長期高成長で安定している株は見つかるか?

投資法は人により、またその時々の目的によって変わってきます。ほとんどの投資家は株価の上昇率が高く比較的安定したものに投資したいでしょう。一般的に上昇率と安定は相反するものと考えられています。すなわち高成長を望めば安定は減り(ハイリスクハイリターン)逆も言えるのでしょう(ローリスクローリターン)。この考えはポートフォリオ・セオリーから出たものと思います。このセオリーは投資に関する基本的な理論で、簡単に言うと期待される投資の見返りが高いほどリスクは高く、その逆も言え、うまいこと投資手段を組み合わせれば、各個人の許容できるリスク範囲内で最も高成長が期待できるポートフォリオを作り出せるというものです。これは多分ファイナンシアルアドバイザーがまず学ぶことでしょう。ここから投資の分散(Diversification)は重要で必要だという理論的根拠が導き出され、その結果このセオリーは有名になったのです。株の世界ではアルファとベータという言葉がよく使われますが、これらはポートフォリオ・セオリーから出たものでしょう。アルファは長期の成長率、ベータはSP500 と比較しての変動の大きさを表わしています。セオリーにあてはめますと、アルファが高ければベータも高いということになります。つまり高い成長を狙えばリスクは高いとセオリーに従えばなるのです。ここで問題は現実は本当にそうかということです。長期にわたって利益を上げている投資家は多分将来の成長率は高くリスクは低いと予想される株を探し、投資しているのでしょう。結論的には株の勉強とはこのような条件をできるだけ満たしそうな株をいくつか探し、ある程度ダイバーシファイされたポートフォリオを作るにはどうしたらいいかということです。(ダイバーシフィケーションについては別の記事で書きます。)

ここは私の投資法の理論的な裏付けに必要で、これがないと、このマガジンは単にほかの”これを読めば絶対株でもうけられる”といったようなタイトルのついたハウツーもののマガジンと同じになってしまいます。そこですいませんがもう少し理論的なことを話させてください。なるべく誰にでもわかるように書く努力をしますので。また特に若い学生につまらない学問は時にはビジネス(金儲け?)に役に立つということを少しでも理解していただければ幸いです。ポートフォリオ・セオリーの成長率とリスクは大体簡単な回帰分析という計量経済学でよく使われる統計手法で計算します。ここから過去の成長率はすぐ出てきます。リスクはデータの単純な平均値なり移動平均値からの実際のデータのばらつきで測ります。統計学ではこれを分散というのですが、この分散が大きいとリスクが高いと判断されるのです。ここで少なくとも二つの問題が出てきます。まずこのような統計分析の前提条件は当該データが平均値を中心に正規分布しているということです。株価に関しては幾人かのアナリストがこの前提条件が株の場合満たされるか疑問を持っています。次に分散ですが、上にばらついても下にばらついても同じように分散値に影響します。でも多くの株投資家は買いだけで空売りはしないので、かれらにとって株価が平均値から上にぶれても気にしないどころか大歓迎です。すなわち上にぶれるのはリスクではないのです。ここにポートフォリオ・セオリーの株投資への応用時の弱点があります。

ここまで読んでくるとなんだいろいろと訳のあまりわからない御託をならべたが、言いたいことはポートフォリオ・セオリーにケチをつけるだけか、重要だと言うので読んだが無駄だったといいたくなるでしょう。ところが違います。私も昨日からこのことを考えていて、いいことに気が付いたのです。上にもだいぶ書いたRSIがリスクを測るのに大きく役立つのではないでしょうか。簡単に言えば例えば日足のRSI(14)が50以上ということは過去14日間当該株価の上昇機運のほうが下げる力より強かったということです。INTCのところでも話しましたが、RSIが長期にわたって50以上ということは長期にわたって上昇機運にあり、過去のデータを見る限り相当安全で、下落する確率は小さいということが言えます。ここで過去は将来を保証しないと言う議論があるでしょう。残念ながらテクニカルアナリスシスは応用経済学と同様過去のデータを分析して多分未来も同じような動きをするだろうという前提のもとに成り立っています。

さて理論的なことはこれぐらいにしてもっと面白いそんな株をどうやって具体的に探すのかという問題に移りましょう。もっといい方法をほかの人は知っているかも知りませんが、私が見つけた方法を紹介しましょう。手っ取り早くどこにでもあり、すぐ見つけることができる年初来高値や上場来高値を最近付けた株を調べるのです。これらの株が将来も高くなる可能性が高いと私が思うのは幾つかの理由があります。ランダムに挙げると①高くなってきている自身人気があり、買われている証拠です。②ファンドマネジャーのところで書きましたが、このような株は彼らの評価基準になるSP500より上がっていて、彼らは好んで買います。③上で述べてきたインディケーター、チャート分析が”買い”のサインを出している可能性が高い。④私の読んだシミュレーションの結果ではこのような株は3か月後に上がっている確率が80%以上である。ここで少しお分かりになったと思うのですが、私の投資法はよく言われる”安く買って、高く売る”ではなく、”高く買って、もっと高く売る”なのです。安くなっている株は商品と同じで、あまり質がよくなく、高い株は質がいいのです。よく’高値をつかまされる”という人がいますが、実はもっと怖いのは”安値をつかまされる”だと思います。質の悪い商品を買ってしまったことを考えてください。ちょっと注意したいのですが、このやり方はアメリカ株のように長い期間上昇している場合当てはまりますが、過去30年間ふらふらしてきたような日本株の多くには当てはまらないでしょう。ただこのような株を何でもいいから買うというのはお勧めできません。上に書いたインディケータの検討、特にRSI,  チャート分析をじっくり行ってから行動に出てください。

年初来高値や上場来高値を付けている株は主要なトレンド(Primary Trend)が上昇のことが多く長い間上昇していることが多いのですが、これを確かめるために月足の少なくとも20年ぐらいのチャートをまず見ることがいいでしょう。

年初来高値。上場来高値を付けた株が過去実際に上がったかは、残念ながら私自身がシミュレーションを行って統計的な数を出せればいいのですが、怠慢なせいかまだやっていません。今どのようなシミュレーションがいいか、そのためにどのようなプログラムを組んだらいいかなど検討中なので、ちゃんとやって、ある程度結果が出ましたら報告します。

このテーマは続けて書いていきますが、この記事を書いている目の前で(2020年2月27日)アメリカ株が暴落、史上最高のダウの絶対値の下落、が起こっているので、次には暴落は予測できるのか、起こった場合どう対処すればいいのかというテーマで書きます。、

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?