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短編小説🍸映画BARローマの休日(15)
彼女は「はるか」になり切っていた。僕たちは全く他人で、今夜初めて会った、という設定らしい。
「せっかく映画BARに来たんだから映画カクテル飲まなきゃ。」
ゆき、の時と同じことを言っている。はるかに勧められるまま、今度は「きみに読む物語」を頼んだ。
「僕、実はさ、コインランドリーで女性を傷付けたことがあるんだ。」
思い切ってそう伝えてみた。するとはるかは心底驚いたふりをして
「え、それって、襲ったってこと!?」
と大きな声で言った。さすがに聞き捨てならなかったのか、とっきーも
「え?どういうことですか?」
と話に入ってきた。僕は覚悟を決めて、自分がゆきという女性が好きだったこと、元ダースベイダーに嫉妬したこと、コインランドリーで力任せにゆきを抱いたこと、などを洗いざらい2人に打ち明けた。
2人はしばらく黙ったあと、目配せをして僕にこう告げた。
「無罪。」
(16)へつづく
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