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未経験転職にチャレンジしたい人は80%!本当の天職を見つける“自己分析”のはじめ方 (5)
はじめに:理論から物語へ―「天職活動」を実践するために
本書は、「何のために働いているかわからない」状態から抜け出し、自分が本当に輝ける「天職」を見つけるまでのプロセスを、理論と物語を交えてまとめたものだ。単なる理論書でもないし、小説でもない。両方のエッセンスを組み合わせることで、読者がより実践的に「天職活動」に取り組めるようになることを目指している。
ここでいう「天職活動」とは、「就職活動」とは異なる。「天職」とは、やりがいを感じ、楽しく没頭でき、成果を出せる仕事のこと。そして、それをただの運任せではなく、意図的に見つけ出す取り組みこそが「天職活動」だ。本書では、Z世代が抱える停滞感やミスマッチ感の背景を踏まえ、どうすれば自分に本当に合う職種や業界を発見できるのか、そのプロセスを物語形式で描いていく。
未経験転職にチャレンジしたい人は80%。天職を見つけるための第一歩とは
「ところで、優子さんはずっと今の仕事を続けるイメージはある?」
「今の会社で40代50代まで働いている姿は全然見えません。いつか転職できたらいいなとは思っています。けど、やりたいことがわからないし、合う仕事がわからないから踏み出せないでいます。」
![未経験の職種にチャレンジしたいか](https://assets.st-note.com/img/1735092983-PrkwXS2Os9HpgJIFT1yACtNV.png?width=1200)
明は優子の言葉を聞きながら、穏やかな声で答えた。
「それは誰もがそうだよ。実際、20代で転職するときに『自分に合う仕事がわからない』と不安を抱えている人が50%もいる。一方で、『未経験転職にチャレンジしたいと思う人』は80%もいるんだ。それだけみんな今の職種を変えたいと思いつつも、合っているかわからなくて踏み出せないでいる。
一方で、早く踏み出さないと、年齢を重ねるごとにキャリアチェンジが難しくなる。だから、まずは自分に合う職種を早く見つけないといけない。」
明の言葉は重みがあり、優子は考え込んでしまった。自分に合う職種を早く見つけることが、彼女の未来にどれほどの影響を与えるかを理解し始めていた。
優子は少し不安そうな表情で、明に相談した。
「じゃあ…これから私はどうしたらいいんでしょうか。職種だけでなく、私はミッションも提供したいと思える商品・サービスも見つけたいです。この商品・サービスが人を幸せにできると心から思えたら、やりたくない営業だって頑張れる気がします。そして、生き生きと働くことができたら、繋がってプライベートも楽しくなると思うんです。そんな仕事を見つけるために、何から始めればいいのでしょうか?」
「天職の見つけ方」を教わる代償
明は答えた。
「わかった。君に天職の見つけ方の全てを私が授けよう。まだ私は、天職の見つけ方の表面的な情報しか提供できていない。」
「ありがとうございます。」
明は少し間をおいて続けた。
「私はこの天職の見つけ方を今までずっと研究し続けてきた。数百社の企業と数千人のキャリアに携わる中で、一生プロフェッショナルとして活躍できる道を確立するためにまとめたものだ。だから、費用は取らせてもらう。40万円だ。」
「よ、40万円!?お金を取るんですか。」
「当たり前だ。私はプロとしてやっているのだから。」
「た、高すぎます。考える時間をください。」
「いや、今すぐ決めてほしい。私は待ってあげるほど時間が取れない。考えてほしい。今後40年以上とキャリア人生は長い。君にとって天職を見つけて40年働き続けることができたら、それは40万円以上の価値があり、破格の安さではないか。」
「それは、そうかもしれませんが。。。」
40万円という大金。もしこれが詐欺だったら?自分は騙されてしまうのではないか。そう考えると、不安が募ってくる。お金をかけずに天職を見つける方法はないのか。しかし、ネットで調べても自分のミッションなんてわかるわけがない。ましてや仕事の情報も多すぎて到底自分で見つけられないことはわかっていた。明は真剣な眼差しで続けた。
「確かに40万円が君にとってリスクに感じるのはわかっている。しかし、リスクなしに大きなリターンが得られるだろうか。君は今までの人生、自らリスクを負い、自らの意思で決断をしたことがあるのか。決断にはリスクが伴うが、ただ周りに流されて生きるほうがよっぽど大きなリスクではないか。」
優子はその話を聞いて、自然と過去のことを思い出していた。
新卒で就活をしていた頃、何もかもがわからなくて不安だったあの時期。あの頃も自分は、とりあえず自己分析をしてみたが、自分についてなんてわからなかった。わからないから他人に流されるしかなく、安定を求めて選んだ大手企業。結局、世間の評価や親の期待に応えたい一心で今の会社を選んだのだ。
「就活のときも、本当はどうしたいかなんて全然わかってなかったんだ…。」
そう心の中でつぶやき、じわりとした後悔が押し寄せた。
会社に入ってからも、最初は新しい環境に期待していた。でも、毎日同じような営業の仕事が続くうちに、その情熱は次第に薄れていった。まわりの社員たちの表情はどこか生気を失い、ただ機械的に業務をこなす毎日。自分も次第に、そんな「ただ生きているだけの毎日」に染まっていくのを感じていた。
「何のために働いているんだろう…。」
そう感じ始めたのは、入社して1年が過ぎた頃だった。回想の中の自分は、営業目標に追われ、成果を出すことだけが求められ、日々の業務をただこなすだけで精一杯だった。楽しさもやりがいも感じられない、ただ時間ばかり過ぎていく生活。
「もしあのとき、自分にもっと自信があって、自分に合う仕事が何なのかちゃんと考えていたら…。」
そう思うたびに、心が痛んだ。結局、自分の人生を本当に自分で決めたことがあっただろうか。今、この瞬間も、同じことを繰り返そうとしているのかもしれないという不安がよぎった。
そして、心の奥底から静かに響いてくる声があった。
「変わりたい。」
その声は、ずっと閉じ込めていた本当の自分の叫びのようだった。再びあの無気力な毎日を繰り返すわけにはいかない。何かに賭けてみなければ、何も変わらないということは、優子が一番わかっていた。
心からやりたいことさえ見つかれば、自分は変われるのではないかと考えた。
「決断しなきゃ…」
優子は心を決めるかのように、小さく呟いた。
そして、優子は気づいたら頷いていた。
「やります。」
『天職活動』の1つ目の課題
明は頷き、答えた。
「よし、君の覚悟は受け取った。そうしたらまず1つ目の課題に取り組んでもらう。」
「課題があるんですか?」
「そうだ。課題に取り組んでいけば、天職が見えるようになる。」
優子はどんな課題が出るのか、期待に胸を膨らませた。
「1つ目の課題は、自己分析だ。」
「じ、自己分析ですか!?」
優子は先ほどまで40万円という高額の話から、まさか最初の課題が「自己分析」というワードに拍子抜けしてしまった。
「まずはミッションと強みの分析を自分でやってもらう。」
「私は、てっきり天職の見つけ方を教えてもらえるのかと思ったのですが。。。今更自己分析ですか?」
「その通りだ。天職を見つけるために、まずは自己分析という課題を君に与える。先ほど話した、ミッションと強み分析をまずは自分でやってもらいたい。」
優子は、40万円という高額を払ったにもかかわらず、学生でもやっているような自己分析を今更自分でやらなきゃいけないのかと憤りそうになり、顔が赤くなった。しかし、先程私は「変わる」と決断したばかりだ。少し苛立ちを感じながらも、一息おいて、まずはやってみようと切り替えた。
「どうやればいいのでしょうか?」
「まず、ミッションを見つけるためには、これまでの人生で『嬉しかったこと』と『苦しかったこと』を3つずつでも書き出してみて。そこから、優子さんにとって大切な価値観が見えてくるはずだ。そして、強みを見つけるには、これまでの仕事や生活で成果が出たエピソードを思い出して、それを詳しく書いてみよう。どんなときに自分が力を発揮できたのか、自然にうまくいったのかを振り返ると、強みが浮かび上がってくる。」
優子は真剣に頷きながら、明の指示をメモしていた。
「なるほど…じゃあ、まずそれを自分でやってみますね。」
「そうだ。そして、次に会うときはうちのオフィスに来て、その結果を一緒に見る。焦らず、自分自身を深く見つめていけば、少しずつ天職が見えてくる。」
明の話が一段落したところで、優子は本当に天職が見つかるのか、不安でならなかった。そんなとき、ふと照美先輩が見つめながら微笑んでいるのに気づいた。彼女はずっと静かに優子の様子を見守っているようだった。
思い返せば、きっかけは照美先輩だ。私も照美先輩のようになりたかったのだ。
照美先輩は何も言わずに頷き、優子に優しい眼差しを向けていた。その視線には、励ましが感じられ、優子は少し安心した気持ちになった。そして、早く照美先輩のように輝き、やりがいを持って仕事をしたいと思った。
「じゃあ、また来週、結果を教えてくれ。」明はそう言って、すっと席を立った。
照美も静かに席を立ち、優子の背中を軽くポンと叩いて応援するかのような仕草を見せた。その無言のエールが、優子にとって心強く感じられた。
その夜、優子は家に帰り、静かにベッドに腰掛けた。今日一日を振り返りながら、明から聞いた「天職」の話が頭を巡る。これまで自分が何のために働いてきたのか、全く見えていなかったことを痛感した。そして、明に教わった自己分析に取り組むことで、少しずつ自分の道が見えてくるのではないかという期待も芽生えていた。
「まずは、自己分析からか…」
優子は小さく呟きながら、今日の話を頭の中をノートに整理し、自分の未来について少しずつ考え始めた。そして、次に会うときに明に成果を見せられるように、しっかり取り組もうと心に決めた。ここから優子は、天職を見つけていく道がスタートしていく。しかし、現実はうまくいかない壁も待っている。
ノート:天職を見つける方法
◎天職を見つけるために大切な2つの視点
商品・サービス
自分のミッションに基づいて選ぶ。
ミッションが自分の働く目的ややりがいを生み出し、提供したい商品・サービスを明確にする。
職種
自分の強みと好きなことから選ぶ。
職種選びが合っていると成果が出やすくなり、結果的に年収や働き方の自由を得られる。
商品・サービスと職種を切り分けて考えないといけない。
◎ミッション、強み、好きの違い
ミッション:
モチベーションの源泉。「仕事を通じて何を成し遂げたいか」を意味する。
他者貢献を軸に考えることで、自分の幸せや充実感にも繋がる。
強み:
無理なく自然とでき、自信を持って行えること。周囲から評価されるが、本人には「当たり前すぎて気づかない」ことも多い。
好き:
興味や関心を超えて、時間を忘れて没頭できること。楽しく情熱を持って取り組める活動。
◎ミッションを持つ重要性
他者貢献が自分の幸せに繋がる理由:
自分を犠牲にするのではなく、「他者を幸せにすることで自分の人生の達成感や幸福感を得られる」という研究結果がある。
企業のミッションが事業を展開する指針になるように、個人のミッションが仕事の選択に大きく影響する。
ミッションが明確になると、自分が心から提供したい商品・サービスや推し企業が見えてくる。
◎年収や働き方よりもまず職種を選ぶ理由
職種選びはキャリア形成の基盤:
自分に合う職種を選ぶことで、自然と成果を出しやすくなる。
成果が出れば市場価値が上がり、結果的に年収や働き方の自由を選べるようになる。
キャリアチェンジの難しさ:
職種は簡単に変えられないため、早めに自分に合った職種を見つけることが重要。
向いていない職種を1万時間続けるのは非効率で、挫折のリスクが高い。
課題1:自己分析
嬉しかったことと苦しかったことをそれぞれ3つ書き出す。
自分の価値観を見つけ、ミッションを明確にするため。
成果が出たエピソードを3つ書き出す。
自分の強みを発見するため。