連盟公式ルールとMリーグルールで麻雀プロの成績に乖離があるのか

⚫︎はじめに

こんにちは
さがと申します。

何年か前から楽しんで見ている「Mリーグ」という麻雀のプロリーグがあります。
全9チームそれぞれ4人のチームメンバーが所属し、計36人の「Mリーガー」と呼ばれる選手がいるわけですが、
出場している選手は麻雀プロとして
Mリーグ認定のプロ団体に所属している必要があります。

認定のプロ団体は5団体あり、
1.日本プロ麻雀連盟(連盟)
2.最高位戦日本プロ麻雀協会(最高位戦)
3.日本プロ麻雀協会(協会)
4.RMU
5.麻将連合


36人とも上記のいずれかの団体にかならず所属しているわけです。

その中で最大の勢力が日本プロ麻雀連盟
所属の選手たちとなっており、
実に36人中18人が連盟の選手。
その中でも
俳優の萩原聖人
タレント・モデルの岡田紗佳
声優の伊達朱里紗
元乃木坂46の中田花奈
将棋のプロでもある鈴木大介
がおり、
そのバックボーンもさまざまでバラエティに富んだ選手が多いのも特徴です。

その反面巷ではMリーグルール連盟公式ルールの大きな違いにより連盟プロがMリーグで力を発揮できていないのではということをまことしやかに囁かれています。
実際、連盟所属のMリーガー全体の成績はトータルで大きくマイナスしています。

Mリーグルールと比べて一発、裏ドラ、カンドラ、赤ドラなどの偶発役が無いため手役作りが重要となり、
順位点も違うため順位より素点重視、原点からの浮きを目指すゲーム性は
あまりにもルールの乖離が大きく、Mリーグでの成績が振るわない理由となっている、
と言われています。

逆に赤ドラがないだけでほぼMリーグルールと同様のルールを採用している協会プロはアジャストしやすく力を発揮しやすいのではとも言われています。

本当にそうでしょうか?

そこで連盟所属Mリーガーの成績を連盟公式ルールが採用されている
連盟の最高タイトルである鳳凰戦リーグとMリーグで比較してみることにしました。

比較の際の注意点は以下の通りです。
1.Mリーグ成績は開幕である18/19シーズンから23/24シーズンまでの
 レギュラー通算成績を参照する(参照元:
麻雀ウォッチ)
2.鳳凰戦リーグ成績は17期以降の成績かつ、以下の期まで参照する
 (参照元:
平野良栄プロHP)
 2-1.41期開幕時点でAリーグ所属選手は40期まで
 2-2.41期開幕時点でBリーグ以下の所属選手は41期前期まで
 [※参照元が17期以降のデータとなっているためそれ以前入会の前原雄大p、沢崎誠p、藤崎智p、瀬戸熊直樹p、二階堂亜樹p、二階堂瑠美p、滝沢和典pの初期成績は含まれておりません]
3.以下の選手を除く、連盟所属の元Mリーガーも含む成績とする

 3-1.萩原聖人プロは鳳凰戦リーグに出場していないため除外する
 3-2.鈴木大介プロは2023年がプロ1年目であり鳳凰戦リーグ、Mリーグともにデータが少ないため除外する

※そもそもこのnote自体が連盟プロの成績を網羅している平野良栄プロのデータベースに寄るところが大きい、というかそれがなければ考えてもやろうとも思えなかったことなのでここに感謝申し上げます。素晴らしいデータベースをありがとうございます。

※強さ上手さを測るものではありません。団体リーグ戦やMリーグの半荘数くらいのサンプル数だと何の参考にもならないとお考えの方には意味のない記事となっています。そういうデータもあるよねっていう寛大な心で見られる人だけが見てください。

⚫︎Mリーグレギュラー半荘平均スコア

ではまず、Mリーグでのレギュラーシーズン半荘平均スコアのグラフを見てみましょう。

Mリーグレギュラー半荘平均スコア

Mリーグを観ている方はすでに周知のことと思いますが、やはり目を惹くのはプロ5年目の伊達朱里紗プロの平均スコア。Mリーガー全体でもトップとなる成績を叩き出しています。その反面苦しい成績なのがプロ3年目の中田花奈プロ。これはMリーグ入り1年間の成績なのでまだまだ変動が予想されます。
それに次いで厳しい成績だったのが元Mリーガーの和久津晶プロ。現在女流プロで唯一の鳳凰戦リーグA1リーガーであることを考えると期待を裏切った結果となりました。また、鳳凰位3期、最強戦連覇の瀬戸熊直樹プロ鳳凰位2期の藤崎智プロもマイナスが嵩んでしまっています。
主にこの辺りが連盟ルールの“強者”がMリーグルールで苦戦している印象を大きくしてしまっている要因ではないでしょうか。

⚫︎鳳凰戦リーグ半荘平均スコア

次に鳳凰戦リーグ半荘平均スコアのグラフです。

鳳凰戦リーグ半荘平均スコア

鳳凰戦リーグは直近41期でA1からE3リーグまでの13リーグがあります。連盟Mリーガーもその中で、現役・鳳凰位の佐々木寿人プロからE2リーグ所属の中田花奈プロまで所属リーグの分布が大きく違います。そのリーグの所属プロのレベルや人数、環境も大きく違います。上記の半荘平均スコアは直対成績ではないため一概には語れないかもしれません。
上記を踏まえた上で、Mリーグ成績と鳳凰戦リーグ成績のグラフを重ねて比較していきます。

⚫︎Mリーグと鳳凰戦リーグ半荘平均スコア比較

前述の2枚のグラフを重ねたものが以下となります。

Mリーグと鳳凰戦のリーグ半荘平均スコア比較

麻雀は運による成績の上振れ下振れが大きいゲームだと言われています。
さらに前述している通り鳳凰戦リーグの所属も違います。
それにしては連盟所属Mリーガー同士で比較するとグラフの山、谷がほぼ一致しているのではないでしょうか。
つまり鳳凰戦リーグで比較的成績が良いプロがMリーグでも成績が良い傾向となっているのです。そして逆もまた然りとなっています。

その中で大きくスコアに乖離があったのは和久津晶プロと東城りおプロ。
東城プロは両リーグともにマイナススコアであることを考えると
むしろ和久津プロのみと言えるのではないでしょうか。
そう言う意味でも和久津プロは鳳凰戦特化型プロと言えるのかもしれませんが
単純にMリーグで普段通りに打てていなかったか、下振れていて今も出ていたらスコアが良化していた可能性もあります。

そして今後のMリーグでの成績動向も考えてみます。
鳳凰戦リーグの方が半荘サンプル数が多いのでこの成績を基準と考えると
23/24シーズンまでのMリーグでの成績傾向は以下の通りとなります。

上振れ傾向
二階堂瑠美p、高宮まりp、菅原千瑛p、滝沢和典p、(沢崎誠p、東城りおp)

平坦傾向
二階堂亜樹p、黒沢咲p、伊達朱里紗p、中田花奈p、瀬戸熊直樹p、勝又健志p
猿川真寿p、白鳥翔p、本田朋広p、(前原雄大p、藤崎智p、魚谷侑未p)

下振れ傾向
岡田紗佳p、内川幸太郎p、佐々木寿人p、(和久津晶p)

上振れ傾向選手が今後成績を落とすかもしれないプロ
下振れ傾向選手が今後成績が上がるかもしれないプロです。

そしてデータ不足によりここに記載のない鈴木大介プロ
鳳凰戦ウォッチャーの方はご存知だと思いますが鳳凰戦B2リーグ編入からこの1年、
とんでもない数字を叩き出し
連続昇級により早々に来期A2リーグ入りを果たしています。
昨年Mリーグ1年目の成績は振るわなかったですが
下振れ傾向の選手であり、今後はもしかしたらMVP級の成績を出すかもしれません。
今期の成績は如何に。

⚫︎結論

上記データを元に考えられる私の結論は

・ルールによる麻雀プロの成績に乖離は(ほとんど)ない
・鳳凰戦リーグでの平均スコアが高いプロはMリーグでも高確率で通用する
・タイトルはあるに越したことはないがタイトルが全てじゃない

です。

Mリーグオーナー企業の担当者の方が
次に日本プロ麻雀連盟から選手を指名する際は以上のことを
念頭に置いて指名すると上手くいくことが多いかも…しれません。

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