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災い転じることって本当にありますね。
自分の人生の転換期…と言ったら大げさかもしれませんが、生き方の考えが大きく変わるきっかけとなったのは労働組合の委員長になったこと…なってしまったことです。
それまで会社の仕事は自分に合っていたし、周りの人間関係も良好だったためか、大変忙しい状況にあったものの、毎日充実感がありました。
自分も会社の中で必要とされている実感を持てていました。
それが労働組合の執行委員となったくらいから、世の中の景気と同じように会社の業績が急落します。
そして委員長の時、会社の業務縮小に合わせた大幅な人員削減。
この時1ヶ月くらいは通常業務から離れ、組合として会社の経営側と組合員の間に入って話し合いをする毎日でした。
衰退していく会社をどう立て直したら良いのかなんて、組合の立場から何の提案も思い浮かばず、何をしたらいいのか全くわかりません。
望まない遠隔地への出向や解雇される組合員に対しても、何をすべきなのか、何もできません。
ただただ無力感が増すのみでした。
おまけに何の役にも立ててない自分が、みんなからダメな人間だと思われないか、そんな余計な他者評価を気にしてしまいます。
自分は他人の目ばかり気にし、自分軸のない人生を歩んでいることを強烈に自覚しました。
それから5年後、会社は閉鎖、倒産することになりますが、この間、ずっと自分は生きる価値があるのかと考えさせられました。
労働組合に関わる前は、特に意識していたわけでありませんが自己有用感がありました。
それが組合の出来事でそれまでの自分の自信は大きく崩され、考え方や人生も全く変わりました。
この経験があったおかげで自分に足りないものに嫌というほど気付かされました。
そして人の気持ちを考えるということも本当の意味でわかった気がします。
時間を経た今、この経験がなかったら自分の人生は薄っぺらいものになっていたと思います。
何か失敗したり辛い経験をしないと人は学んだり成長できないのかな…なんて思います。
もちろん失敗は避けたいし、辛い経験なんて2度としたくないです。
しかし辛い経験から考えさせられたり、そこから立ち上がるために行動しようとします。
僕はこの時の辛い経験がなかったら、間違いなく格闘技をやってません。
そしたら人との出会いもないし、リングに上がって試合をするなんて体験もなかったです。
そしてインストラクターとして相手に喜んでもらえるような仕事もしていません。
あの時は出口が見えない憂鬱な毎日で、今の姿など全く予想していませんでした。
『人間万事塞翁が馬』
何がどうつながるかわかりません。
もちろん反対に、良いことが思わぬ方向へ向かうこともあり得るわけです。
しかし起きてることは何がどう転じるのかわからない。
自分の捉え方で変わってくるのだと身を以て感じます。