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綿矢りさ著「オーラの発表会」序盤読んだ感想。

久しぶりに小説の文庫本を買いました。

綿矢りさ著「オーラの発表会」です。まだ途中ながらこの小説を読んで思うのは「noteなど素人が書くブログであるがごとく」ということです。文章とずっと向き合ってきた作家というのは素人では届きようがない文章表現、構成、発想、知識、雑学があり、noteなど素人が書くブログである。ということをまざまざと見せつけられる技量の高さです。

情景描写や登場人物の心理描写がとてもうまいのが印象的です。綿矢りささんの小説は読んだのは初めてなのですが、驚くべきはそのボキャブラリーのセンスと量であるといえるでしょう。男の人なら村上龍の「69」を読んで爆笑した過去も持っていると思いますが、文章を読んで笑うというとても日常の中では稀有な状況が「オーラの発表会」を読んで起こりました。

主人公が登場人物にあだ名をつけるのですが、そのつけ方の秀逸さと言ったら、昔学校でなんでこんな発言できるんだろう?と思えるほど笑える発言をする才能のある若者のようにくすっと思わず笑ってしまうあだ名のつけ方をするところから「綿矢りささんは陰キャではない」ということが分かります。

綿矢りささんは18歳で芥川賞を受賞されていますが、受賞した当時は何となく読もうという気になりませんでした。なぜなら女性の物語というものは何となく共感をしづらいという偏見もあり、特に触手が伸びることもなかったのです。しかし、この間本屋に行って「オーラの発表会」文庫本を数ページ見たところ、主人公の感覚が大多数の人間の感覚と違った生きづらさというものをネガティブにとらえて暗い文体で表現せずに、むしろ文章が舞うようにのびのびと表現されていて、主人公はとても地に足がついている生き方をしている「読みやすい」文体であることがわかり、読んでみようということになってのです。

生きづらい系の小説ってよくあると思うのです。マイノリティの苦しみとか自分のことを分かってくれないという小説。よくあると思います。しかしながら、軽やかにくすっと笑えるボキャブラリーをもって読むものの心を軽くしてくれる文章を読むということはなかなかなかったです。この「オーラの発表会」がとても面白いので「パッキパキ北京」も買って読むかなという勢い。

綿矢りさの小説を書く技能の高さが心地よく物語を進めて次のページに知らない間に指がかかります。

ぜひ、「オーラの発表会」にて綿矢りさの小説を書く技能。文章を書く技能をご堪能下さい。

ではでは。

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