#3 家の決済、引渡し
モサモサの家を300万円から250万円に指値(値切り)して買付が通った。
普通は買付証明書を書いて手付金を払って…などやるかもしれないが、家にしては金額が低い事と、現金決済のため求められなかった。
この家を見に行ったのが2020/12/15だった。不動産屋の担当者に「決済はいつにしますか?」と言われて、税金の関係で年内に購入したかったので、キリストの誕生日に決済する事になった。
家を購入する場合、出口戦略も考えてから購入するべきだ。これはメルカリの経験もあったので、身に付いている事かも知れない。ブランド品や家電などは、購入時のレシートやパッケージを取っておいて、売る時に良い値段で売れるように意識している。
安いものを購入して捨てるか、良い物を購入して売るかは常々意識するところだ。
この家の出口戦略としては
実需(自分で住む人)に売却
投資家にオーナーチェンジ
家を解体して更地にして地主に返却
が考えられる。最後のやつは解体費用(150万円くらい)を自分で出さなくてはならないので、本当に最後の手段だ。
投資に失敗したとしても損失は最小限に抑えられると思い、購入する決断に至った。
家を売却した際にかかる不動産譲渡税は5年未満の短期譲渡だと39%、5年以上の長期譲渡だと20%だ。税金がほぼ倍変わってくる。
これは売却する年の1/1時点で5年を超えているか、超えていないかで決まる。なので年内に決済しないと、実質6年以上は売却出来ない(したくない)のである。
キリストの誕生日の朝10時頃に不動産屋さんの店舗を訪れ、重要事項の説明を受ける。
売主さんは80代のお婆さんで今は施設に入っているとの事で、娘さん(60代)がやって来た。司法書士さんもやって来て、一緒に売主さんが入居されている介護施設へ行く。
売主さんが職員さんに車椅子を押されて現れた。優しそうなお婆さんだった。コロナ禍につきこちらは庭から、あちらは室内からの応答となった。司法書士さんが売却の意思確認をし、サインを貰う。最後に手を振って下さる。
決済のために三菱UFJ銀行へ行く。銀行で融資を受けていれば部屋に通されるが、現金一括払いなので私の口座から売主さんの口座へ現金を移すだけである。
銀行の入り口で私、不動産屋さん、売主の娘さん、司法書士さんが集まっていたので「密です!」と行員さんから注意される。
今度は売主さんの銀行に移動し、娘さんが着金を確認。
この物件が借地なので地主さんの家に挨拶に行く。地主さんも80代の老婆である。耳が遠いので売主の娘さんが耳元で叫ぶ。
娘「こちらの人に家をお譲りするので、今度土地の賃貸借契約をお願いします!」
地主「分かりました。では1万5千円を。」
私「はい、分かりました。」
と、財布からお金を取り出そうとすると、
不動産屋さん「ちょっと待ってください!まだ土地の賃貸借契約はしてないので、お支払い出来ません!(地主の)息子さんからご連絡下さい!」
と止められた。
どうやらこの地主さんは旦那さんの不動産を相続し、息子さんがサポートしているようだった。
最後に物件へ行き、玄関の鍵と裏口の鍵、倉庫の鍵でちゃんと開閉できる事を確認し、鍵の引渡し。
外に出ると、さっきは無かった車が絶妙に邪魔な位置に停まっている。
私の購入した#モサモサハウスは旗竿地の奥にあり、家の前に4メートルほどの私道があるのだが、私道の出口付近に停まっている。
私「こちらの車は、どなたの車ですか?」
売主娘「ああ、これは向かいの家のお爺さんが停めてるんです。やめて下さいって言ったんですけど、隣の家の人に了承を貰ったって言ってて。息子さんが奥に車置いてるんで、2台目は月極駐車場に置いて欲しいんですけどね!ウチは月極借りてましたけどね!」
と、プリプリした様子。
私は内心「マジかよ。内見の時にこの車停まってたら借り手見つからんぞ。」と思い、「あ、やっぱ250万返して。」と言ってしまいそうだった。
覆水盆に返らず。
お金はもう支払ってしまった。司法書士さんも登記しに行ってしまった。売主の娘さんは「いい借り手が見つかると良いですね!」と笑顔で帰っていってしまった。不動産屋さんはまだ「4.5万で外国籍の方に貸しませんか?」と言っている。(何の罰ゲーム?)
とりあえずその日はもう何もやる気がせず、私も帰った。
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