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すべて、消えていく。何が大事か。

消えていく。自分のものだと思っていたものがだんだんに消えていく。

自分の名前、手足、指、視力聴力、感覚。妻だと思っていた人。子どもだと思っていた人。思っていたものが残像だと知る。消えていく。

母だと思っていた人。父だと思っていた人。兄弟だと思っていた人。電車に乗る運転手さん。みんな消えていく。地面、空、太陽。夜。消えていく。毎日当たり前だと思っていたものが消えていく。飲んでいたお薬。不安。期待感、夢。消えていく。

お仕舞いも消えていく。終わりなく始まりも消えていく。

生まれたての赤ん坊の握る手の握力が、100歳を超えた老人の膝の軟骨が、40歳を迎えた中年の若さが。

いつもお世話になっています。ありがとうございました。いらっしゃいませ。おはよう。さよなら。またね。挨拶が消えていく。防犯も消える。脅威もない。

創造主が天と地を分けて創り出した空間が消えていく。そこにあるものはすべて消えていく。

消えないものは何だろうか?変化しないものは何だろうか?

消えないもの、変化しないものを「真理」と呼ぶ。

「真理」とはなんだろうか?

しん‐り【真理】

いつどんなときにも変わることのない、正しい物事の筋道。真実の道理。「永遠不変の真理」「真理の探究」
哲学で、
㋐思惟と存在あるいは認識と対象との一致。この一致については、いくつかの説がある。
プラグマティズムでは、人間生活において有用な結果をもたらす観念をいう。
仏語。真実で永遠不変の理法。真如。

コトバンク

いつどんなときも変わることのないものはどんなもんだろうか?野菜は実りの秋を迎えると腐り始めていく。それではない。自動車は新車の時はいい。いつの間にか壊れてしまう。整備すれば長持ちするが不変ではない。

川の流れはどうだろう?途絶えることのない大河の流れは、不変だろうか?太陽が膨張して気温が上がればすぐに干からびてしまいそうだ。

仕事場の人間関係は不変か?いうまでもなく変化に絶え間ない。

不変のものなどないのではないだろうか?

そう思えば、すべてが消えていく。

家族も、地球上の人々も、植物も動物も石も土も風すらなくなる。

自分がどう生きるのか?そう考えるとちっぽけなものだが、そのちっぽけなものが自分には大事。ダイジと呼んでオオゴトと書く。ちっぽけなものこそ自分にとっては大ごとなのだ。

消えていく自分を消えていく家族を消えていく空気を風を木々の揺らめきを差し込む陽ざしを愛しく思う。こんなちっぽけな命に栞を挟むような毎日を。繰り返しの同じような毎日を。大義のない意味のないような平凡な日々が愛しく思える。

涙しながら思う。noteに書き込む指を、文字を追う視線をタイピングするキーボードが素晴らしい。色付いた世界が今時分を包み込んでいる。絶望することなどない。今の消えかけのちっぽけな命は世界に微かな揺らめきを生んだのだから。

ではでは~~。

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