ノンキャリ外交官ヒロじいの英語の話(その5:何も一流を目指さなくても!)
後数時間で2024年も終わり、2025年、昭和100年が始まります。私のnoteは、ようやくここから、最初のテーマの「何も一流を目指さなくても!」が始まります。
何事も一流を目指さなくてもいいのですが、ヒロじいとしては一流の一歩手前までは行ってほしいと思います。少年よ、大志を抱け!これもいいのですが、語学の勉強は、老若男女、みなさんあまり高のぞみをしないのがいいのではないでしょうか。最初からバイリンガルだ、翻訳家だ、同時通訳だ、これは無理です。最初からゴールセッティングを高めてしまうと自滅してしまいます。私はいまだに同時通訳も無理ですし、通訳でも翻訳家でも十分な域には達してません。「大阪外大のスペイン語だから英語なんてベラベラだよね」、「外務省に入れる人って語学の天才でしょ」と言われるたびに落ち込んできました。なので、決して高のぞみはしない、目標は低く低くでこれまでやってきました。
外務省に入ったときも、電話の応対ぐらいできないと恥ずかしいな、これが始まりでした。本にも書きましたが、最初から苦労の連続でした。劣等感の塊でした。やっぱり新聞くらいは早く読めるようになりたいなでした。そのうち英語やスペイン語での会議のメモ取りができればいいな。レセプションやパーティーでの会話に割り込めるようになりたいな、これは相当難しい。外交文書の基本であるnote verbalくらいは書けるようになりたいな、という感じでした。
簡単な挨拶、スピーチもできるようになりたいな。秘書に口述で口上書や書簡の作成を的確に指示できるようになりたいなという具合でした。外務省で求められた語学力というのは、まさに仕事で使えるレベルのリスニング、スピーキング、ライティング、リーディングを満遍なくということだったのです。私は、中の下ぐらいのレベルだったと自分では思っています。超一流の域に達する人はほんの一握り。実務に必要な程度の4技能、こちらのほうがずっと実社会では大事なのだと思います。
仕事面だけではなくて、例えば私はいろいろなところから勉強しました。アメリカ国歌を英語で歌ってみたいな。Oh, say can you see, by the dawn's early light でしょ。こういうのは歌えたら楽しいかなと思い、トライしました。「ベサメ・ムーチョ」もスペイン語で歌いたいな。Bésame mucho. Como si fuera esta noche la última vez。スペイン人作家の小説が読めたらな、英語の小説も読んでみたいな。自分で目標を次々と決めていくわけです。
私の場合は、オードリー・ヘプバーンの『マイ・フェア・レディ』でした。これは本の中ーにも書きましたが、全曲覚えました。ロンドンなまり、コックニーもマイ・フェア・レディで覚えました。以上が、「何も一流を目指さなくても」についてのお話は終了といいたいのですが、欲張らない程度の目標設定とはいえ、興味が湧けば、時々はきちんと勉強してみることも必要なのかなと思うのです。
例えば今年の夏のパリオリンピック。私が気になったのは、開催国フランスの国歌でした。よくご存知の「La Marseillaise」ですけども、歌詞がフランス語なので最初はよくわからない、きちんと聞いたこともなかったのです。よく聞いてみると、なんとすごいというか、恐ろしい歌詞が並んでいるのですね、フランスの国歌というのは。
敵が、暴君が、汝の子や妻の喉を掻き切りに来るから武器を取れ、戦え。これが国家の歌詞なのです。それに引き換え、「君が代」はいいなと思い直したのですが、きっとフランス人は、過去の歴史、反省を忘れないようにとの気持ちからこの国歌を国是として歌い続けているでしょう。
すると今度は、アメリカ国歌の方も気になりだして、こっちも米英戦争のときにできたというぐらいしか知りませんでしたが、YouTubeで勉強してみました。もともとは4番まであったそうですが、3番はあまりにも時代にそぐわないということで歌われなくなった。最近は独立記念日バージョンというものが歌われてるということもわかりました。何か面白そうと思うところを見つけては、立ち止まってじっくりと研究してみる、すると一段と面白くなってくるのが語学なのだと思います。できれば我々の友邦、G7の国家ぐらいはサラッとでも勉強しておけば、次のオリンピックはもっと楽しいと思います。
次回ももう少し、「何も一流を目指さなくても」の続きをお話をしたいと思います。