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【エッセイ】うちのネジの話。

皆さんこんにちは、私です。

うちには猫がいます。
彼女はよくいろんなものを転がして遊んでいます。
買ってあげたおもちゃや、飲み終えたペットボトル、鉛筆や、イヤホンの変換プラグなど、
【転がるものは全て転がす】、
そのような使命感が彼女にはあるらしい。
そして同時に、私の整理整頓能力を彼女から問われているような気持ちになるが、
ここは今回はスルーしたいと思う。

彼女は飽きるか、
手の届かないところにゴールして終わるか、
私に取り上げらられることでその任務は終了する。
大抵のものは私も聞き覚えがあるので、何を転がしているか音でわかる。
そんなある日、彼女はまた一生懸命に何かを転がしていた。

「ゴロゴロゴロ。。」

その音は今まで聴いてきた、どの音でもなかった。

!!!!!!!!!!
下手なものを口にして、猫の健康を害するようなことがあってはならない。
これは猫と暮らすすべての人間の責任、義務である。
急いで取り上げたそれは、なんとネジだった。

ネ、ネジ?

はて、、初めて見るネジだ。
これは一体なんのネジだろう。
ひとまずすぐに困るようなことではなさそうだったので、私は一旦そのネジをしまった。

数日後、私は自分のデスクで作業をしていた。

ゴロン。

足元から重たい音がした。
ふと見ると、そこにはネジが落ちていた。

ま、またネジ。。。

しかし前回彼女が転がしたていたのとは違う。
これはこの椅子のネジだ。
しかも今までも何度も外れている。
椅子のネジがよく抜けるなんて、あっていいことなのだろうか。
私はすぐに付け直した。

また別のある日、私は掃除をしていた。
キャットタワーの下に掃除機をあてていると、
キャットタワーのハシゴがグラついていることに気がついた。
よく見るとネジが一本なかった。

!!!!!!!!!!!
まさか!!!!!!!!

あの時のネジだ。
ここのネジが外れて、そして転がして遊んでいたのか。

ようし!!!!
私が付け直してやる。
待ってろ猫ちゃん!!

、、、しかし脆い作りだなあ。
これじゃあまたすぐに外れそうだな、、、。

ハシゴ、取っちゃうか。

大体、彼女が律儀にこのハシゴを使う様子を、私は見たことがない。
毎回ジャンプして飛び乗っている。
そうさ、彼女はそんなタマじゃない。
猫の中でも大型だぞぅ?
彼女は夢に、愛に、
そしてお外が見たいという希望に対して、
まっすぐ豪快に駆け上がるのさ。

ええい!ハシゴなんか外してしまえ!
彼女はこんなものなくても十分未来に駆け上がっていける、切り拓いていける。

私はその日ハシゴを撤去した。
猫は何も困らなそうな顔をしてお外を眺めていた。可愛い。

そしてまたある日のこと。
掃除機をかけていた私の目の前に、また新たなアイツが現れた。

ネ、ネジ、、。

今までの二本とまた違うその顔は、挑戦的な表情を浮かべ私を見上げていた。

一本のネジと、考える私。
その考える私を支えるのは、ネジがよく抜ける、壊れゆく椅子。
ネジに翻弄される日々、私の生活。

はて、これは何のメッセージなのだろうか。

今日はそんな、うちのネジの話。
お後がよろしいようで。

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Rio Hosokawa
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