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恋愛に無縁だった2人が互いに惹かれ合うお話。#0.5【○○side.】

ピピピピ…

今日もまたこの機械音に起こされる

〇:はぁ…

また今日も新しい一日が始まる

今日から新学期だというのに世間一般が感じるであろう、いわゆる’ワクワク感’というものは微塵も感じない

昔からそうだった

小学校でも。

中学校でも。

高校1年生でも。

友達のできにくい僕にとって、クラス替え以上に辛い出来事はない

それでも、行かなければいけない

いくら辛くても、ズル休みをすることだけは何故か自分が許さなかった

重い足を動かしながら円滑に朝の準備をしていく




外に出ると雲一つない青い空に輝かしい点が一つ

平和なクラスでありますように

…とだけ祈って歩き出す

周りはなんだか騒がしい

きっと新学期が楽しみなのだろう

いつか僕もそう感じられるようになってみたいものだ

そう思っていると

??:○○~~~!

後ろから大きな声が

…もう慣れたものだ

〇:おはよう。’美青’

美青:おはよう!


的野美青

一応幼稚園からずっと同じところに通っている幼馴染

しかも中学校1年生~高校1年生まで同じクラス。

お互い恋愛感情がないのは分かりきってて

でも友達以上の関係であることはそれぞれ感じているだろう

この年なっても、たまに二人で出かけたりする程の仲ではある


美青:なんだよ~
今日も元気ないじゃん

〇:理由分かってて聞いてくんなって

美青:大丈夫!今年も私が同じクラスにいてあげるから

〇:…助かります


実際、この数年間美青には助けられてきた

同性の友達はもちろんたくさんいるのに、僕のことを優先してくれる

いつも「友達いないの可哀そうだから」と冗談交じりで言ってくるが、僕は密かにその言葉に救われてきた


美青と肩を並べて歩くこと数分

今年もこの時がやってきてしまった

美青:やったー!クラス一覧だ!

登校すると先生から一人一枚クラス名簿の紙が配られる

美青:○○!また同じクラスだよ!やったね!

〇:すごい確率だな…

今年もまた美青と同じクラスらしい

とりあえず、今年一年間もどうにかなりそうで安心する

美青:あ~
今、私と一緒のクラスで安心したでしょ?

〇:まぁ

美青:素直じゃないな~
私は嬉しいよ?○○と一緒のクラス

〇:…僕も

美青:ツンデレかよ~

そんな他愛のない話をしながら教室に向かう

教室につくと二人でお互いの席の位置を確認する

4年間見てきた的野…村山の並び

おっと…申し遅れましたね

村山○○です。以後お見知りおきを

美青:また前後じゃーん
話しやすいね!

〇:そうだな

そういって二人そろって席に着く

クラスにはどんな人がいるのかな

興味本位で教室を見渡してみる

〇:……っっ!

僕はある一人の”少女”を見た瞬間、心がドキッと跳ね上がった

僕はそうなった自分に驚いた

その日の学校生活はその子のことで頭がいっぱいだった

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