#5 ハウスクリーニング
さて、モサモサというアイデンティティを失った元モサモサハウスの新たなる門出だ。
まずは不動産屋さんの紹介でハウスクリーニングを入れる。家を丸ごと掃除してくれて、3.5万だ。以前に自分の借りている賃貸物件でお風呂のクリーニングを頼んだ事があるが、その時はお風呂だけで1.2万だった。ハウスクリーニング業界の計算方法は謎である。
ハウスクリーニングのおっさんによると、移動に時間がかかるので、単品注文だと高くなるという。
それにしても、今は12月なのだが北側にあるキッチンの床が冷たすぎる。キンキンに冷えていて、数分も立っていると足の感覚が無くなり、塹壕足(ざんごうあし)になってしまいそうだ。
塹壕足とは、湿った冷たい靴下やブーツを何日も履いていることによって起こる寒冷障害。 主に塹壕戦が繰り広げられた第一次世界大戦において、塹壕に潜伏する兵士に見られる足の疾患である。
この令和の平和な時代に、塹壕足になっては堪らないので、自分は縁側に逃げキッチンにあるエアコンをつけようとするが、おっさんは「大丈夫ですよ、ハハハ」と笑顔でキッチンを磨いている。現代の戦士の姿がそこにあった。
ハウスクリーニングの結果としては、自分で出来たかなという気がする。
というのも私がハウスクリーニングに過度な期待をしすぎていたというのが主な要因だろう。YouTubeなどでハウスクリーニングの「爆ツヤ!キッチンシンク鏡面仕上げ!」などを観てしまっていたのだ。
それでも最後にはフローリングや縁側にワックスもかけてくれた。何より、塹壕足にならずに済んだのだから、安かったと言えよう。
次の日にはエアコンのクリーニング業者もやって来た。ウチは旗竿地の奥にあるので家の前の私道に業者の車を停めてもらうのだが、バキバキと音がする。
「大丈夫ですか?」と聞くと、「大丈夫です。」との返答で早速作業が開始される。
エアコン4台の下を養生し、エアコン用のシャンプーハットのようなものを被せて洗浄していく。
バケツに溜まった黒い液体を見せられ、「これがエアコンの中に溜まっていた汚れです!」、「わーすごいこんなに!」とかいうやりとりをしていると、外から「すいませーん」と呼ぶ声がする。
出ていってみるとウチのお向かいさんは3件あるのだが、入り口の家の奥さんと真ん中の家のお爺さんがいて、入り口の家の前に置いてあった犬の置物が壊れたと言う。
さっきのバキバキはこれだったんだ。犬は等身大で陶器製のものだった。
絶対高いやつ!!!
何てことをしてくれたんだ!!
業者に伝えて一緒に謝る。弁償を申し出るが、奥さんは良い人で「処分しようと思ってたので大丈夫です。破片だけ持っていってくれれば。」と言って頂ける。
業者は割れた陶器の犬の破片を持って帰っていった。
近くのホームセンターで九州フェアをやっていたので、薩摩揚げを買って奥さんの家に改めてお詫びに行く。
「気にしなくて良かったのに。ありがとう。」と受け取って頂けた。
高そうな犬の置物は薩摩揚げに変わった。共通点は色だけだ。
前回味を占めたチンピラ(義兄)が、何か仕事はないかと言うので、5千円で裏口の土間と透明の波板を高圧洗浄させる。
そうして、ハウスクリーニングが全て完了した!
不要な残置物等はメルカリやジモティーに出品すれば良いだろう。
メルカリではよく分からない物から順に売れていく。メルカリ民が食い付くワードを題名に入れるのがポイントだ。
レトロ、アンティーク、アイアン、木製、多肉植物、エアプランツ、猫
などのワードは人気がある。メルカリ民は主婦層が中心と言われている。
大きいものとか、タダでもいいものは0円でジモティーに出すとすぐに取りに来る。ジモティーは男性が多いと思う。
ジモティー民は民度が低いと言われており、返事が返ってこなかったり、約束の時間に来なかったり、違う所に居たりすることがある。
約束の日の朝に「本日は宜しくお願いします。」とリマインドを送っておくと、多少リスクヘッジできる。