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【前日までの準備編】Supper Club(サパークラブ)をデザインする。

突然ですが、Supper Club(サパークラブ)という言葉をご存知でしょうか。

日本語で検索するとキャバクラのアフターなどという意味が出てきますが、ここで言及したいのは「ある場所で一時的に開かれるポップアップレストラン」のような形態での食事会のこと。最近だと、自宅での開催が多い印象。

ホームパーティーともまた違い、AIによると下記のような違いらしいです。(英語の方が参照情報が多そうだったのであえて英語で。)

  • A home party is primarily about socializing and having fun with friends or family, with food and drinks being a casual part of the gathering. It’s more laid-back, unstructured, and can involve a variety of activities.

  • A supper club, on the other hand, is centered around dining—it's typically a more intimate, organized event where the focus is on enjoying a well-curated meal, often with a specific theme or menu, and socializing around the food.

要は、私個人の解釈だと、ホームパーティーに比べて、よりコンセプチュアルで特定のテーマに基づいた食事や料理が楽しめる場、そしてそんな食卓を中心に多様な人が集まり、食から派生した会話から繋がりが生まれる場。なのではないかなと。そして、サパークラブではとりわけシェフやホストといった会を企画しガイドする存在がいかに心地よく有意義な場を作れるかが重要になっている気がします。

その歴史は古く1930年代のアメリカはウィスコンシン州、ミルウォーキーから始まり、イギリスやラテンアメリカにも広がったとされているらしいです。ちなみに、TOP CHEFという料理番組でも老舗Supper Clubを舞台にしたエピソードがあるのですが、こちらも面白かったです。ご興味あればぜひ。

日本ではまだあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、家庭料理やローカルに深く根ざした食事が楽しめたり、新しい人たちと繋がり健全なソーシャルな機会になるとあって、欧州では盛んに開催されているように思います。

たまたま見つけた記事ですが、かつてのSupper Clubの姿とはまた違った形で2025年はサパークラブがより一層の盛り上がりを見せる兆しもあるような。

そこで、まずは真似事と、去年から周囲の友人を中心に月に一度の頻度で”Supper club”を開いてみてまして。そしたら、これがなんと楽しいこと。

せっかくなら今年はもう少し当日の様子を広く共有できればという気持ちと、自分のための備忘録やリフレクションを兼ねて少しづつ記録を重ねようと思います。

なぜSupper Clubなのか?
私が惹かれる理由。

きっかけはサパークラブを開いている女性たちの世界観。彼女たちの料理や食卓を通じて自己表現している姿がとてもクリエイティブで素敵だなと。

幼少期からホストファミリーとして日常生活を海外からの留学生と過ごすことも多く、食卓を通じて相手を知ったり自分の文化を表現することに興味関心が強かったのもきっと影響して。

さらに、本業では幸福度についての調査や研究をしているのですが、人との繋がりが人生の幸福感や満足度に大きく影響すると知り。イヴァン・イリイチが言うコンヴィヴィアリティ(他者と何かを共有し繋がりながらプラスの感情で生きる、と個人的には大きく解釈している)という概念。『自律しながら他者と繋がり共に生きる。』という社会のあり方が個人的には作りたい社会の姿に今のところ近く、そういった文脈でも他者と繋がりながら食事を中心に繋がりが生まれるSupper Clubはとても魅力的です。

美食家として名高いブリア・サヴァランもコンヴィヴィアリティの思想を食事(食卓と言う方が正しいかもしれないが)において大切にしていたらしい。

ということで、人との繋がりを生み出し相互理解が深まり幸せな人が増える。だけでなく、自分の世界観やクリエイティビティを発揮できる食卓である”Supper Club”という機会のデザインは、私がなんとなくモヤモヤと抱いていたやりたかったことに近いような気がしているのです。

何をデザインするのか。

ソーシャルデザイン的に広く言うなら、世界中の幸せ。対立や蟠りの解消。人や自然との繋がり、自己理解の機会。と抽象的になってしまいますが、ここではもう少し具体的に、会全体のデザインについて記載してます。

まず会を企てるにあたり、大前提私が大切にしているのはホスト→ゲストの一方的な享受の関係性ではなく、なるべく参加者の皆様との共創によって成り立つ場にしたいと言うこと。ちょっとした心遣いで生まれる、その場限りの「一期一会」の儚さに機敏でいたいと思う今日この頃です。

前日までの事前準備編

5W1Hがなんだかんだで一番分かり良いので、こちらで整理。
とりあえずは、現状の会の様子について記載しています。

 ーWHEN(いつ主催するのか?二十四節気、朝・昼・夜)
  仕込みの余裕と翌日の予定なども鑑みて、心に余裕を持てる日や時間にすることが多いです。共同主催者や参加者と後ほど調整。
 ーWHERE
  今のところ、我が家が中心。
 ーWITH WHO
  誰と主宰するのか。ソロで開くこともありますし、あるいは学生時代からのバディと共に共同開催することも。共同開催の場合は予め何度か事前に打ち合わせ。料理はコンセプトに合わせ、お互い作りたいものの献立やレシピを持ち寄り調整、食材はなるべくシェアしつつ、調理自体は手分けして行うことが多いです。
 ーTO WHO
  誰を誘うのか、何人誘うのか。今のところは私からお声かけさせてもらったり、コミュニティでの集まりの機会に「我が家でやる?」とお誘いすることが多いです。(個人的に繋がって欲しい方同士や、関心やバイブスが似通ってそうなお友達、友人の友人などミックスでお呼びすることも。一緒に食卓囲んでくれるのが嬉しい。)
 ーWHAT(コンセプトレベル)
 
まずはコンセプトを決め、そのコンセプトに合わせて料理や当日の雰囲気などを決めることが多いです。いつどんな会であっても譲れないのは季節感。二十四節気は必ず意識して、その時期だからこそ楽しみたい暦の行事や養生、取り入れたい食材を決めてから献立を考えています。
 また私自身国内外問わず旅行が好きで、各地域の市場やファーマーズマーケットなどを巡ることが趣味なので、シェアしたい旅のエッセンスやストーリーを交え、現地で手に入れた珍しい調味料や食材、味付けを中心に全体的な構成を考えることもしばしば。
 ーWHAT(物理的なモノ)
 コンセプトが決まったらそのコンセプトに合わせたインビテーション、空間、メニューを考えていきます。具体的には、
・インビテーション用のメッセージと画像
・メニュー表
・器やカトラリー、調理道具
・設え(花や香り、ポップ)
・献立、あしらい、体験
などなど。

ざっくりと時系列ではこんな感じ。

  • 約2週間前:ある程度土台となる食材や流れをイメージしつつ、参加予定の皆様にインビテーションを送り、「どんな会にしたいのか、気になる料理や食材はあるか」「なぜそう思うのか」など要望伺いをします。

  • 1週間前〜前日:スーパーや市場、花屋などを歩き回り始めます。その時々に出会った食材でのブリコラージュ(ありあわせの材料や道具で物を作ったり、修繕したりすること)も大切にしているので、事前に考えていた献立から前日や当日に変更することも度々。また、並行して会を彩るメニューやPOPなども余裕があれば用意します。数日前から当日の料理の段取りや、サーブのタイミングなども考えておくと、当日が過ごしやすいです。なんなら前日からテーブルはセッティング出来ていると当日さらに余裕を持ってゲストを迎えられるなと思います。

他にも、テーブルコーディネートや器、料理のあしらいなど主に前日から当日にかけて細かいことを考えていくのですが、思った以上に記事が長くなってしまったので、、、第二弾として別記事にしようと思います。

おまけ:2025年1月Supper Clubの様子
「セルフビルドタコスで新年会」&「大寒の菜と鮨」

言葉だけでは伝わりにくい部分もあるかなと。
まだまだ未熟すぎて載せるのも恥ずかしいのですが、気にするのは自分だけ精神で、今年実施したSupper Clubの様子をいくつかシェアしておきます。

2種類のマサ粉とタコスプレスを使って自分で作るトルティージャ
レンズ豆のヴィーガンチリコンカンや、しめ鯖粒マスタード、タイのフリットなど
かつてメキシコBucerias訪問時に感激したセビーチェを思い出しながら
寒い時期なので、せめてもの気持ちで、鯛あら汁のフィッシュライムスープで出迎え
陰の極み。一年で寒さが最も厳しいと言われる時期。体の内側から温まる食材で労りつつ、春の芽吹き感じる食材で季節の移ろいを感じる会
いくつか季節の菜を用意しつつ、おまかせのお鮨を8品ほど
帆立(柚子がもう少し綺麗になるといいね)
イワシと自家製ガリの海苔巻きはいつも人気

ちなみに、私の一押しホストの一人はヘルシンキ在住のemma.ranneさん。いつか彼女のSupper Clubに参加してみたい。

とまあ、こんな感じでいつまで続くか分からないのですが最近の週末の楽しみになりつつあるSupper Club。また、ぼちぼち2月の様子もお届けできたらなと思います。

長文お読みいただき、最後までありがとうございました。


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