Google PhotoからSynology Photosに乗り換え
子供が産まれると同時にOsmo Action 4を買ったりして、動画を撮影する機会が非常に増えました。これまでのようにGoogle Photoに何も考えずアップしていたのですが、1ヶ月経たないうちに10GB消費しておりこれはまずいなということでSynology Photosに乗り換えました。
Synology PhotosはSynology社製NASで動作するGoogle Photoライクな写真管理アプリです。
Google Photoの容量別料金設定からNASの予算を検討する
100GBがすぐいっぱいになりそうなので、200GBにアップグレードするというよりは2TBへのアップグレードがよさそうです。
となると年13,000円ということで、5年使うと65,000円となります。とりあえずこのあたりをターゲットにNAS(ケース+HDD)を選んでみました。
ケースの要求仕様
以前PCを組んだときにもお世話になった価格.comの選び方ガイドを参考にしました。要求仕様は以下に設定しました。
2ベイ以上
4TB以上の3.5インチSATA HDDが動作すること(4TBにした理由は後述)
RAID1対応
Google Photoに近い写真管理アプリがあること、かつスマホアプリがあること
写真管理アプリがサクサク動くこと:CPUとメモリの要求スペックがどのくらい必要かわからなかったのですが、クアッドコア&2GB以上で探しました
写真管理アプリの出来具合的にSynologyかQNAPのどちらかがよさそうと思い、その2メーカーにしぼりました。
Synology:Synology Photos(モバイルアプリ)
モバイルアプリの評価を見るとSynologyのほうがよさそうだったので、Synologyの中からケースを選ぶことにしました。
ケースの機種選定
仕様に合いそうなものとして以下の2機種がありました。2024/06/06時点では楽天で購入するとポイント含め最安値のようで、機種間の値段差は1万円ほどでした(ポイント倍率によってポイントは異なりますのでご注意ください)。
→2024/06/06現在、36,045円(販売価格からポイントを引いた価格)
→2024/06/06現在、46,861円(販売価格からポイントを引いた価格)
今回は金額の兼ね合いでDS223にしました。
HDDの機種選定
容量は多いに越したことは無いのですが、以下のサイトを参考に、月に使用しても60GB程度と仮定し5年計算で60×12×5=3,600GB=3.6TBと試算しました。
5年にしたのはHDDの寿命はそんなところかなというのが背景です。
Synologyのサイトに互換性のあるサードパーティ品リストが公開されています。ケースの機種を指定して互換品一覧を確認する形です。
色々と検討した結果、DS223の互換品である下記の製品にしました(互換品一覧は随時アップデートされるようなので、2024/06/06時点の情報になります)。
NASのセットアップ
HDDをベイに装着して、ルーターにLANケーブルで接続、DS223の電源を入れるとしばらくしてビープ音が鳴りますので、以下のサイトにアクセスするとセットアップが始まります。
HDDの装着は、ドライバーなど工具も不要で非常に簡単でした。HDD取り付け側のレールを取り外すのに同梱のクイックガイドを見たくらいです。
このあとしばらくパッケージ(=ソフトウェア)のインストールが自動で行われているようでしたので、しばし待ちました。
Synology Photosのセットアップ
構成としては以下のようにセットアップを行いました。
家族全員で見られる共有のタイムライン・アルバム
自分にしか見えないタイムライン・アルバム
共有のタイムラインの有効化
共有スペースという名前で共有のタイムラインを持つことができるようです。あまり使うことはないかもしれません。
共有のアルバムについて
アルバムは個人のスペースで作成したものを共有する形で、共有先の人のアルバム一覧にも表示できます(自分で作成したアルバムのみを表示することも可能)。
自分しか見られないタイムライン・アルバム
Google Photoと非常に作りが似ており、大まかに確認した感じでは、アップしたファイルの編集以外のことはGoogle Photoと同様のことができそうでした(細かく確認していないのでできないことがあるかもしれません)。
Google Photoからの移行
写真と動画ファイルすべてと、アルバムを移行するべく以下の手順で行いました。
Google Photoからファイルをすべてダウンロード
ダウンロードしたファイルの日付情報を修正
アルバムごとにフォルダが別れているので、ひとつずつアップロードしてアルバム名を付与
差分の確認
Google Photoからファイルをすべてダウンロード
以下よりGoogle Photoのファイルを一括でダウンロードできます。
ダウンロードしたファイルの日付を修正
以下を参考に、GooglePhotosTakeoutHelperを使用して日付を修正しました。最新版のダウンロードはこちら。Windowsの場合はAsset内「gpth-windoza.exe」をダウンロードして起動します。
Google Takeoutからダウンロードしたファイルは分割されていますので、7-Zipを使って「ここに展開」より、統合した状態で解凍しました。
アルバムごとにフォルダが別れているので、ひとつずつアップロードしてアルバム名を付与
Google Photoからダウンロードして日付情報を修正したファイルは、アルバムごとにフォルダ分けされています。
フォルダを一つずつSynology Photosにアップ→アップされた写真がまとめてアルバムに追加できるので、そこでアルバムをひとつずつ作成していきました。いくつもアルバムがある場合非常に面倒な作業ですが、他に方法が見つかりませんでした…。
差分の確認
ここまでの作業で、共有アルバムとRAWファイルがうまく移行できていませんでした。
Google Photoの共有アルバムについて:自分以外の人がアップしたファイルはTakeoutではダウンロードされていませんでした。各アルバムの画面から手動でダウンロードする必要があります。
また、その場合日付がダウンロード日時になってしまいますが、Synology Photos上で手動で編集できました。
また、GooglePhotosTakeoutHelperを使用した段階で、RAWファイルがうまくコピーされていなかったようです。面倒ではありますが、Google PhotoのアルバムとSynology Photosのアルバムを横並びにして枚数が異なるものをチェック→枚数がGoogle Photo>Synology Photosの場合はGoogle PhotoからダウンロードしてSynology Photosへアップ、という手順を踏みました(上記の共有アルバムの部分も同時にチェック)。
幸い、作成済みのアルバムにあるものはアップロードされずスキップされるので、GooglePhotosTakeoutHelperで修正したものは上書きされませんでした。
厳密な枚数のチェックをする場合は本ページのその他 8.の項目に記載しています。
その他
1.動作音は、今回の組み合わせであれば耳を近づけると少し聞こえる程度で、ほとんど気になりませんでした。リビングに設置しましたが、深夜の静かなリビングではディスクアクセス音が聞こえるかな、という程度です。ゴム足的なもの設置すれば改善できそうな気がします。
2.動作の軽快さは、最近の写真をちょっと見たり、検索で写真を探すくらいならGoogle Photoに引けをとらないか、むしろ動画の読み込みでは早いくらいです。モバイル回線から使ったり、使い続けると変わってくるかもしれませんが。
ただ、大量の写真を扱うのは苦手なようです。500枚以上の写真を一括で選択して削除しようとしましたが削除のメニューが出てこなかったり…
1600枚程度のJPGを一括で選択しようとしたところ以下のエラーが出てしまいました。同様のエラーは4999枚のアップロード中にも5度発生しました。
枚数が多い場合はDriveアプリの方から削除することができましたので、ちょっと不便ですがなんとかなりそうです。
3.Synology Photosでは写真の複数選択をするのにひとつずつ選択する必要がある、とどこかで見た気がするのですが、WebもモバイルアプリもGoogle Photoと同じ操作で複数枚選択できました。以下はWeb版です。
4.動画はアップロード後にサムネイル生成を行うまで少し時間がかかりますが、DSMの右上から作業状況を確認できました。
5.一部の画像で見れないものがありましたが、以下のパッケージをインストールしたところ見れるようになりました。
ただし、パッケージインストール後も.RW2(パナ系のRAWファイル)や一部の.DNGが表示できないことがありました。公式では一応対応ファイルと明記されていますが(もちろんLrやGoogle Photoでは正常に表示されています)。
表示はできないのですがダウンロードすることでローカルで表示することはできました。
6.エクスプローラーチックなフォルダ管理もできるようです。DSM側のFile Stationというパッケージからフォルダの作成・アップロードを行うこともできました。Synology Photosからも同様の操作が行えます。ただし、フォルダ管理にすると共有するときに写真ごとの共有になるため、アルバム管理のほうが使い勝手が良さそうに感じました。
7.ケースのステータスLEDが結構眩しかったので、コントロールパネル→ハードウェアと電源→全般→LED輝度コントロールから暗くしました。
8.Google Photoにアップされている写真の枚数とアルバムの数はそれぞれ以下より確認できました。動画の件数はわかりませんでした。
Synology Photosにアップした枚数はどこで確認できるかわかりませんでしたので、現在サポートに問い合わせています。ちゃんと移行できているのか?がわからないですが、Takeoutでダウンロードしたデータを保管しておけば、一応保険になるかなと思います。
2024/06/19 追記:サポートから返信があり、Synology Photos上では各種件数は確認できず、写真の枚数はDSMのFile Stationのプロパティから確認する必要があるとのことです。アルバム数はいずれにしても目検するしか確認できないようです。
9.Google Photoが容量無制限だった時代にアップしたファイルは保存容量のところにはカウントされていないことをすっかり失念していました。
10.Synology Photosの写真を開いたときのメニューの操作感ですが、当たり判定?的なところが使いにくいです。◯のあたりをクリックするとメニューが開かずに次の写真に遷移してしまいます。
11.Synology Photosのファイルのアップロードは一度に4999枚以下までのようです。
12.モバイルアプリは基本Web版と同じことができるようです。安定性は使っている感じ問題なさそうです(iPhone 15Pro / iOS17.5.1)。
カメラロールにすでにある写真や動画はGoogle Photoから引っ張ってくる場合、以下の設定にしておけば新しく保存したものだけがバックアップされるのでファイルが重複することもありませんでした。
Google Photo→Synology Photosに移行してみて
手放しにSynology Photos最高!という感じではなさそうという印象です。移行時点で感じた良し悪しは以下です。
Synology Photosの良し悪し
メリット
Google Photoよりも安価に大容量のストレージが使用できる
アプリの使用感はかなり近く、操作で迷うことはなさそう
動画のストリーミングはGoogle Photoよりも読み込みが早い(静止画単体やサムネイル表示はほぼ同じくらい)
デメリット
一部UIが使いにくい
一部のファイルが正常に表示されないことがある
編集機能が無い
検索機能がGoogle Photoより弱い気がする
500以上のデータを頻繁に扱う場合は性能のよいケースが必要になりそう
Google Photoの良し悪し
メリット
データ損失のリスクが(ほぼ)無い
強力な編集機能が使える&随時アップデートされる
デメリット
大容量になると金額が高い
今後金額が変更になる可能性がある
また以下のリスクもあると思いますので、移行は慎重にとも思います。
HDDの故障によりデータを喪失するリスク
今のHDDの容量がいっぱいになった際に別のHDDに無事換装できるか
NASを管理できる人がいなくなったときのリスク
2024/07/04 追記
1ヶ月弱使ってみて気づいた点です。
検索結果が表示されるまでの時間はGoogle Photoのほうが早い気がします
アルバム名で検索する際、ひらがなが引っ掛かりません
画像のExif情報に含まれる住所で検索する場合、Google Photoは都道府県や市区町村、それ以外の地名でも検索できますが、Synology Photosの場合は市区町村の検索のみできるようです
画像内のテキストがSynology Photosはコピーできません。iPhoneのカメラロールにある写真ならそちらからコピーすれば問題ないですが若干不便です
Google Photoでは検索→地図表示するとヒートマップのような形で写真を辿っていくことができますが、Synology Photosにはこの機能はありません(2024/07/05追記:位置情報のある写真を開いて情報画面に入ると地図が表示されており、そこからマップ表示が可能でした。地図上にヒートマップは表示されませんが、代表写真が地図上にプロットされる形です)
Web版のGoogle Photoは、個別の写真を開いた画面で、何らかのアルバムに含まれる写真の場合はそのアルバム名やリンクが表示されますが、Synology PhotosはWebやアプリにそういった機能はありません