あるモンクの手記より_秘密の工房2
石歯山への道
さて、レイアさんから受けたミッションに早速とりかかろうとして、まずはシロップさんの店に立ち寄った。
いい笑顔で出迎えてくれた彼女(おれたちが金蔓に見えたに違いない・・・)からポーション・オヴ・ヒーリングを一人一個ずつ持てるように購入すると、早速石歯山へと向かった。
あらかじめレイアさんから忠告は受けていたけれど、このエルダーガルド周辺は本当に治安が不安定だ。
これは乱暴者が多いとかそういうのではなくて(そういうのもあるんだけれど)、急な天変地異とか、ポータルが開いてとんでもないモンスターが出てきたりとか。
そういう意味でも何があるかわからない地域だ。
で、早速見舞われたよね。
何があるかわからないってやつ。
正直に言って意識を失った。
失った、というか、朦朧状態。前後もよくわかんなくてさ・・・うっすらとシルワに運んでもらったことだけ覚えてる。
気がついたらエルタレルの宿で寝てた。不覚。
石歯山までは丸一日って感じの距離で、時間がかかるのはよくないという話になって、それならとまずはヘルライダーの宿舎を訪ねた。
軍馬を借りれないかと思って。
こないだ助けた兵士の人が対応してくれて、今回だけならというわけで軍馬を借りることができた。
という訳で、出発だ!
しかし、この近辺はほんと、何が起きるかわからない地域で・・・
気がついたらまた宿だった。
この地域どうなってんの???
治安が不安定。・・・そう、そういう、こと・・・。
さすがに馬を借りっぱなしにするわけにもいかず、軍馬は返して、代わりに馬を別のところから借りてもう一度石歯山を目指す。
今度は濃霧で、前もよこもわからない。
ここはレンジャーであるグレイタが頑張ってくれた。おかげで濃霧を抜けて、石歯山に到達することができた。
足跡の先
さて、ヘルライダーからは大体の位置を聞いてはいるけれど、その詳細な位置まではわからない。
彼らが襲われたポイントから、そう遠くないところにオークの拠点があるはずである。
ひとまず、細道を見つけたので山をひたすら登り、それが途切れたところで周囲を探すと足跡を見つけた。
それも途中で消えているけれど、どうやら山の上から降りてきた足跡のようだった。
それを追い、さらに小道を見つけたのでそこに入っていくと、崖を削って作ったような細道に出た。
左手は谷底に通じていて、落ちればひとたまりもなさそうだし、右手も険峻な崖が立ち上がっていて上が見えない。
水袋や動物の骨などが落ちていて、生活の跡が伺える。いそうだな、という訳で進めば、案の定道の先にはオークがいた。どうやらここがアタリのようだ。
グレイタがギリギリまで近寄って、オークを狙い撃ちした。
こいつを相手にしているうちに、奥のオークが何かを叫びながら上へと走っていった。
おそらく仲間を呼んでいるものと思われた。
さっさと倒さないと。
ひとまず、目の前のオークをどうにかしないといけない。上手く気絶させて、さあつぎだと思ったら別のオークが倒れた毒オークにジャベリンを投げつけて爆発させようとしてくる。
くっそ、こういうことになると頭が回るな!
ジャハナが機転をきかせて、オークを谷底へと落としてなんとかなった。
エルマーとジャハナがさきに上へ上がっていって、おれたちも走り出そうとしたんだけどエルマーの「矢狭間だーっ!」という警告の声がした。駆け上がると確かに石造りの堅牢な城壁に突出した矢狭間が3つほど並んで見える。鏃が光る場所もある、前を通れば狙い撃ちは免れないだろう。
多少の怪我を覚悟で通り抜けていくしかない。
ところがちょっと困ったことになった。
矢狭間の前を通り過ぎてすぐのところが隘路になっていて、そこにオークが先に進めないよう立ち塞がって、矢狭間の射程範囲から出られないようにした。
おかげで体力の三分の一持って行かれたよ。いやもっとかも・・・
エルマーが体当たりしてこれを押し出したのでなんとか先に進めたんだけど・・・。蜂の巣にされるかと・・・。
どうやら壁の向こうでは弓を持ったオークが入れ替わり立ち替わりと順繰りに弓を準備しているようだ。中にオークがたくさんいそうである。
城砦・・・?
狭い道を抜けると、今度は広い空間に出た。
大理石の広間で、階段の上には石造りの両開きの扉がある。見るからに堅牢で、おそらく内側からはかんぬきがされているんだろうなというのは予測がついた。
ここも両脇に矢狭間がある。
それにしてもこの城砦、構造がすっごく考えられているというか、それでいて立派というか・・・。
失礼ながら、これオークが作ったの?まじで?
オークがいくら戦上手って言っても、なんか方向性が違う賢さな感じが・・・するんだよな。城は苔むしてたし、ワンチャン元々あった遺跡かもねここ。
・・・あれ、だとしたら、ここって実は正面玄関だったのでは?
<次回へ続く>