株でやってはいけないこと
ここまでで株をやるのに必要な基本的なことは書いてきたので、実際株の取り引きをどうやったらいいかも相当理解が進んだと思います。ここでは株の売買に当たってやってはいけないと思われることをまとめたいと思います。
暴落時に焦らない。暴落については相当詳しく分析しましたが、90%以上の株が下落するので、チャート、インディケーターをじっくり見て売るものはてきぱきと処分したほうが深傷を防げます。暴落時に株はこれでもか、これでもかというほど下落します。株価は乱高下するので短期でなく中長期のチャートやインディケーターを見るのが重要です。資金の保存を一番に考えてください。相当売って資金がふんだんにあって、何か買いたくてうずうずしてしまう人は債権を買うのがいいでしょう。
下落している株を買うな。これは前に書きましたが、下落している株は何か問題があるか、たいして問題はなくともファンドが買っていない証拠です。逆にファンドが売りに出ている可能性があります。これをDistributionと言っていますが、ファンドが何かの理由で売りに出て、かわいそうな個人が買っていることを言います。Distributionの本来の意味は配布という意味ですがよくStrong hands(株をよく知っていて、上手くいっているファンドのマネージャーなど。)からWeak hands(かわいそうな、小さな個人投資家。)へ売り飛ばしたい株を配布する行為をさします。そうです、株マーケットは容赦ない非情な世界なのです。”Yes, my dear, it is a brutal and merciless world.”と言いましょうか。ちょっとかっこいいですね。ここはアメリカ映画史上もっとも有名なシーンの一つである「風と共に去りぬ」の最後のシーンでクラーク・ゲーブルが追いすがるヴィヴィアン・リーにゲーブルが言う”Frankly my dear I don't give a damn”(愛しい人よ、正直言って俺にはどうでもいいことだ、とでも私流に訳しますかね。)と同じような調子で言ったと想像してください。こう言って彼は風と共に去っていくのです。かっこういいですねー。私とは比べ物になりませんが、私はまだ去りません。
Whipsaw されるな。暴落時のように株価が乱高下するとき、投資家に起こりやすい現象です。株価が上がってきたから買う、しかしすぐ下がってきたので怖くなり損をして売る。また上がってきたところで買い、売る。恐ろしいことにある期間株価が上がっていても、Whipsawを繰り返していると相当な損を出します。これを防ぐにはあまり短期なチャートやインディケーターばかり見ないで、中長期(週足や月足)のものもしょっちゅう見ることですね。多くの場合株価は中長期のトレンドに戻ることが多いので。
特定の株に惚れるな。多くの投資家、特に初心者、にとって買うより売るほうがはるかにが難しいのです。一旦ある株を買うと、上がれば「もっとあがるだろう。」下がれば「そんなはずはない。マーケットが間違っている。上がるはずだ。」となってなかなか売れないのです。私はこのような現象が起るのは「株に惚れる」からだと思います。「この株は今ちょっと調子が悪いが、いい会社で、これまでも随分もうけさせてもらった。ちょっと下がったからといって売るのはしのびない、株が不憫だ。俺はそれほど非情な人間ではない。」こうなるとちょっとやそっと説得しても売りません。まー、恋と同じで少し熱が冷めるまで待つしかないのかもしれません。
売るのに躊躇するな。これも意外と多くの投資家が言っているのをきくのですが、「持っている株が落ちてきた。ここまで落ちると売れない。」私にはこのロジックが正直言ってわかりません。上に書いた株に惚れるのと同じようなものかもしれません。前にも書きましたが、株価の場合、上昇はエスカレーター、下落はエレベーターなのです。すなわち一般的に下落は上昇よりはるかに速いのです。「じっくり考えて買い、すばやく売れ。」がいいでしょう。とはいえ、これを実行するのはなかなか難しいものです。私も数年前負けが込んだ時、分析してみますと、すばやく売っていないことが大きな原因だとわかりました。これにどう対処するかいろいろ考えましたが、結論はalternative(代わりのもの)を用意しておくことです。具体的には常にチャート的によく、インディケーターもいい株を探して「買う候補」として用意しておくのです。そしてポートフォリオのなかでおかしいやつは、それと「買う候補」の株と比べて,「買う候補」のほうがよければ選手交代です。このように自分でわかる限りベストなマンバーをポートフォリオに入れておけば、勝つ確率は上がるでしょう。考え方として、惚れた株とは永遠の別れではなく、「今までよくやった。だけど少し疲れたろうからベンチで休んでくれ。又必ず活躍してもらう。」といたわりで選手交代をするのだと考えれば、あまり感情的にならず売りやすくなるでしょう。現実の野球チームとは違い、契約金とか入団交渉もなく何人でもいいプレーをしている選手をすぐ今やっているゲームに、またはベンチに入れられると思ってください。
政府を当てにするな。よくないことが起こるとすぐ政府は何をやっているんだ、どうにかしろと騒ぐ人がどこでもたくさんいますが、政府が何かしたからといって株価はそう簡単に動きません。次の記事で詳しく政策と株価の関係を調べたいと思いますが、時折政府が狙ったのとは逆効果になることもあるのです。今日(2020/3/3)フェッドが株価を安定させるため、政策金利を0.5%下げましたが、最初はマーケットも素直に上げたのですが、すぐに大きく下落に転じました。多分マーケットはこれだけ大きく金利をフェッドが下げるのは状況が相当悪いのではないかと判断したからでしょう。独裁的な共産国家の中国でさえ、経済、株価は簡単に操作できないのです。税制、貿易、規制などもちろん経済,しいては株価に影響すると思いますが、これらのほとんどは一般的に中長期に効いてくるもので、短期に株価を動かすには限界があります。
新聞記事、専門家に惑わされるな。毎日、新聞などでは、なぜ株価は動いたかなどを書いた記事が載ります。私はよくかみさんにも聞かれて、次の10のうち好きなものを選んだらいいと言います。これらの記事を書いている記者たちはあまり深い分析が得意ではなく、「専門家」から聞いた下がる理由10、上がる理由10ぐらいを常にリストに持っていて、その中から適当に選んで書いているように思われます。特に株価が大きく動くといろいろな人が多様なメディアで言いたい放題のことを言い始めます。これは多くの場合普通の投資家を惑わすだけでしょう。専門家が何を言っているか聞くのはいいのですが、相当いい加減な人たちがいるので、自分でしっかり各専門家が言ったことを調べ、信頼でき、説得力のある人を幾人か選ぶことも大事でしょう。(このリストに私を入れなくてもいいです。)多くの記事は注目を浴びるのが目的で書かれています。例えば、毎月「大暴落は今月の終わりには来る。」と言ってればまーいつかは暴落は来るので、「それちゃんと前から俺が言ってたろう。」とえばり、うまくいけば「大暴落を2か月前に予想した専門家!!」になれるのです。冗談と思うかもしれませんが、実際にこんなことは起こっているのです。
先入観を持つな。AI に比べ人間の能力の一つの欠点は先入観ではないでしょうか。先入観は生まれてからの経験から生まれたものでしょうが、自己防衛などにも必要なのかもしれません。ただこれが株では悪い方向に働く場合が多々あると思います。「この株は絶対にいい。上がるはずだ。」「これからの世界経済は不況になる。」「今回の減税で株は絶対に上がる」「世の終わりは近い。」など人によって違いますが、多くの場合大した根拠もなく思いこんでしまうのです。(花咲さんがそうでしたね。)AIはこういう先入観はないと思います。大した根拠があっても株価はなかなかこのように思った通りには動かないのです。私が過去失敗した多くはこのような先入観で株の売買をしたときです。この点チャート、インディケーターは素直に起こっていることを表します。少なくともテクニカル分析は先入観が入る余地を減らすでしょう。
この次どう株を買うかを話すのが順序かもしれませんが、株価に影響する力が大きく、重要な政策手段でもある金利について話しましょう。
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