謝 淑薇という選手(全豪オープンその3)
きっと色々つらい経験をしてきたんだろうなぁと思うのは、この謝 淑薇(シェイ・スーウェイ)という選手のオンコートインタビューが底抜けに明るく、むしろ敢えて道化を演じてるようにも見えるからです。
彼女は台湾の人ですが、プロ選手としてスタートした最初の3年間を ‟家族の事情” で日本で過ごしたそうです。そしてプロとしての始めの10年は滞在先のホテルとテニスコートを往復するだけだったと言います。まるで今回の隔離期間のように。
ちなみにプロテニス選手というのは1年52週のうち35週くらい(選手によってはそれ以上)は世界各国を転々として試合をしています。つまり世界ランキングポイントを獲れる試合のある場所へ移動し続けるわけです。その辺はサッカーや野球のように基本的に一つの国のリーグでシーズンを戦うスポーツと違う点です。時差順応だけでも大変な作業だと思いますが、それほど大きなチームを持てるわけではない中堅以下の選手は練習相手もその都度探さなければいけないし、ホテルや航空券の手配などテニス以外にも処理しないといけないことが山盛りだろうなと想像します。
そんなツアー生活の中で、体調やプレイやモチベーションのレベルをキープするには何が必要か?男子世界ランク1位のジョコビッチはよく「犠牲」とか「規律」という言葉を使います。
スーウェイはきっとそういうストイックな時期を通って今の「スーウェイスタイル」に落ち着いたのか、彼女は「テニスの心配はあまりしない。プレイが悪かった日は美味しいものを食べに行く、それが楽しみ」というようなコメントをします。プロ選手としてのキャリアを続けていくには皆自分に合うやり方を見つけていくのでしょう。もちろん悩みながら、試行錯誤を重ねて。
さてやっと本題。皆に嫌がられる彼女のテニスの「スーウェイスタイル」とは? 正直彼女にはビッグショットはありません。しかし早いタイミングでボールをとらえることで相手のボールの勢いを利用し、また相手に時間を与えません。巧みに左右に前後に相手を動かし、緩急織り交ぜて揺さぶります。常に相手の裏をかき、虚をつくプレイを展開します。とにかく見ていて面白いのです。
それに対して例えば大坂さんのテニスは対局にあります。勝つときの大坂さんのテニスは見ていてスカッとしますし気持ちいい。でも面白くはありません。大坂さんはむしろテニス以外のことが面白い人です。
ところで、プロ選手ならみんな優勝、或いは世界ランク1位を目指しているのでしょうか?私はプロ選手になったこともないので想像ですが、本当の本気で目指してる人は少ないと思います。スーウェイも優勝を目指してはいないです(断言かよ)。でも冴えてる時のスーウェイは誰にでも勝てます。事実「対トップ10成績」がずば抜けていますし、大坂さんもスーウェイに敗れています(が勝ってもいる)。
そんな謝 淑薇(シェイ・スーウェイ)、台湾で最も成功した女子テニス選手の4回戦が明日です。35歳の彼女がもし勝てば「初めてグランドスラム(4大大会)の準決勝に進んだ年齢が最高齢」というややこしい記録更新がついてきます。ここまで読んでくれた人はいるのでしょうか?
土曜日なので調子に乗って書きすぎました。では、おやすみなさい。。。
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