6歳が初飛行機一人旅した話。
日本国内において、子どもは一体何歳から1人で飛行機に乗れるかご存知だろうか。
ーー答えは6歳である。
とはいえ、まあ、わが子が本当に一人旅するのは小学生くらいだと思っていたわけですよ。
つい先日までは。
11月最終週、私と息子はいつものごとく2人出張していた。今回は鹿児島、福岡への約六日間の旅路だ。つい最近まで1ヶ月半連続なんて余裕だったので、今回もまあ難なくこなせると思っていたが、今回は何かが違った。
この時期、とにかくバタバタすぎて息子にも影響があったと思う。本当に申し訳ない。とにかく気もそぞろで不注意マックスだった。どれだけやばいかというと、PCを持たずに羽田空港に行き挙句にあまりの身体の怠さに結局帰宅、翌日出発にしたくらいにはヤバかった。株主優待でチケット取っておいて本当によかったと思う。そんな状態で旅に出たのだった。
翌日、今度こそ鹿児島行きの飛行機に乗り込めたが、今回の旅はスムーズにいかない。これまたプチトラブルがおきたのである。この便はほぼ満席で、連席でチケットが取れなかったのだ。前日時点で満席 → 当日ならもしかしたら連席で取れるかもしれないので、窓口に声をかけてみてください → 当日朝、わずかな望みをかけて窓口にならぶもバラバラの座席しか取れず → \(^o^)/オワタ
と、いうわけで、残った席のなかでも1番近い斜め前後の座席で搭乗した。
最初はしぶしぶ…だったが、息子の中で何かのスイッチが入ったようだった。私の左隣(息子の後ろ)のご婦人が、我々がバラバラに座っていることに気づき、席を交換しようかと申し出てくれたが、息子の答えは「NO」
彼は、最初から最後まで、隣席に保護者がいない状態で飛行機に乗ったのである。
かくして無事に目的地に着いたが、どこか怠い。私の身体が怠いだけならいいのだが、息子の様子がおかしくなった。2日目、3日目とスケジュールをこなすうちに、息子が「やだ!」か「iPad」しか言わなくなった。これはヤバい。
どのくらいヤバいかというと、うちのムスコはイヤイヤ期でも「いや」と言わなかったのに、6歳で嫌だと主張したわけである。(なお、2歳当時もイヤイヤ言わなかっただけで、床に這いつくばったりと全力で反抗していたからイヤイヤ期がなかったわけではない)
あー、これはヤバいっすわ。内心冷や汗をかきながらなんとか、休みを多めにとらせて鹿児島の日程を乗り切った。しかしその翌日。福岡に移動したが良いが、疲れすぎて身体が動かない。まだまだ福岡での予定があるのに、こんな状態で未就学児をつれて動き回れるはずがない。息子も疲れが取れる様子がなく、ベッドから動きたがらない。これはヤバいっすわ(二回目)
今回の旅はやばいしかない。息子よ、今回は大人の都合で連れ回して申し訳なかった……!!
そこで、意を決して奥の手を使うことにした。
息子だけ先に東京に返そう。
大手の航空会社は6歳になれば一人で飛行機に乗れる。以前息子にその話をした時は、わりと乗り気だった。息子に確認してみると「ひとりでもいいから、さきにかえる」という。
しかし、本当に寂しくならないのか? 途中で泣いたりしない? いくら日本一周して場数踏んでいるからって、親から離れて一人でも平気かは別の話。
しかし、悩んでいる暇はない。思い立ちすぐに夫に相談だ。なにせ到着先で息子を引き取ってくれる相手がいなくては、子ども一人を返せない。幸い祝日だったのですぐ連絡がついた。その時すでに19時30分だったが、いまから行っても最終便なら間に合うだろう。
あとは息子を連れて空港へダッシュ!「特別なお手伝いが必要なお客様」の窓口で、チケットを当日のフライトへ振り替えてもらい、ついでに幼児が1人で搭乗する手続きを行う。説明を読み複写式の紙に住所氏名を記入。到着先で迎えに来る保護者の名前や連絡先も記入し、あっさり手続きが終わった。
息子にはSwitchを持たせることにしたが、万が一使えない状態になった時のために、空港で新しい本も買って持たせた。あとは飲み物とおやつも買って完璧だと思う。
出発空港では、保護者は搭乗口まで同行らしいけれど、どうやって? と疑問に思っていたら、専用チケットを発行してもらった。
いざ。
息子と2人で出発検査場を抜け搭乗口へ。首からかけたチケットホルダーを見て、さっそくスタッフさんが声をかけてくれた。さすが大手。しっかりと連携ができている……!
まあ、息子はこんなふてぶてしい感じだが、親たるわたしの方が緊張して手汗がやばい。ソワソワしながら、旅友たちにラインで状況を報告すると、みんなフライトレーダーで息子の搭乗便を見守ってくれることになった。さすが旅の変態達人たちは応援の仕方が違う。
変態守護天使たちに見守られ、いよいよ搭乗ゲートを越える息子。ここからは一人だぞ……!
うわー、我が子が一人で遠ざかっていくの、なんかグッとくるわぁ……。
万が一、引き返して来たときのために、飛行機が飛ぶまで待機していたけど、そんなトラブルなく、飛行機は定刻どおり出発。万が一戻ってきたら、なんて心配するとは、わたしも人の親になったなあ……。
22時30分ごろ、夫から連絡が入った。無事に東京に到着したらしい。
おお!なんか元気いっぱいでよかった! ソワソワする母とは対照的に、息子はすっかり落ちついて飛行機を楽しんでいたようだ。
息子は「飛行機ではコンソメスープが飲める」ということを知り(普段は幼児はソフトドリンクしかすすめられない)、「ひとりでも飛行機に乗れる」ということを体験し、たいそう保育園で自慢したらしい。
なお、保育園の先生たちから「おとなのつごうで、ふりまわされてさぁ」と、私のセリフを真似して保育園でぼやいていたと報告を受けた。めっちゃ笑われた(恥ずかしいwwww)
でも、「ぼくは日本一周してるから、こんなの平気」なんだそうだ。本当におつかれ、息子くん。いつもありがとう。