ネットワークビジネスをやった時の話
こんにちは!メルカリ大家イリームです!
私はメルカリにハマり、ついには家を売り買いしたくなり、不動産投資の道へ入った35才の愛知県在住の女である。
行動力だけ異常にある私は、これまでに様々な副業に手を出してきた。
これはそんな私がネットワークビジネスに手を出した時の話だ。
私はもみほぐしの店でセラピストとして働いているのだが、同じ店にシズカさんという女がいた。
ちなみに、もみほぐしの店のスタッフは全員個人事業主で、完全歩合の世界で戦っている。
個人事業主なんかになる人間は、クセが強い。
安定とは真逆の世界に身を投じているのだから、クセが強くなきゃやってられない。
このシズカさんという女も、40歳にして前髪に赤メッシュが入り、その前髪を流すのとは逆サイドを刈り上げショートヘアにしている。両耳にピアスが5つぐらい付いており、鼻ピまで付いているという見るからにクセが強い女だった。
想像できただろうか?もしかしたら、自分の想像力が足りないのかなと不安になった人もいるかと思うが、合っている。
その想像で合っているのだ!
シズカなどという名前だが、見た目からしてもうウルサイ。情報過多なのである。
そんな女が、「イリームちゃん、電気料金安くしたくない?」と聞いてきた。
「安くしたいですねー。」と答えた。
「安く出来る方法あるから紹介するよ!私車出すから今度お茶しよう。」と誘われた。
こんな見た目からして怪しい奴の話に乗るのもどうかと思うが、その時は「いーですよー。」と安請合いした。
後日、シズカさんが家に迎えに来て、金山駅付近に連れていかれた。
商業ビルみたいな所のペントハウスにエレベーターで登ると、大理石の玄関が迎えてくれた。
40畳はあろうかという広いワンフロアに、大きな壁掛けのテレビと白い高そうなソファが置いてあり、バーカウンターの奥に40代くらいの男性が立っていた。
「この人が電気料金安くするやり方教えてくれるから。」とシズカさんが言った。
男はバカラの様なグラスに丸い氷を入れ、烏龍茶を注いでくれた。私はゴッドファーザーみたいな気分で烏龍茶を飲んだ。
男によると電力自由化に伴い、電気を乗り替えられようになった。そしてアンビットエナジーという電力会社に乗り換えれば中部電力よりも安くなるという。
さらに、ビジネスプランもあり、3ヶ月以内に自宅も含め3件の電気をアンビットエナジーに切り替えれば、初期費用1万円のうち5000円が返ってきて、さらにビジネスをやる下(アンダー)を作れば5000円戻ってくる。さらにその後自分が契約を取った家から毎月100円ずつ自分に入る仕組みだという。
このアンビットエナジーという会社はネットワークビジネス(マルチ商法)という口コミで広げるビジネスモデルらしかった。
この男の人はシズカさんのかなり上(アップ)らしい。話が上手くてノせられ易い私は、「3件ぐらい簡単じゃん♪アンダーは彼(現夫)を登録すればいいな♪」と思いビジネス登録をする事にした。
私はシズカさんのアンダーとなり、初回の登録をした。
ペントハウスの下の階に男の事務所があり、そこのパソコンでメアドやら銀行口座やらを入力した。
早速、自宅の電気をアンビットエナジーに切り替えた。
これまで人が検診してきた電気メーターをスマートメーターというネットで電気使用料が分かるメーターに切り替えが行われ(1ヶ月後くらい)、電気契約が切り替わった。
切り替わると言っても、これまで通り中部電力が電気を送っている。電気を購入する先がアンビットエナジーに切り替わるだけで生活に何ら影響はない。
次の週には彼氏と同じ職場の長屋さんを男のいる金山のペントハウスに連れて行った。
長屋さんは他にもネットワークビジネス(健康飲料?)をやっているらしく、男のバーカウンターの奥にワインと混ざって置いてある紫色の飲み物が分かるようだった。
どうやらこの2人はネットワーカーと言われる人種で、口コミで商品を広めるのが得意なようだ。
ネットワークビジネスをやる人には2種類いて、他のネットワークビジネスをやるのはダメだという人と、この2人のように複数を掛け持ちしている人がいるようだ。
私の彼氏はカモがネギを背負ってきたような存在なので、話を理解しているかはさて置き、私のアンダーとなった。
長屋さんは彼氏のアンダーとなった。このように芋蔓式に下が増えていき、その下が取った契約からも自分に毎月100円ずつ入る。そんな増え方をするのがネットワークビジネスというやつだ。
チリも積もれば山となるのだなぁ。としみじみと思いながら、私はゴッドファーザーの烏龍茶を飲んでいた。
私は自分の住んでいるアパートと、実家と、空き家になっているおじいちゃんの家の電気を切り替えた。
妹が後日「アンビットエナジーってネットで調べたらネズミ構って出てきたんだけど大丈夫?」と聞いてきた。
うちの妹は私と正反対の性格で、非常に心配性だ。同じ家庭で育ったのにこうも性格が違うとは。
心配性と言えば、ストーンヘンジを作ったケルト人は一説によると、空が落ちてくるのが心配で作ったらしい。
私だったらあの巨石が落ちてくる事の方が心配だが。
話が逸れたが、大丈夫である🙆
ネズミ構は犯罪だが、ネットワークビジネス(マルチ商法)は合法なのだ。
ネズミ構はどんなに下の階層からも収益が上がってくるが、ネットワークビジネス(マルチ商法)は7階下まで収益が上がるが、それ以上下の階層からは上がってこない。
この縛りがあると後から始めた人でも不利では無くなる。アップよりも収益を上げる事も出来るようになるのだ。
彼の契約はチンピラ(彼の兄)宅と彼の実家で取ったが、あと一件が取れない。親戚や友達にも連絡してみるが、誰も乗り換えようとしてくれない。
この時の私は「電気代安くなるのにそんなに嫌かなー。」と思っていたが、今にして思うと分かる。
なんか面倒くさいし、よく分からん会社だから嫌だ。電気代が安くなると言っても数%だし。といったところだろう。
介護士をしていた時に知り合いになった50代くらいの女性と連絡を取り、金山のペントハウスに連れて行った。
この女性は以前に美容ジェルを紹介してくれた。何でも、宇宙にあるチタン?だか何だかがジェルに混ぜられていて良いのだそうだ。
「1つあげるからぜひ使ってみて!」と、パンフレットと一緒にくれた。
部屋に置いておいたら、心配性のケルト人(妹)が「これマルチ商法のやつだよ。」と言ってきた。
この時の事をふと思い出した私は、ジェルと電気は関係ないから掛け持ち可能だろうと思い連れて行った。
ゴッドファーザーの烏龍茶を飲みながら男の話を聞き、「一緒にやりませんか?」と聞かれたが女性は「やりません。」とキッパリ答えた。
帰りの車内で感想を聞くと、「あの男の人は開口一番に『胡散臭い奴だと思っていると思いますが』と言った。私はそんな事一言も言っていないのに。つまりは彼自身が自分を胡散臭い奴だと思っているということ。そんな人の話には乗れない。」との事だった。
手持ちの札が全て尽きた私は、狩り場を変える必要があった。そこで目を付けたのは、マッチングアプリだった。
早速、マッチングアプリに「副業に興味があるピチピチの29歳♡(当時の年齢)」で登録した。
数人からメッセージが届き、その中の1人とアポイントを取り付けた。
数日後、金山にあるカフェで待ち合わせた。同い年くらいの大人しそうな男だった。
「最近副業を頑張ってまして。」と切り出す。
「そうなんですね、僕もです。」と男が答える。
「どんな副業されてるんですか?」と聞いてみる。
「電気料金が安くなるプランをご紹介してます。」と言う。
「もしかして…、アンビットエナジーですか?」
「はい。あ、一緒ですか?」
というオチだ。枝分かれしているが元を辿ればペントハウスの男が、私とマッチング男の上流のアップであった。
2人でペントハウスに行き、ゴッドファーザーの烏龍茶を飲みながら「意外と3件ってキツイよね〜。」と言う話をして別れた。
そんな事があったしばらく後、私と彼氏とシズカさんとシズカさんの友人(シズカさんの直アップ)で決起集会を開いた。
シズカさんの友人は意外と普通の女性だった。補正下着のネットワークビジネスもやっているらしい。
「イリームちゃん速攻で3組ペントハウスに連れてったらしいね。ペントハウスの男が褒めてたよ!」と言われたが、普通じゃね?と思った。
どうやら普通はもっと行動量が少ないようだ。
カモネギ彼氏は「友達に聞いてみたけどダメだった〜。」と早くもやる気が全くない。
シズカさんの友達が「シズカが契約取れないって言うから、一緒に近所の家一件一件飛び込み営業しようかって言ってるんだ。」と言う。
なるほどそれは精神的にキツそうだが効率は良さそうだ。だがシズカさんの見た目で一般家庭の呼び鈴を鳴らすのはやめてあげて欲しいなと思い帰宅した。
私はさらなる狩場の変更を考えていた。そこで閃いたのは、趣味で一時期ハマっていたタロット占いの練習をさせて欲しいという体で人に会うという方法だ。
早速ジモティーで「タロット占いの練習をさせて下さい⭐︎」という募集を出した。
早速応募があったので、熱田のイオンにあるフードコートで待ち合わせた。現れたのは40代くらいの主婦だ。
イオンのフードコートの一角でタロット占いをする。
「う〜ん、旦那さんはもっと愛されたいと感じているようですね。」
「えっ、子供4人もいるのに⁉︎」
占いは当たるも八卦、当たらぬも八卦だ。
「ところで、電気料金がお安くなるプランをご紹介可能なんですが、いかがですか?」
「あ、そういうのはウチいいです。」
と言ってその主婦は帰って行った。
ですよね〜と思って私も帰ろうとすると、お爺さんに声をかけられて、「あんた占い師なの?わしも占ってもらえんかのぅ?」と言われこの爺さんも占う事になった。
私は熱田のイオンのフードコートでタロット占いをする女としての地位を確立しつつあった。
お爺さんに電気料金がお安く出来るんですけどーと言うと「えーよ。これウチの電話番号。」と言って連絡先を教えて貰った。
早速、その電話番号に掛けるとおじいさんの奥さんぽい人が電話に出た。
「あの、私先ほど旦那様とお話させて頂いて、電気料金の乗り換えをご検討頂いてまして。ご説明にあがりたいのですが。」
「そういうのは結構です。」
あたりまえ体操♪
他にも、同い年くらいの男が引っ掛かり、小牧のサイゼリアで会った。男もタロットを勉強中との事だった。
今度、名古屋でタロット仲間のパーティーがあるから来ない?と言われ、私は人が沢山いるなら可能性が上がるなと思い参加することにした。
パーティーは新栄にあるカフェを貸切って行われていた。年齢層はバラバラで、同い年くらいの人から年配の人まで様々だ。
ところでこの参加者たちは、みんな9という数字のネックレスを付けている。
「どうしてみんな9の数字のネックレスを付けてるんですか?」と聞いてみるが、誰も明確な答えをくれなかった。
私は勝手に、若い時の苦労は買ってでもしろの9かな、と思う事にした。
この数字の9を信仰している集団は、若い起業家の卵みたいな人達だった。
「今度新栄にバーをオープンするから、友達連れてきてね。」と名刺を渡されたりした。
お金の事は学校で教えて貰えないから、お金のことを学べる学校を名古屋に作ったらしく、この9の集団はそこに100万ぐらい出して通っていると言うのだ。
先生と呼ばれる人に会わされ、名前を伝えるといきなり下の名前を呼び捨てで呼んできて(何かの心理テクニックかと思う)、あなたはどうしたいのか、何が望みなのかと聞いてくる。
そんなコーチング(?)のような事がなされ、私の望みを叶えるためにはお金の勉強をする必要があるから、100万で入学しましょうという話をされた。(今なら特別に80万円!)
なんと!私は自分が狩ってやろうと思ってここに来たのに、いつの間にか狩られる側になっていたのである。
なんというコペルニクス的転回だろう!
蛇の道は蛇
同じ穴のムジナ
ミイラ取りがミイラに
目には目を、歯には歯を(ハンムラビ法典)
上には上がいるものだ。
こうして、私のネットワークビジネスへのやる気の火は消えたのである。
というわけで彼氏は3件の電気契約が出来なかったので5000円の持ち出しとなった。
長屋さんは「知り合いに話しましたが興味ないって感じでした。私は実物がないとダメみたいです。」ということで辞めていた。
ヤングリビングというアロマのネットワークビジネスが好調なので一万円の持ち出しだが気にしていない様子だった。
上位のタイトルを獲得しないと貰えないオリジナルのトートバッグも持っている。
そして今でもたまに新しい商材があるとLINEが来る。この前は体に貼るパッチで癌が治ったとか若返ったという臨床例を送ってきた。
シズカさんも辞めた。彼女は見た目の割に消極的な所がある。
今でも新しいビジネスの話があるとLINEをしてくる。
35歳となった今ではこんな見るからに怪しい奴の話には乗ろうと思わないが、とりあえず何をやってるのか聞き出してみる。
この女はいつも誰かにこっちの連絡先を教えようとする。
ネットワークビジネスは儲けようと思うと上手くいかないと思った。
自分がそこの商品が好きで、何を使っているのか聞かれたら教えようぐらいのスタンスじゃないと続かないだろう。
ノルマの為に押し売りしようとしても、人は離れて行ってしまう。
高校生の時に、真似っこ女子がいて、いつも私の髪型をマネしてくる女子がいた。
いつの間にか同じペンケースや小物を持っている。
このような女子にはお勧めし易いかもしれないが、たまたま自分もそこで買った風を装うので、あなたからは買わないかもしれない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?