見出し画像

歓楽街のクリスマス

  • 今日も酒を飲む。

  • 一人で。

  • いつもの店でいつもの酒で。

  • そこにいる不慣れなバイト生に自分の話をして、程よく酔ったら次の店に。

  • 仕事は何でも屋。

  • 稼ぎは少ない。

  • 今日も酒を飲む。

  • 夜の歓楽街は明るくて、俺のこころは潤いを求めてまたひとりの孤独を紛らわせる。

  • 大口の仕事が入り、現場に足を運ぶようになった。

  • 休憩の時間。喉が渇いたので自動販売機へ。

  • すると16か17の青年がこっちを見ている。

  • 「どうした。」

  • 「。。。。。。」

  • 容姿を見るとぼろ着で痩せていて、ぱっと見ホームレスだと思った。

  • 「飲み物飲みたいのか」

  • 青年はうなずいた。

  • 俺は飲み物と1000円札を渡して、また現場に戻った。

  • 次の日。

  • また現場に行くとその青年が立っていた。

  • 「また、飲みたいのか」

  • 青年はうなずく。

  • そして一つのペットボトルと1000円札。

  • それが一か月ほど続き現場に来る必要はなくなった。

  • 青年にそれを伝えると、いつものように戻っていった。

  • 青年はその男がいつも歓楽街で飲んでいるということをホームレスの知人から聞いていた。

  • その青年はよく行く店に行き一本のボトルを入れた。

  • その男はいつも通り、飲みに来た。

  • 「いつもの」

  • 「かしこまりました。」

  • 「新しいボトルが入っていますよ。」

  • 「え?」

  • 「男の子があなたにって」

  • 今日はクリスマス。

  • 俺は今日も酒を飲む。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?