。
活用するリソースは「オフショア」と「国内」の選択肢から選ぶことができ、お客様のニーズ(品質 or 価格など)に応じて、開発支援が可能です。
また最近では、SaaS事業の立ち上げを支援する「SaaS Box」をリリースしました。ユーザー向けUI、ユーザー管理機能やログイン機能など、SaaSに必要な標準機能がすでに揃っていて、低価格&短納期でリリースを実現いたします。
riplaは、プロダクトが大好きな3人で共同創業しておりまして、「革新的なプロダクトを次々と」というミッションを掲げています。お客様が目指す世界観を叶えるためのプロダクト立ち上げや開発を全力で支援いたします。
また、社名のriplaは「ripple(波紋)+infra(インフラ)」の造語であり、お客様が描く様々な社会インフラの形を、弊社の支援を通して、波紋のように広げていきたいという意味を込めています。
最後に
もし、「SaaSの立ち上げ方がわからない」「開発リソースが足りない」などのお困りがありましたらお気軽にお声掛けください。IT事業会社で実務経験のあるプロフェッショナルメンバーが全力で支援いたします!
また、もし弊社に参画したいという方がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡ください。日本のSaaS市場を盛り上げるために、一緒に奮闘しましょう!
ここまで読んでくださりありがとうございました。弊社HPと私のXは以下になりますので、是非こちらもご覧いただけましたら大変嬉しいです。
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