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【映画】ボレロ 永遠の旋律


先週公開。わりとすぐ見てきました。
公開日に観た知人が混んでいたと言っていたけど、ぜーんぜん。
この知人はすごくよかった、と言っていたけど、後から調べたら結構賛否。
でも私も好きだった。

1. 主演俳優がイイ

ラヴェル役はラファエル・ペルソナ。今まで何故知らなかった…?!ってくらいかっこいい。【アラン・ドロンの再来】にも肯えるいろっぽさ、うつくしさ。調べたら仏版シティーハンターで槇村秀幸役(仏版なので役名はトニー)も演ってたらしい。
所謂Aセクに近い、性愛に向けるものの薄さや音楽にとり憑かれている感じ、ストイックというか生真面目というか不器用というか。おじになっても青い雰囲気がばっちり。そらモテるわ。娼館にも行くけど、何もしない。娼館の1階でピアノを弾いて、娼婦たちが歌うシーン好きだったな。
この映画に否と言っている人も、「主演の顔がいい」「主演の顔のおかげでもった」というほど。勿論演技も雰囲気もすごくよかった。

2. オープニングの様々なボレロとエンディングのボレロ

エンディングで1行、字幕で語られるには、15分にいち度、世界のどこかでボレロが演奏されているらしい。それを示すような、いろんな国の、いろんなバージョンのボレロが数珠つなぎ。これわくわくする。
エンディングはパリオペラ座の元エトワール、フランソワ・アリュがオーケストラの周りを踊る。当時ではなく、現代の感じ。
素敵だったけど、これだけボレロの話をしているのに、ディアギレフやベジャールについてはなんっっっっにも出てこないのが逆に不自然。権利の関係?

3. 女たち

・かつて思い合っていた人妻、友人の姉であるミシア
芸術家たちのミューズみたいな存在でもあったらしい。でもなんか、厭。女に嫌われる女って感じ。かれしの女友達にいたらいやだわ。あまり魅力はわからなかった。

・作曲を委嘱したバレエ団主催者でありダンサー、イダ
毒々しく、華やかで、正直でくどい。実際結構奔放な人で、ダンサーと言うよりパフォーマー?ボレロで踊って見せたときに、直截すぎて、「ここは娼館か」とラヴェルは憤慨する。正直ダンスはあんまり。。。
しかしミシアといい、イダといい、現代日本からすると男女逆転か?と思うくらい、女ふたりはラヴェルに迫る迫る!グイグイ。ラヴェルのほうが戸惑ったり、「えっ、あの…ちょっと…」と乙女のように怯むシーンも。

・親友であり同僚のピアニスト、マルグリット
かわいらしく、プロフェッショナルであり、あたたかい。いい意味で芸術家感はうすく、説明にあるように親友だというのなら、もっとこの人を見たかった。グイグイ色香を前面に押し出す前者ふたりに食傷気味なところに、ほっとする存在。

・家政婦のルブロ婦人
ラヴェルにピアノ曲のことを聞かれて、「流行歌のほうが好きなんです」と打ち明けて、一緒に「バレンシア」を歌うシーンが本当に好き。かわいかった。あと靴を忘れるラヴェルに届けるシーンも。

4. 実際の内容やストーリー

実際の内容やストーリーが、思ってたのと違う、と感じる人は多いのかもしれない。否と言う人は、そういうことなのかもしれない。
ボレロ誕生秘話、というよりはラヴェルの苦悩や生きにくさに焦点が当たるし、ラヴェルの半生、というよりは、ボレロ周り以外の話は驚くほど出てこない。
あと時系列がちょっとわかりにくいというか、難しいというか、わかってもやる意味あるかわからなかった。
最後、病気でいろいろ不覚になってしまったラヴェルと、ぐるぐる廻るボレロ。文字通り「永遠の旋律」。
病気のせいで、執着や苦しみから解き放たれたようで、これはこれでhappy endなのかもしれない、と思った。


そしてこれを観終わったら、大好きな「愛と哀しみのボレロ」を観たくなった。ちょうど少し前に恩田陸の「spring」を読み終えたのも、いいタイミングだったな。

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