人命救助は必ずしも正義なのか?

ブログを開いていただき、ありがとうございます。
凜音です。

唐突ですが皆さんは、今年の夏に大阪で2名の看護師が飛び降り自殺をしようとしていた女性を説得して命を救い、感謝状をもらったというニュースをご存知でしょうか?

私はこのニュースを目にしたときに、違和感を覚えました。

確かに2名の看護師の行動は勇気あるもので、なかなかできないことだと思います。

しかし、

「女性の命は救えたが、人生は救えたのだろうか」
「命を救われたことで、女性は絶望したはずの人生を再び歩まなければならないのでは?」
「第三者である大阪府警が感謝状を送った意義とは」

このように思い、そこから“命を救うこと=正義“という風潮のようなものに疑問を抱きました。

私なら阻止されたくありません

飛び降りようとした女性の立場を、自分に置き換えて考えてみました。

私にはとある持病があり、ごく稀ですがペンすらも持てないほど、歩けず外出できないほどの関節痛に襲われることがあります。
仮にそれが毎日続いて、効果的な痛み止めが存在しないことを想定します。その際私は、自ら死ぬことを選ぶと思います。しかしその選択を誰かに阻止されたら、私は痛くて苦しい日々をまた送らなければなりません。「どうして痛くて苦しいのに解放させてくれないの?」「あなたにこの苦痛は分からないでしょう。だから放っておいて。」と思うでしょう。また、救ってくれた人を恨むと思います。

ここでは、私の持病による関節痛に例えましたが、私の関節痛と同じくらいのどうにもならない心の痛みや苦しみを毎日のように抱えていれば、解放されるために死を選ぶのも無理はないと思います。

府警が感謝状を送ったことに対しての疑問

もし、救助された女性が飛び降りを試みる原因となった苦しかったであろう人生を、今現在歩んでいたらどうでしょうか。そのような人生を歩んでいれば、救助してくれた看護師を恨んでいてもおかしくないと思います。そうしてその看護師たちに、何の事情も知らない第三者である府警から感謝状が渡される。これは女性が飛び降りようとした背景や、救助されてからの気持ちが全く考慮されておらず、傷つけてもおかしくないと思います。

にも関わらず、府警は感謝状を送る必要があったのでしょうか。


しかし、女性の命が救われご家族は嬉しかったと思いますし、2名の看護師に感謝の念を抱いたことでしょう。もしかすると、実際にお礼として何かしたのかもしれませんね。

また、女性がこれからの人生で「生きていて良かった」「あの時飛び降りなくて良かった」と思える瞬間があれば、自然に2名の看護師に感謝の念を抱くと思います。

ここで当事者である女性が、2名の看護師に感謝の念を抱く。場合によっては、その気持ちを伝えるために何かしらのお礼をする。それでいいのではないのでしょうか。

“人命救助=正義“は価値観の押し付けと感じる

このニュースを聞いている限りでは2名の看護師にばかりスポットが当てられ、女性本人にはあまり焦点を当てられていないように感じました。そのため、“自殺しようとしていたのを阻止した“という行動のみ注目され、それが絶対的に正しいかのように報じられているように感じます。だからといって、女性が飛び降りを試みるまでに至った経緯や、救助されてからの生活を取材しろと言うことではありません。もう少し女性の立場を想像して立ち回ることはできなかったのかな?と思います。

先ほども書きましたが、感謝状を贈られた時点では女性の“人生が“救われたかは分かりません。もしかすると、飛び降りを試みるに至った苦しいであろう人生を現在も歩んでいるかもしれません。もしそうであれば、この人命救助が正義だったとは言いきれないと思います。

にも関わらず、自殺を阻止したことが絶対的な正義かのように捉えられるのは、感謝状を贈った府警やそれを報じたマスコミといった第三者による“価値観の押し付け“のようにも感じられます。

この人命救助が“真に正義“だったと言い切れるのは、女性が今後の人生で「生きていて良かった」「あのとき飛び降りなくて良かった」と思う瞬間なのではないでしょうか。

命を救われたのは飛び降りを試みた女性であるので、助けられたのが正しかったかどうかを判断するのは女性本人のみでよく、第三者がどうこう言うことではないと思います。


今回、私がニュースを観て感じたことや疑問に思ったことを書きました。
上で色々と書きましたが、特に“一つの立場や行動しか注目せずに行動したり何かを決めつけるのは違うのではないか“と思いました。

ニュースで見聞きすることのみでなく、日常生活においても物事を多角的に見て、その上で考えたり行動する必要があると思います。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
他の記事も読んでいただけますと、嬉しいです。


それではまた。


りおと


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